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2 従兄妹
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他人事だと思って、好き勝手に言うリリアナに若干イラッとくる。
確かに、学園での成績は主席ではあるけど!だからと言って、王妃が務まるとは到底思えないのだ。
「て言うかさぁ、あんた束縛されるのが嫌なだけでしょ?城に上がったら滅多に外出も出来なくなるし、あんたの大っ嫌いな社交場に頻繁に出席しなくちゃならなくなるし、まず定期的にお茶会でしょ?……後は」
明け透けにも程がある。
「ストーップ!もういいわよ!分かってるなら言わないで!」
そう、これ以上は耳が痛い。
彼女の言っている事は事実だが、筆頭公爵家の人間としては最低な事だ。
公爵家の令嬢のくせに、社交界は苦手で、貴族でありながらその考えがあまり好きではない。
貴族と言う人種においては、落第生だ。
「ま、普段巨大なネコを被ってる分まだマシだけどね~」
「うっさい、アンタだって人の事言えないでしょうが!それに、それだけじゃないの!王家の婚姻方法も好きじゃないし、だいたい「あの」氷の王子様と一生一緒とか、死ぬ!マジで」
そう、反発はあるが、貴族として生まれたからには、家のために生きなくてはならないのは重々承知している。
でもやっぱり結婚に夢は見たいじゃない?結婚するなら、相手の方と幸せな家庭も築きたいと思うのは女性なら当たり前だと思う。
なのに、お相手は「氷の王子」と呼ばれる、心を持たない王太子様。
いや、心はお持ちなのかもしれないが、上流階級の人間であれば皆知っている。
あの方が、どれだけ人に関心を持たず、笑顔など一切なく、人形の様な人物だと。
ただ、面倒なのが、それでもあの方の能力はずば抜けており、王族としては文句無く優秀な人物だと言う事だ。
まぁ、あの性格で能力不足だった場合、かなり痛いけどね。
「うーん。あんたの言いたい事も分かるけど、あの方の婚約者候補はあんたがズーッと筆頭だったのよ?だから、すんなり収まった感半端ないのよね。それに、あんただったら誰も文句言えないでしょ?筆頭公爵家の息女で、しかも宰相閣下の娘でもあるのよ?ま、諦めなさいな」
すまし顔で紅茶を飲む親友にグーパンを入れたい。
そんな事、自分でも分かってるわよ。
「それに、「顔だけ王子」のお相手をあんたが引き受けてくれて、皆んな有り難く思ってるんじゃないかしら?」
「顔だけ……って、アンタ」
「いいじゃない?そこで満足出来ていれば優良物件よ?それに、か弱い御令嬢達には「アノ」雰囲気に耐えられないのですってよ?」
確かに、あの王太子様は「顔だけ」はやたらイイ。
白銀の髪にアイスブルーの瞳の美丈夫。
だが、いかんせん表情や態度が完全に崩壊している!いくらカッコよくても、一緒に居て随時冷たくされてはたまったものではない。
こっちの心が病むわ!
「どうせ、中身か弱くも何ともないわよ!」
「ふふっ。あと、あれでしょ?あんた一夫一婦が理想だものね?変な所で乙女なんだから。王家は唯一、一夫多妻が認められた家だから、それも気に食わないんでしょ?」
「うっ!」
「貴族間にだって愛人を囲う家は多いのにねぇ?」
自分の事を知られ過ぎてるのも困りものね。
そう、私は王家の一夫多妻と言う婚姻が我慢ならない。何故一人の女性を愛せないのか!
理由は分かるわよ?正妃に子供ができない場合の対策だって……でも、やっぱり嫌じゃない?夫が自分以外の女性と肌を交わらすのは。
それに、不妊は男性側に問題がある場合だってあるのに、女性軽視にも程がある。
「考えただけで……気持ち悪い」
「はぁ……重症ね。貴族令嬢のくせに」
「うーーーーーーっ!」
「犬じゃないんだから、唸らないの!」
*****
結局、あれからリリアナに散々愚痴った私は、若干スッキリはしたものの、重い足取りで我が家へと帰って来ました。
とりあえず此処からは「公爵令嬢」に戻らさせていただきますね?家の者がうるさいので。
「あら?」
屋敷からそう遠くはないため、徒歩だったので正面の門から直接帰宅したのですが、そこで見知った紋の入った馬車がいる事に気づきました。
停車場に停められた黒塗りの馬車。
ラピスの玉を掴んだ鷲の紋……この紋を持つ家は一つしか知らない。
「トール兄様?」
タイミングよく帰宅したものです。
馬車の到着後、直ぐに私も帰宅したのでしょう。
馬車から降りてきた見知った人物は、私に気付くと、いつもの笑顔を向けてくれました。
「シフ、久しぶり。外出してたのか?」
「えぇ、リリーと久しぶりに外でお茶をしておりました」
彼の名は「トール・キュロス」。
ブロンズ色の髪に黄色の瞳の、柔らかい笑顔が素敵な方。
父親は王弟。家は当家と同じ公爵家です。
私の母方の従兄妹で、現在王太子殿下の側近をしています。
そして、彼の婚約者は王太子殿下の妹姫です。
「どうなさったのですか?兄様、まさか……職でも失われたのですか?」
「は?ちょっとシフォン、冗談でもそれは無い」
「えぇ、冗談です」
「……………シフ」
と、まぁ、いつものお遊びはさて置き。
「お父様にでも御用ですか?……お城でもお会いできるのでは?」
「あぁ、叔父上に少し急用でね」
王太子殿下の側近のお兄様でしたら、宰相である父に会う事など雑作も無いはず。
わざわざ家に来るとは、余程の事なのでしょう。
「あぁ、そう言えば聞いた?」
「……………はい?」
屋敷の入口へと揃って向かう中、唐突に発せられた兄様の言葉に、一瞬、間ができました。
聞いた……とは、「どの」事でしょう。
唐突すぎて色々と出て来ましたが……最近一番新しいと言えば……………「あ」。
「聞いておりませんわ」
思わず顔を逸らしてしまい、兄様に笑われてしまいました。
ついつい態度に出てしまいましたね……………公爵令嬢として反省ですわ。
「聞いてるのならいいよ。私からも頼むね……「あの方」は不器用だから」
「不器用ですか?あんな「お名前」がついてらっしゃる方が不器用……ですか?」
にわかにも信じられませんね。
だってそうでしょ?不器用だからと言って、一つも笑わない方なんて見たことないですもの。
剣術に魔法、全て完璧にこなされ、お仕事だって、周りの文官や騎士が怖れる位完璧だとか。
それに、私知ってますのよ?今まで彼が接してきた御令嬢達への態度。
パーティーで相手を上げる言葉なんて一度だって聞いた事ありませんし、全て無関心で冷たい瞳を向けられるばかり。
ご両親である、国王陛下と王妃様も余りの王太子様の冷たさに焦っておいででしたわ。
これでは婚約どころの話ではない…とまで言われていたのに。
……………まさか、私押し付けられたのかしら。
「以前、ご挨拶させて頂いた時…「あぁ」しかおっしゃいませんでしたよ?しかもかなりお冷たい目をされておりましたが?」
溜息混じりについつい愚痴ってしまいました。
あら?兄様何故か頭を抱えておいでですわね……。
「シフォン!忘れろ!」
「無理ですわ」
「本当に、アイツはぁ!だからいつも言ってるのに!」
「……えっと、意味が……?」
項垂れた兄様の横、私は彼の言わんとする事が分からず小首を傾げたのでした。
まぁ、とりあえず面倒なのでお父様の執務室に突っ込んでおきましたが。
確かに、学園での成績は主席ではあるけど!だからと言って、王妃が務まるとは到底思えないのだ。
「て言うかさぁ、あんた束縛されるのが嫌なだけでしょ?城に上がったら滅多に外出も出来なくなるし、あんたの大っ嫌いな社交場に頻繁に出席しなくちゃならなくなるし、まず定期的にお茶会でしょ?……後は」
明け透けにも程がある。
「ストーップ!もういいわよ!分かってるなら言わないで!」
そう、これ以上は耳が痛い。
彼女の言っている事は事実だが、筆頭公爵家の人間としては最低な事だ。
公爵家の令嬢のくせに、社交界は苦手で、貴族でありながらその考えがあまり好きではない。
貴族と言う人種においては、落第生だ。
「ま、普段巨大なネコを被ってる分まだマシだけどね~」
「うっさい、アンタだって人の事言えないでしょうが!それに、それだけじゃないの!王家の婚姻方法も好きじゃないし、だいたい「あの」氷の王子様と一生一緒とか、死ぬ!マジで」
そう、反発はあるが、貴族として生まれたからには、家のために生きなくてはならないのは重々承知している。
でもやっぱり結婚に夢は見たいじゃない?結婚するなら、相手の方と幸せな家庭も築きたいと思うのは女性なら当たり前だと思う。
なのに、お相手は「氷の王子」と呼ばれる、心を持たない王太子様。
いや、心はお持ちなのかもしれないが、上流階級の人間であれば皆知っている。
あの方が、どれだけ人に関心を持たず、笑顔など一切なく、人形の様な人物だと。
ただ、面倒なのが、それでもあの方の能力はずば抜けており、王族としては文句無く優秀な人物だと言う事だ。
まぁ、あの性格で能力不足だった場合、かなり痛いけどね。
「うーん。あんたの言いたい事も分かるけど、あの方の婚約者候補はあんたがズーッと筆頭だったのよ?だから、すんなり収まった感半端ないのよね。それに、あんただったら誰も文句言えないでしょ?筆頭公爵家の息女で、しかも宰相閣下の娘でもあるのよ?ま、諦めなさいな」
すまし顔で紅茶を飲む親友にグーパンを入れたい。
そんな事、自分でも分かってるわよ。
「それに、「顔だけ王子」のお相手をあんたが引き受けてくれて、皆んな有り難く思ってるんじゃないかしら?」
「顔だけ……って、アンタ」
「いいじゃない?そこで満足出来ていれば優良物件よ?それに、か弱い御令嬢達には「アノ」雰囲気に耐えられないのですってよ?」
確かに、あの王太子様は「顔だけ」はやたらイイ。
白銀の髪にアイスブルーの瞳の美丈夫。
だが、いかんせん表情や態度が完全に崩壊している!いくらカッコよくても、一緒に居て随時冷たくされてはたまったものではない。
こっちの心が病むわ!
「どうせ、中身か弱くも何ともないわよ!」
「ふふっ。あと、あれでしょ?あんた一夫一婦が理想だものね?変な所で乙女なんだから。王家は唯一、一夫多妻が認められた家だから、それも気に食わないんでしょ?」
「うっ!」
「貴族間にだって愛人を囲う家は多いのにねぇ?」
自分の事を知られ過ぎてるのも困りものね。
そう、私は王家の一夫多妻と言う婚姻が我慢ならない。何故一人の女性を愛せないのか!
理由は分かるわよ?正妃に子供ができない場合の対策だって……でも、やっぱり嫌じゃない?夫が自分以外の女性と肌を交わらすのは。
それに、不妊は男性側に問題がある場合だってあるのに、女性軽視にも程がある。
「考えただけで……気持ち悪い」
「はぁ……重症ね。貴族令嬢のくせに」
「うーーーーーーっ!」
「犬じゃないんだから、唸らないの!」
*****
結局、あれからリリアナに散々愚痴った私は、若干スッキリはしたものの、重い足取りで我が家へと帰って来ました。
とりあえず此処からは「公爵令嬢」に戻らさせていただきますね?家の者がうるさいので。
「あら?」
屋敷からそう遠くはないため、徒歩だったので正面の門から直接帰宅したのですが、そこで見知った紋の入った馬車がいる事に気づきました。
停車場に停められた黒塗りの馬車。
ラピスの玉を掴んだ鷲の紋……この紋を持つ家は一つしか知らない。
「トール兄様?」
タイミングよく帰宅したものです。
馬車の到着後、直ぐに私も帰宅したのでしょう。
馬車から降りてきた見知った人物は、私に気付くと、いつもの笑顔を向けてくれました。
「シフ、久しぶり。外出してたのか?」
「えぇ、リリーと久しぶりに外でお茶をしておりました」
彼の名は「トール・キュロス」。
ブロンズ色の髪に黄色の瞳の、柔らかい笑顔が素敵な方。
父親は王弟。家は当家と同じ公爵家です。
私の母方の従兄妹で、現在王太子殿下の側近をしています。
そして、彼の婚約者は王太子殿下の妹姫です。
「どうなさったのですか?兄様、まさか……職でも失われたのですか?」
「は?ちょっとシフォン、冗談でもそれは無い」
「えぇ、冗談です」
「……………シフ」
と、まぁ、いつものお遊びはさて置き。
「お父様にでも御用ですか?……お城でもお会いできるのでは?」
「あぁ、叔父上に少し急用でね」
王太子殿下の側近のお兄様でしたら、宰相である父に会う事など雑作も無いはず。
わざわざ家に来るとは、余程の事なのでしょう。
「あぁ、そう言えば聞いた?」
「……………はい?」
屋敷の入口へと揃って向かう中、唐突に発せられた兄様の言葉に、一瞬、間ができました。
聞いた……とは、「どの」事でしょう。
唐突すぎて色々と出て来ましたが……最近一番新しいと言えば……………「あ」。
「聞いておりませんわ」
思わず顔を逸らしてしまい、兄様に笑われてしまいました。
ついつい態度に出てしまいましたね……………公爵令嬢として反省ですわ。
「聞いてるのならいいよ。私からも頼むね……「あの方」は不器用だから」
「不器用ですか?あんな「お名前」がついてらっしゃる方が不器用……ですか?」
にわかにも信じられませんね。
だってそうでしょ?不器用だからと言って、一つも笑わない方なんて見たことないですもの。
剣術に魔法、全て完璧にこなされ、お仕事だって、周りの文官や騎士が怖れる位完璧だとか。
それに、私知ってますのよ?今まで彼が接してきた御令嬢達への態度。
パーティーで相手を上げる言葉なんて一度だって聞いた事ありませんし、全て無関心で冷たい瞳を向けられるばかり。
ご両親である、国王陛下と王妃様も余りの王太子様の冷たさに焦っておいででしたわ。
これでは婚約どころの話ではない…とまで言われていたのに。
……………まさか、私押し付けられたのかしら。
「以前、ご挨拶させて頂いた時…「あぁ」しかおっしゃいませんでしたよ?しかもかなりお冷たい目をされておりましたが?」
溜息混じりについつい愚痴ってしまいました。
あら?兄様何故か頭を抱えておいでですわね……。
「シフォン!忘れろ!」
「無理ですわ」
「本当に、アイツはぁ!だからいつも言ってるのに!」
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