42 / 44
42 さて、どうしましょうか?
しおりを挟む
さて、あのお花畑はこの状況をどう見たのかしら。
「好きマジ」の世界に小娘をご招待して数日が経ちましたわ。
最近の私の流行りは、小娘を庇う三馬鹿にイヤミを言いつつ、嫌がるアシェリーにベタベタする事かしら。
アシェも演技が上達したみたいで、私に対して嫌悪を出すのがかなりお上手になりましたわ。
その度に、小娘がキラキラした眼差しをアシェに向けておりましたわね。
……アシェ、骨は拾って差し上げますから頑張ってくださいな。
「………はぁ」
私、今は学園から帰宅し、自室のソファーに体を沈めております。
思わず、盛大に溜息を吐いてしまいましたわ。
「お疲れ様です。お嬢様」
そんな私の様子に、カトレアが静かにお茶をテーブルに置いてくれました。
「案外……疲れますわ」
一応「シナリオ内」のセリフや行動を抜粋してあげてはいますけど……サービスしすぎてるかしら。
発案者は私ですし、文句を言うのは可笑しな話ですが、「悪役令嬢」と言うのは本当にストレスが溜まりますのね…。
あえて、態々、面倒でも、あの小娘に絡まなくてはならないなんて……シナリオ内の悪役令嬢を尊敬してしまいますわ。
「お嬢様、今晩はエステフルコースになさいますか?」
「そうね……お願いできるかしら」
本当に、毎日聞く「私が何をしたって言うんですかぁ!」や、「フィオラさまはそんなに私がお嫌いなんですか!」には、疲れますわ。
何も知らずに巻き込まれている生徒の皆様ですら、ドン引きしている状況ですもの。
平然としているのは、私達を除き、頭の可笑しな三馬鹿と「理由」を知っている「先生方」だけですわ。
実は今回、この作戦を実行するに際し、私は学園長にも協力をお願い致しましたの。
おかげで、学園の教師の皆様もご協力頂ける事になりましたわ。
学園長には、ラファエロさんが「魅力系」のスキル保持者である事や、ラファエロ伯爵家が犯したであろう罪などを細かく説明し、ご協力をして頂く事にしました。
まぁ、学園長は「王弟殿下」ですし、私とは親戚と言う事もあり、このお話はとてもすんなり通りましたわ。
「いい膿出しになるね」と、にこやかに笑われた学園長のお顔を見て、流石「腹黒魔王様」の弟君と思ったのは、ここだけのお話ですわ。
それから、国王陛下には、嫌でも勝手に「マーシャル先生」から情報が行ってますでしょうから、あえてご報告はしませんでしたわ。
案の定、昨日陛下から「楽しそうで何より」と、書かれたお手紙をアシェ経由で受け取りましたし。
………あの時のアシェのお顔、面白かったですわ(本人には絶対言えませんが)。
さて、そろそろ次のステップ…ですわね。
三馬鹿もどうにかしませんといけませんし。
明日はお休みですし、恒例の作戦会議ですわ。
*****
「で、何故私まで会議に参加なんだ?」
早朝、お仕事がお休みのマルク兄様と、私と同じく学園が休みな弟のヘンリーとの三人での朝食の場で、私はにこやかに口を開きました。
お父様とお母様はお仕事で、今日既に屋敷を出ていらっしゃいます。
いつも忙しい我が家ですが、兄弟とだけでも団欒な時間をとる事ができるのは、本当にありがたいですわ。
「兄様、まだあの「お花畑」に直接会った事がないでしょ?」
「無いが……会う気は毛先程もないぞ?」
………本当に嫌そうですわね。
彼女と会った事はありませんが、散々私達から話を聞いていますものね。
かなりの嫌悪感をもっていても不思議ではありませんわ。
「兄様、実はあの令嬢、例の三家のみならず、我が家の事も調べてあるみたいなのです。……他にも、マーシャル家など、多分、自分の母親が伯母様達に起こした「惨劇」を繰り返したいのではないかと」
惨劇…と言うか、「喜劇」ですけど、兄様にはふんわりとお伝えしなくては。
事実は私と伯母様だけが知っていれはいいですわ。
ゲーム世界や乙女ゲームなんて、言っても理解できませんからね。
「あの惨劇には、我が家の分家の者も巻き込まれそうになったと聞きました。兄様に何かあったらと思うと…」
そう、実はゲームの隠しキャラはドロッセル家の分家の人間。
つまり、現在のドロッセル家の子息が誰か引っ張り出される可能性もある。
幸い、小娘の母親の時子息が巻き込まれる事はなかった。
………けれど、転生者確定のあの娘の事。何をしてくるかは分かりませんから。
マルク兄様は、アシェの側近ですし、あの花畑がアシェに「会いたい」と言い出しても不思議ではないわね。
「まぁ、確かにアシェリーから「コレ」を渡されたが…」
普段、城では決して呼ばない呼び方でアシェを呼ぶ兄様。
私生活では従兄弟として接してますからね。
自身の小指に付けた指輪(魔道具)を見せながら溜息を吐く兄様。
うん、色気が凄い…ではなく、ものすごく面倒くさそうですわね。
「はぁ……まぁ、仕方ない。私も参加しよう」
「ありがとうございます。嬉しいですわ」
大切なお兄様に手を出されてたまるものですか!
兄様にも充分注意して頂きますわ。
私はほっと一息。
カチャリと静かな音をたて、満足顔でお茶を口に運びました。
そして、ニコリと目を細め、「彼女」に視線をむけるのでした。
「好きマジ」の世界に小娘をご招待して数日が経ちましたわ。
最近の私の流行りは、小娘を庇う三馬鹿にイヤミを言いつつ、嫌がるアシェリーにベタベタする事かしら。
アシェも演技が上達したみたいで、私に対して嫌悪を出すのがかなりお上手になりましたわ。
その度に、小娘がキラキラした眼差しをアシェに向けておりましたわね。
……アシェ、骨は拾って差し上げますから頑張ってくださいな。
「………はぁ」
私、今は学園から帰宅し、自室のソファーに体を沈めております。
思わず、盛大に溜息を吐いてしまいましたわ。
「お疲れ様です。お嬢様」
そんな私の様子に、カトレアが静かにお茶をテーブルに置いてくれました。
「案外……疲れますわ」
一応「シナリオ内」のセリフや行動を抜粋してあげてはいますけど……サービスしすぎてるかしら。
発案者は私ですし、文句を言うのは可笑しな話ですが、「悪役令嬢」と言うのは本当にストレスが溜まりますのね…。
あえて、態々、面倒でも、あの小娘に絡まなくてはならないなんて……シナリオ内の悪役令嬢を尊敬してしまいますわ。
「お嬢様、今晩はエステフルコースになさいますか?」
「そうね……お願いできるかしら」
本当に、毎日聞く「私が何をしたって言うんですかぁ!」や、「フィオラさまはそんなに私がお嫌いなんですか!」には、疲れますわ。
何も知らずに巻き込まれている生徒の皆様ですら、ドン引きしている状況ですもの。
平然としているのは、私達を除き、頭の可笑しな三馬鹿と「理由」を知っている「先生方」だけですわ。
実は今回、この作戦を実行するに際し、私は学園長にも協力をお願い致しましたの。
おかげで、学園の教師の皆様もご協力頂ける事になりましたわ。
学園長には、ラファエロさんが「魅力系」のスキル保持者である事や、ラファエロ伯爵家が犯したであろう罪などを細かく説明し、ご協力をして頂く事にしました。
まぁ、学園長は「王弟殿下」ですし、私とは親戚と言う事もあり、このお話はとてもすんなり通りましたわ。
「いい膿出しになるね」と、にこやかに笑われた学園長のお顔を見て、流石「腹黒魔王様」の弟君と思ったのは、ここだけのお話ですわ。
それから、国王陛下には、嫌でも勝手に「マーシャル先生」から情報が行ってますでしょうから、あえてご報告はしませんでしたわ。
案の定、昨日陛下から「楽しそうで何より」と、書かれたお手紙をアシェ経由で受け取りましたし。
………あの時のアシェのお顔、面白かったですわ(本人には絶対言えませんが)。
さて、そろそろ次のステップ…ですわね。
三馬鹿もどうにかしませんといけませんし。
明日はお休みですし、恒例の作戦会議ですわ。
*****
「で、何故私まで会議に参加なんだ?」
早朝、お仕事がお休みのマルク兄様と、私と同じく学園が休みな弟のヘンリーとの三人での朝食の場で、私はにこやかに口を開きました。
お父様とお母様はお仕事で、今日既に屋敷を出ていらっしゃいます。
いつも忙しい我が家ですが、兄弟とだけでも団欒な時間をとる事ができるのは、本当にありがたいですわ。
「兄様、まだあの「お花畑」に直接会った事がないでしょ?」
「無いが……会う気は毛先程もないぞ?」
………本当に嫌そうですわね。
彼女と会った事はありませんが、散々私達から話を聞いていますものね。
かなりの嫌悪感をもっていても不思議ではありませんわ。
「兄様、実はあの令嬢、例の三家のみならず、我が家の事も調べてあるみたいなのです。……他にも、マーシャル家など、多分、自分の母親が伯母様達に起こした「惨劇」を繰り返したいのではないかと」
惨劇…と言うか、「喜劇」ですけど、兄様にはふんわりとお伝えしなくては。
事実は私と伯母様だけが知っていれはいいですわ。
ゲーム世界や乙女ゲームなんて、言っても理解できませんからね。
「あの惨劇には、我が家の分家の者も巻き込まれそうになったと聞きました。兄様に何かあったらと思うと…」
そう、実はゲームの隠しキャラはドロッセル家の分家の人間。
つまり、現在のドロッセル家の子息が誰か引っ張り出される可能性もある。
幸い、小娘の母親の時子息が巻き込まれる事はなかった。
………けれど、転生者確定のあの娘の事。何をしてくるかは分かりませんから。
マルク兄様は、アシェの側近ですし、あの花畑がアシェに「会いたい」と言い出しても不思議ではないわね。
「まぁ、確かにアシェリーから「コレ」を渡されたが…」
普段、城では決して呼ばない呼び方でアシェを呼ぶ兄様。
私生活では従兄弟として接してますからね。
自身の小指に付けた指輪(魔道具)を見せながら溜息を吐く兄様。
うん、色気が凄い…ではなく、ものすごく面倒くさそうですわね。
「はぁ……まぁ、仕方ない。私も参加しよう」
「ありがとうございます。嬉しいですわ」
大切なお兄様に手を出されてたまるものですか!
兄様にも充分注意して頂きますわ。
私はほっと一息。
カチャリと静かな音をたて、満足顔でお茶を口に運びました。
そして、ニコリと目を細め、「彼女」に視線をむけるのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
127
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる