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5. 必殺肉球攻撃
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鼻腔を満たす良い香りに目が覚めると、目の前においしそうな食べ物が乗った器を持ったエミルの顔が見えた。
「おはよー、ローディル」
眠たい目を瞬かせながら大きなあくびをする獣に、エミルは微笑んだ。ローディルはベッドの上で、凝り固まった体をほぐそうと、お尻を高く突き出し、背中を反らして伸びをした。
「猫って早起きだって聞いてたけど、やっぱ猫じゃないんっすかねー。伸びをするとこは猫そっくりなのに」
(俺をそこらへんにいる猫と一緒にすんな!俺はえっと…きっと、もっと気高い動物なんだ!……たぶん)
「ははっ、まだ寝ぼけてる?朝ご飯、ここに置いとくっすよー」
うにゃうにゃと不明瞭な鳴き声を発する幼獣を、エミルは声を立てて笑った。ローディルは何の気になしに周囲を見渡した。昨晩隣で寝ていたはずのオルヴァルの姿は既になかった。温もりも残っていないことから、だいぶ経っているようだった。
(いつ起きたんだろ。全然気がつかなかった)
まあいいや、とローディルはすぐさまベッドから降りた。彼の脳内は、目の前のおいしそうな山盛りの食事のことでいっぱいだった。
(うまーい!朝からこんなご飯が食えるなんて幸せだーっ!)
「誰も盗らないから、ゆっくり食べるんすよー」
顔を埋めるように勢いよく食べ進める獣に、エミルが声をかける。だが彼は構うことなく欲望のままに貪った。
ローディルが朝食に舌鼓を打つ間、エミルはベッドメイクを行った。その後は餌皿を片付け、部屋の掃除や片付けだ。慣れた様子でとても手際がよく、早い。オルヴァルの身の回りの世話は彼がしているらしい。
「こら、悪戯しちゃだめっすよ」
エミルは、複雑な模様の絨毯を掃くほうきにじゃれついてくるローディルを注意した。注意とは言っても顔は笑っていて、満更でもないのが分かる。
邪魔をしてはいけないと獣も分かってはいるものの、動物としての本能なのか、目の前で行ったり来たりする物体についつい飛びかかりたくなってしまう。上体を低く伏せ、狩りの体勢を取る。ほうきが右に行けば右へ飛び、左に逃げれば追いかけるように飛びつく。
可愛いな、と目尻を垂れさせていたエミルだが、さすがに掃除にならないと我に返った。前脚でぺちぺちとほうきを攻撃するローディルをベッドの上に避難させる。
(楽しく遊んでたのに!)
「後でいっぱい遊んでやるから、いい子でいるんすよ」
ローディルはぎゃうぎゃう鳴いて不満を露にしたが、エミルは気にする様子もなくテキパキと自分の仕事をこなしている。
(そうだった…いい子にしてないといけねーんだ)
それが夜のうちにローディルが出した結論だった。オルヴァルやエミルは自分に対して好意的だが、アサドは違う。粗相をすれば今すぐにでも叩き出されてしまいそうな圧を感じる。あまり自由奔放に自分勝手に振舞うと、他二人からも愛想をつかされてしまうかもしれない。
だが凶暴さを一切見せず、彼らが望むように大人しい愛玩動物として振舞い信用を得ることが出来れば、鎖をはずしてもらえるかもしれない。そうなれば、自由の身となる日も近い。
「ローディル、お待たせしたっす~」
名前を呼ばれた獣は、ピンと耳を立たせて体を起こした。掃除をするエミルの動きを追いかけていたのだが、そのうち退屈になっていつの間にかうとうとしていたのだ。
「どれがいいっすか?近所の野良猫とたまに遊ぶ用で買ってたら、いつの間にかめちゃくちゃ貯まっちゃったんすよね~」
そう言って彼は手に持った木箱の蓋を開けた。中にはびっしりと玩具が詰まっている。
(うわ、すっげえ……たまに遊ぶためって感じの量には見えないけど…。エミルって相当動物…、猫が好きなんかな?だからすごく寛大なのかな?)
**********
オルヴァルが部屋に戻って来たのは、とても遅い時間だった。主人の広々とした寝床の上でうだうだと寝転がっていたローディルは、扉の開く音を耳にして慌てて大量のクッションの中に隠れた。息を殺し、隙間から様子を窺う。十中八九、オルヴァルが戻って来たのだとは思うが、万が一のこともある。入室してきた人物の胴体が見えた。だが、顔までは分からない。
「ローディル?」
(あ、やっぱりオルヴァルで合ってた)
獣の名を呼ぶ声は確かに、この部屋の主のものだった。だが、ローディルはクッションの山の中に身を隠したまま動こうとしなかった。彼がどんな反応をするのか純粋に興味があったからだ。
オルヴァルは立ち止まり、周囲を見渡しているようだ。
(ぷくく、探してる探してる)
獣は笑いを噛み殺していたが、急に視界が明るくなった。眩しさに目を慣らそうとするローディルの頭上に、オルヴァルの笑い声が降る。
「ここにいたのか」
(ちぇー…)
存外あっさりと見つかってしまい、少し悔しい気持ちになる。自分がいなくてあたふたと慌てる姿が見たかったのにな、と思う。
「今日一日、いい子にしていたようだな。エミルから聞いた。偉いぞ」
優しく頭を撫でられ、ローディルは気持ち良さに目を細めた。いい子にしていたのは信頼を得るための戦略的行動だが、褒められて悪い気はしなかった。
男の顔を見上げて、獣はあれと思った。笑みを浮かべてはいるものの、その顔には疲労が色濃く刻まれている。
それからすぐさま手が離れて、オルヴァルは続き部屋の浴室へと姿を消した。水を浴びる音がして、ローディルはまたゴロンと寝転がった。
(すげー疲れてそうだし、風呂に入ったらオルヴァルもすぐ寝るだろ)
そう考え、睡魔に身を任せて目を閉じた。
寝返りをした拍子に、獣の意識が浮上した。すぐさま再び夢の中へと戻ろうとしたが、室内にぼんやりと光が灯っているのが見えて目が覚める。灯りの出どころに視線をやれば、ベッドに体を預けるようにオルヴァルが座っていた。ランプを灯して、手の中の紙をじっと見ている。
(コイツ、まだ寝てなかったのか!?)
窓から見える空は吸い込まれてしまいそうな程に漆黒の闇で包まれていて、深夜を回っているのは明らかだった。見るからに疲れているのになぜ寝ないのか理解不能だ。ランプの光に照らされた顔は険しく、眉間には深いシワが刻まれていた。時折小さく溜息を吐き、鼻の付け根を指で揉んでいる。
(眠いんだったらさっさと寝ろよ!夜更かしは体によくねえんだぞ!)
ローディルは床の上に下りると、オルヴァルの腕と体の間に頭をねじこんだ。
「っと…、悪いローディル、起こしてしまったか?明るすぎたようだな」
そう言うと男はランプのツマミを回して光量を落とした。そうじゃない!と獣はぎゃうぎゃう鳴いて訴えるも、オルヴァルに通じるはずもなく、彼は苦笑いを浮かべて宥めるように撫でるだけだった。
(こんな夜中に寝ずに読むなんて、そんなに大事なものなのか?)
獣は男の腹の上に乗ると、目を凝らして紙を見た。
(…イズイーク…錯、乱…?)
「こら、悪戯は厳禁だ」
小さな文字を目で追いかけていたのだが、ローディルが読み取れたのは二語だけだった。即座にオルヴァルに首根っこを掴まれてしまったからだ。邪魔だとばかりにベッドの上に戻されてしまう。
激しく鳴いて抗議すると、優しく顔周りを撫でられる。その気持ち良さに、途端に力が抜けてしまう。
(オルヴァルのやつ、ツボを心得てるな…!力加減が絶妙で、手もあったかくて気持ちいい…)
「俺もすぐに寝る。ゆっくりお休み」
意識がまどろみの中に溶けていくのを感じながらも、ローディルは嘘だと直感的に思った。
(嘘の匂いがする。絶対、俺が寝た後もその書類を読んで寝ないつもりだ)
獣は素早く体を起こし、オルヴァルの懐に飛びこんだ。後脚で立ち上がり、前脚を男の顔に押しつける。まるでマッサージを施すかのように、前脚を交互に動かして何度も肉球を押しつけた。
(俺の肉球を食らえ!この柔らか肉球攻撃で、じいちゃんを何度寝かせてきたことか!)
「こら、ローディル。遊びたいならまた別の機会に遊んでやるから…」
(ちっげーよ!寝ろっつってんの!睡眠はめちゃくちゃ大事なんだぞ!)
まるでこっちの意図を理解していないオルヴァルに、ローディルは怒りの鳴き声を上げた。その間も肉球顔面マッサージは続いている。
明らかに何かを訴えかけるように激しく鳴く獣に何か思うところがあったのか、男は急に黙り込んだ。
(あ…大人しくなった。寝たか?……ぅわっ!)
踏み踏みを続けながらも、様子を窺おうと顔を近づける。途端、体を抱えられた状態でオルヴァルが上体を起こした。手探りでランプの明かりを消し、ベッドの上に寝転がる。勿論ローディルのことを抱えたままだ。
突然のことに驚き、獣は目を白黒とさせていた。心臓がバクバクと激しく拍動している。何が起こったんだと固まっていると、規則的な呼吸音が聞こえてきた。そっと前脚を離すと、目はしっかりと閉じられていた。
(びっくりした~…驚かせるなよな、もう!つうか、即爆睡するなんてやっぱり疲れてんのに無理してたんじゃねえか!オルヴァル、危なっかしい奴だなー…)
心の中で怒りながらも、眠ってくれて良かったと獣は安堵した。体を丸めながら、これで自分も安心して眠れるぞと思いながら、ローディルも目を閉じたのだった。
「おはよー、ローディル」
眠たい目を瞬かせながら大きなあくびをする獣に、エミルは微笑んだ。ローディルはベッドの上で、凝り固まった体をほぐそうと、お尻を高く突き出し、背中を反らして伸びをした。
「猫って早起きだって聞いてたけど、やっぱ猫じゃないんっすかねー。伸びをするとこは猫そっくりなのに」
(俺をそこらへんにいる猫と一緒にすんな!俺はえっと…きっと、もっと気高い動物なんだ!……たぶん)
「ははっ、まだ寝ぼけてる?朝ご飯、ここに置いとくっすよー」
うにゃうにゃと不明瞭な鳴き声を発する幼獣を、エミルは声を立てて笑った。ローディルは何の気になしに周囲を見渡した。昨晩隣で寝ていたはずのオルヴァルの姿は既になかった。温もりも残っていないことから、だいぶ経っているようだった。
(いつ起きたんだろ。全然気がつかなかった)
まあいいや、とローディルはすぐさまベッドから降りた。彼の脳内は、目の前のおいしそうな山盛りの食事のことでいっぱいだった。
(うまーい!朝からこんなご飯が食えるなんて幸せだーっ!)
「誰も盗らないから、ゆっくり食べるんすよー」
顔を埋めるように勢いよく食べ進める獣に、エミルが声をかける。だが彼は構うことなく欲望のままに貪った。
ローディルが朝食に舌鼓を打つ間、エミルはベッドメイクを行った。その後は餌皿を片付け、部屋の掃除や片付けだ。慣れた様子でとても手際がよく、早い。オルヴァルの身の回りの世話は彼がしているらしい。
「こら、悪戯しちゃだめっすよ」
エミルは、複雑な模様の絨毯を掃くほうきにじゃれついてくるローディルを注意した。注意とは言っても顔は笑っていて、満更でもないのが分かる。
邪魔をしてはいけないと獣も分かってはいるものの、動物としての本能なのか、目の前で行ったり来たりする物体についつい飛びかかりたくなってしまう。上体を低く伏せ、狩りの体勢を取る。ほうきが右に行けば右へ飛び、左に逃げれば追いかけるように飛びつく。
可愛いな、と目尻を垂れさせていたエミルだが、さすがに掃除にならないと我に返った。前脚でぺちぺちとほうきを攻撃するローディルをベッドの上に避難させる。
(楽しく遊んでたのに!)
「後でいっぱい遊んでやるから、いい子でいるんすよ」
ローディルはぎゃうぎゃう鳴いて不満を露にしたが、エミルは気にする様子もなくテキパキと自分の仕事をこなしている。
(そうだった…いい子にしてないといけねーんだ)
それが夜のうちにローディルが出した結論だった。オルヴァルやエミルは自分に対して好意的だが、アサドは違う。粗相をすれば今すぐにでも叩き出されてしまいそうな圧を感じる。あまり自由奔放に自分勝手に振舞うと、他二人からも愛想をつかされてしまうかもしれない。
だが凶暴さを一切見せず、彼らが望むように大人しい愛玩動物として振舞い信用を得ることが出来れば、鎖をはずしてもらえるかもしれない。そうなれば、自由の身となる日も近い。
「ローディル、お待たせしたっす~」
名前を呼ばれた獣は、ピンと耳を立たせて体を起こした。掃除をするエミルの動きを追いかけていたのだが、そのうち退屈になっていつの間にかうとうとしていたのだ。
「どれがいいっすか?近所の野良猫とたまに遊ぶ用で買ってたら、いつの間にかめちゃくちゃ貯まっちゃったんすよね~」
そう言って彼は手に持った木箱の蓋を開けた。中にはびっしりと玩具が詰まっている。
(うわ、すっげえ……たまに遊ぶためって感じの量には見えないけど…。エミルって相当動物…、猫が好きなんかな?だからすごく寛大なのかな?)
**********
オルヴァルが部屋に戻って来たのは、とても遅い時間だった。主人の広々とした寝床の上でうだうだと寝転がっていたローディルは、扉の開く音を耳にして慌てて大量のクッションの中に隠れた。息を殺し、隙間から様子を窺う。十中八九、オルヴァルが戻って来たのだとは思うが、万が一のこともある。入室してきた人物の胴体が見えた。だが、顔までは分からない。
「ローディル?」
(あ、やっぱりオルヴァルで合ってた)
獣の名を呼ぶ声は確かに、この部屋の主のものだった。だが、ローディルはクッションの山の中に身を隠したまま動こうとしなかった。彼がどんな反応をするのか純粋に興味があったからだ。
オルヴァルは立ち止まり、周囲を見渡しているようだ。
(ぷくく、探してる探してる)
獣は笑いを噛み殺していたが、急に視界が明るくなった。眩しさに目を慣らそうとするローディルの頭上に、オルヴァルの笑い声が降る。
「ここにいたのか」
(ちぇー…)
存外あっさりと見つかってしまい、少し悔しい気持ちになる。自分がいなくてあたふたと慌てる姿が見たかったのにな、と思う。
「今日一日、いい子にしていたようだな。エミルから聞いた。偉いぞ」
優しく頭を撫でられ、ローディルは気持ち良さに目を細めた。いい子にしていたのは信頼を得るための戦略的行動だが、褒められて悪い気はしなかった。
男の顔を見上げて、獣はあれと思った。笑みを浮かべてはいるものの、その顔には疲労が色濃く刻まれている。
それからすぐさま手が離れて、オルヴァルは続き部屋の浴室へと姿を消した。水を浴びる音がして、ローディルはまたゴロンと寝転がった。
(すげー疲れてそうだし、風呂に入ったらオルヴァルもすぐ寝るだろ)
そう考え、睡魔に身を任せて目を閉じた。
寝返りをした拍子に、獣の意識が浮上した。すぐさま再び夢の中へと戻ろうとしたが、室内にぼんやりと光が灯っているのが見えて目が覚める。灯りの出どころに視線をやれば、ベッドに体を預けるようにオルヴァルが座っていた。ランプを灯して、手の中の紙をじっと見ている。
(コイツ、まだ寝てなかったのか!?)
窓から見える空は吸い込まれてしまいそうな程に漆黒の闇で包まれていて、深夜を回っているのは明らかだった。見るからに疲れているのになぜ寝ないのか理解不能だ。ランプの光に照らされた顔は険しく、眉間には深いシワが刻まれていた。時折小さく溜息を吐き、鼻の付け根を指で揉んでいる。
(眠いんだったらさっさと寝ろよ!夜更かしは体によくねえんだぞ!)
ローディルは床の上に下りると、オルヴァルの腕と体の間に頭をねじこんだ。
「っと…、悪いローディル、起こしてしまったか?明るすぎたようだな」
そう言うと男はランプのツマミを回して光量を落とした。そうじゃない!と獣はぎゃうぎゃう鳴いて訴えるも、オルヴァルに通じるはずもなく、彼は苦笑いを浮かべて宥めるように撫でるだけだった。
(こんな夜中に寝ずに読むなんて、そんなに大事なものなのか?)
獣は男の腹の上に乗ると、目を凝らして紙を見た。
(…イズイーク…錯、乱…?)
「こら、悪戯は厳禁だ」
小さな文字を目で追いかけていたのだが、ローディルが読み取れたのは二語だけだった。即座にオルヴァルに首根っこを掴まれてしまったからだ。邪魔だとばかりにベッドの上に戻されてしまう。
激しく鳴いて抗議すると、優しく顔周りを撫でられる。その気持ち良さに、途端に力が抜けてしまう。
(オルヴァルのやつ、ツボを心得てるな…!力加減が絶妙で、手もあったかくて気持ちいい…)
「俺もすぐに寝る。ゆっくりお休み」
意識がまどろみの中に溶けていくのを感じながらも、ローディルは嘘だと直感的に思った。
(嘘の匂いがする。絶対、俺が寝た後もその書類を読んで寝ないつもりだ)
獣は素早く体を起こし、オルヴァルの懐に飛びこんだ。後脚で立ち上がり、前脚を男の顔に押しつける。まるでマッサージを施すかのように、前脚を交互に動かして何度も肉球を押しつけた。
(俺の肉球を食らえ!この柔らか肉球攻撃で、じいちゃんを何度寝かせてきたことか!)
「こら、ローディル。遊びたいならまた別の機会に遊んでやるから…」
(ちっげーよ!寝ろっつってんの!睡眠はめちゃくちゃ大事なんだぞ!)
まるでこっちの意図を理解していないオルヴァルに、ローディルは怒りの鳴き声を上げた。その間も肉球顔面マッサージは続いている。
明らかに何かを訴えかけるように激しく鳴く獣に何か思うところがあったのか、男は急に黙り込んだ。
(あ…大人しくなった。寝たか?……ぅわっ!)
踏み踏みを続けながらも、様子を窺おうと顔を近づける。途端、体を抱えられた状態でオルヴァルが上体を起こした。手探りでランプの明かりを消し、ベッドの上に寝転がる。勿論ローディルのことを抱えたままだ。
突然のことに驚き、獣は目を白黒とさせていた。心臓がバクバクと激しく拍動している。何が起こったんだと固まっていると、規則的な呼吸音が聞こえてきた。そっと前脚を離すと、目はしっかりと閉じられていた。
(びっくりした~…驚かせるなよな、もう!つうか、即爆睡するなんてやっぱり疲れてんのに無理してたんじゃねえか!オルヴァル、危なっかしい奴だなー…)
心の中で怒りながらも、眠ってくれて良かったと獣は安堵した。体を丸めながら、これで自分も安心して眠れるぞと思いながら、ローディルも目を閉じたのだった。
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