地獄0丁目

XCX

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37 番の契り②

「…ん、ンっ…ふ…」

 ツヴェーテの指が中で動く度に、ヴィカの体が小さく跳ねる。ゆっくりとではあるが、指が奥まで入り込んで来る。かと思えば入口まで引き抜かれて、浅い部分で抜き差しされる。
 ツヴェーテの首にしがみついたまま、ヴィカは羞恥のあまり固く目を閉じていた。僅かな快感の反応まで逃さんとする王の熱い視線にも気がついていない。

「…や、っ…!?」

 ある一点に指が触れた瞬間、脳天までビリビリとした電気のようなものが走り、ヴィカは目を見開いて体を震わせた。

「…此処か」
「…んゃ…や、そこ…っ」

 同じ所を幾度か刺激し、ヴィカの反応を目にしたツヴェーテは確信を得たようだった。一方で感じたことのない刺激に、不安を覚えたヴィカの体が緊張で強張る。だが、突如として体内の異物感は無くなった。指が抜かれてしまったことに驚いた少年は、疑問符を頭に浮かべて王を見た。

「嫌、と言ったな。お前が嫌がる事をするのは本意ではない」
「え…あ…」

 戸惑うヴィカの尻穴を、ツヴェーテの指先が弄る。

「ヴィカ、お前が嫌がるのであれば、此処への愛撫は二度とせん。…どうだ?」

 二度としない。
 その言葉を耳にして、ヴィカは罪の意識に苛まれた。ツヴェーテより自分のお尻で彼を気持ち良くできると聞いたばかりだと言うのに。大して我慢するでもなく、嫌がり、またしても彼に気を遣わせてしまっている。ヴィカは己を責めた。
 実を言えば、口で言う程嫌ではなかった。未知の感覚への不安と羞恥から、思わず突っぱねる言葉を口走ってしまっただけだ。
 先程から、お尻の中が熱い。それにむず痒くもあった。そんな中を爪先で軽く引っ掻かれただけで、強い快感を得た。

「…あっ…ぁ、ん、ン…」

 入口を撫でていた指先が、ゆっくりと中に入ってきた。ただそれだけなのに次の刺激を求めて、肉壁が指をきつく締め付ける。まるで、逃がさないとでも言っているかのようだ。

「…じゃな…い…」
「ヴィカ?」

 王に顔を覗き込まれて、ヴィカは彼の首に巻きつけた腕の力を強め、ぎゅうと抱きついた。

「…おれ、嫌、じゃない…。嫌じゃな…から、…も、もう一回…お願い、します」

 懇願するヴィカに笑みをこぼしたツヴェーテは、再度人差し指を奥まで差し込んだ。
 オンデゥルウェイスやジェシカがこの場に居合わせていたら、やり口が悪どい、と顔をしかめて不快感を示したことだろう。一見少年へ選択肢を与えているかのように思えるが、実はその逆だ。二度と、と言う強い言葉を突きつけられ、無垢で優しいヴィカがそれを聞いて尚、拒絶できるわけがないのだ。

「…は、…んン…ッ!」

 指を二本に増やされ、少年は王の肩に額を擦りつけた。
 羞恥に襲われながらも、慣れない行為に耐えるいじらしい姿は、ツヴェーテの情欲に火を点けるのに十分だった。
 じっくりと時間をかけ、小さな穴がツヴェーテの指を三本呑み込む頃には、ヴィカは疲労でぐったりとしていた。緊張と羞恥の連続だったのだから無理もない。

「ヴィカ…まだ頑張れるな?」

 ツヴェーテの問いに、ヴィカは僅かに目を開けて頷いた。良い子だ、と言わんばかりに、王の手が少年の額を撫でる。左右異なる色を宿した瞳は潤み、ほんのり上気した肌には赤みがさしている。

「…あ、ア…っ!?」

 尻穴に何かがあてがわれたかと思うと、次の瞬間には中へと押し入ってきた。堅く太く、火傷しそうな程の熱の塊に体内をこじ開けられる圧迫感に、ヴィカの体は再び緊張に包まれた。体験したことのない苦しさに、強く歯を食いしばる。堅く閉じられた目から涙がぽろぽろとこぼれていた。

「ヴィカ、背中に爪を立てても構わん」

 ツヴェーテはヴィカの意識を逸らそうと試みる。少年の気がまぎれるのであれば、背中に爪を立てられることなどなんてことなかった。痛みゆえに王の顔はしかめられていた。屹立が幾ばくも入っていない状態できつく締め付けられ、身動きすら取れない。

「…や、…やだ…っ」

 ツヴェーテのこと傷つけたくない、とヴィカは頭を振り、息も絶え絶えにそう言った。
 彼の優しい気持ちに、ツヴェーテの胸には愛おしさが溢れる。

「ゆっくり、深呼吸しろ」

 ヴィカの頭を撫で、ツヴェーテは深呼吸をして見せた。やがて彼の呼吸が落ち着くと同時に、体から強張りが解ける。その隙を見逃さず、ツヴェーテはゆっくりと腰を進めた。

「ヴィカ、大丈夫か?」

 ヴィカの体内に屹立が全て収まると、ツヴェーテは彼に口付けの雨を降らせた。額や頬、唇はもちろん、首筋や肩、指先にまで。

「…おなか、…あつい…」

 ヴィカは頷き、己の下腹部を手で撫でた。ツヴェーテのソレは彼の中を隙間なく満たしていた。薄紅色の唇からは吐息が漏れていて、その様がどこか艶かしい。
 どくんどくん、と体内で熱の塊が脈打っている。変な感じだ。だが、その熱がとても心地良い。

「…悪いが、我慢の限界だ。動くぞ」
「あッ!」

 返事を待たず、王は動いた。彼が腰を引くと、性器が中を擦り上げながら出て行こうとする。まるで内臓を引きずり出されるかのような感覚がヴィカを襲うが、決してそれだけではなかった。先程指で刺激を受けたところを、嵩の張った部分が抉る。

「…あ、ァ…あぅ、う…っ!」

 今度は熱塊を押し込まれ、深い部分にまで入り込んでくる。今までに体感したことのない快感に、ヴィカはただ喘ぐことしか出来ずにいた。

「…ひ、ぁ…ま、待って…それ、ぇ…!」
「何故だ?気持ち良いだろう…?」

 緩く立ち上がった性器を扱かれて、ヴィカは喉をひくつかせた。手を伸ばすも、ツヴェーテの手を止めることが出来ない。
 強い快感に全身を支配されてしまっていた。追い討ちをかけるかのように、唇を塞がれる。至る所に愛撫を受けて、思考がどろどろに溶けて何も考えられなくなってしまう。

「…ああ、ア、ぁ…ーッ!」

 追い立てられて、ヴィカは呆気なく達した。華奢な体が大きく弾む。精液が彼の腹とツヴェーテの手に飛び散る。

「…くっ」

 内部の強い締め付けにより、王も短い呻き声を発して果てた。

「…ぁっ、ぃ…っ」

 奥深くに熱い飛沫を放たれたヴィカが小さく体を震わせる。
 ツヴェーテは大きく息を吐くと、髪をかきあげながら上半身を起こした。そして少年の眦に指を這わせ、涙を拭った。
 頬を撫でる大きな手に、ヴィカは頬擦りした。目を開き、王を見上げる。

「…おれ…ツヴェーテ、のこと…きもち、くできた…?」
「ああ」
「…へへ…よか、った…」

 ヴィカはそう言って笑みを浮かべると、眠るように気を失った。
 王は少年の額に口付けると、名残惜しさを感じつつも彼の体内から怒張をゆっくりと抜き出す。

「…ん、ン…」

 意識がないにもかかわらず、男根を追いかけてくる肉壁に再び欲望がもたげそうになる。だがツヴェーテはそんな己を律し、互いの体液でドロドロになってしまった体を清めるために、少年を抱えると浴室へと姿を消した。
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