侯爵家の清純美少女?いいえ、腹黒ドS大魔王ですが何か?

阿華羽

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12厄年だったか?

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 まず一言。

 死ねばいいのに。

 私…「オレ」は、今し方起こった出来事に対し、内から出る怒りを何処に逃すかで、現在悩み中だ。

 いや、マジ何なの?
 今年って、厄年だったっけ?

 年始一発目に、自国のバカ王子と元男爵令嬢に振り回されて、やつと最近落ち着いてきた矢先、今度は隣国のバカ王太子である。

「ルドニーク…意味が分からなかったわ…。もう一度言ってくれるかしら?」

 私の隣では、現実逃避を始めたエリオット様が、額に手を当て項垂れている。
 うん、気持ちは分かるよ。

「ん?意味が分からないだと?そのままの意味だ!エリオット、君はこんな変態と結婚する様な女性ではないはずだ。聡明かつ秀麗な君が何を血迷って!こんな女装好きな変態と……そうか!こいつに何か弱みでも……今ならまだ助けられるな!」

 変態って…二回も言いやがった…。

「意味が分からないのは私よ…」
「なんだと!君がこんな奴のために王位を捨てるなど!それなら私と一緒になった方が幸せだ!」 
「どうしたら、そんな結論になるの!」
「私は君を幸せにしたいのだ!」
「あーーーもぉ!だから!話の意味が分からないのよ!貴方、私の事何も聞いてないの?」

 支離滅裂にもほどがある……。

 何故か、エリオット様と言い争いを始めた、隣国のバカ王太子…。
 あ、もう私の中で「バカ王太子」って呼び名が定着してる……まぁ、いいか。
 こいつ、マジでウチの元王太子にソックリだな。

 それより。

「……失礼ながら陛下」

 陛下と私を空気にしてしまった二人を見ながら、私は陛下へと視線を向けた。

「何だ?……と言うか、シルビア…そなた顔」
「はい?」
「少しはダダ漏れな「」を抑えぬか?……全く、お前は…父親にソックリだな。まぁ、これしきの事を抑えれぬ当たりが、まだまだ父には及ばぬところか」

 苦笑しながら、全てお見通しとばかりな陛下に、流石は一国の主人にして、あの父の主君だと、妙に納得した。

「父は私の目標ですから……ではなく。陛下、「アレ」は放置して置いてもよろしいのですか?」

「アレ」と言う言葉に、「」の意味を乗せ、私は陛下へと問うた。

「ぶっ、ははははっ。………誠、そなたは父親によく似ておる」

 何故か笑いを誘ってしまった。
 まぁ、意味を理解して頂けた様で何よりだが。

「まぁ、少しばかり様子を見ようではないか。
その方が「面白い」ものが見れると思うぞ?」

 ……この狸が。

 あ、いかんいかん。

「エルドラント王家と、レイナードもこの件には絡んでおるからな。………まぁ、今し方シルビアも含まれたが」
「サヨウデゴザイマスカ……はぁ」
「そう溜息をつくな。エリオットとの間に湧いた虫をはらえるのだぞ?お前にとっても悪い話ではなかろう?」

 腹黒ドSの上司は、腹黒狸だったか。



 この日、私は訓練終わりのアルフレッドとマルカスを捕まえ、八つ当たりしまくって帰ったのは言うまでもない。

「ちょっ!シーちゃん横暴!」
「待てシルビア!意味が分からん!」
「……分からなくてもいいから相手して」

 片手に剣を持ち、上位魔法をブチ込みながら毒を吐く私。

 因みに、私の後ろでは、騎士団員と魔法士団員が「やはり閣下のお子だな」と、ヒソヒソと話していた。
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