1 / 5
死者の声
しおりを挟む俺は小鳥遊 怜、21歳の大学生。最近ちょっとヤバめの仕事に手を出している。
俺にはとんでもない能力がある。俺自身の為にはクソの役にも立たないが、他人の為にはなる代物だ。
俺は死者になれる。遺影があれば、あの世から魂がやってきて勝手に憑依する。一番すげーのは、容姿ごと本人になるんだ。憑依している間は俺の意識が薄れるが、戻ろうと思えばいつでも戻れる便利なもの。
これで一発儲けようと思ったのが運の尽きだった。上手く儲け始めた頃、面倒なのが来てしまったんだ。
大抵の客は、故人が生前身につけていた物を持参する。それを身に纏えば遺影に触れて降霊スタートだ。
特に読経もなく、突然俺の姿が遺影のままに変わるのだから、客は面白いくらいに驚く。これが密かな楽しみになっている。
今日やってきた客は、17歳のヤンキー高校生。親や祖父母にでも会いたいのかと思ったら、死んだ先輩に会いたいときた。なかなかのレアケースだ。
俺も慈善事業ではないので、それなりに高額で儲けさせてもらっている。全くもって正体不明の特殊能力。いつ戻れなくなったって不思議ではない。そう、俺だって危険がないわけではないのだから、妥当な危険手当なのである。
胡散臭い上に高額。だから、そこまでして先輩に会いたいというのはレアなのだ。
まぁ、降霊してみてすぐにわかったが、こいつはただの先輩ではなかった。彼氏だったのだ。余程愛情が深いようだ。
ちなみに、降霊すると死者の感情が亡くなった時のままインストールされる。これは、便利なようで非常に厄介。意識が薄れている俺の感情が、霊の感情とリンクしてしまうのだから。
例に漏れることなく、この後輩への感情が俺の中に溢れてわかった。短い人生で最も愛したかけがえのない恋人なのだと。
『なんでお前、え? 俺死んだはずじゃ····』
「晃輝先輩!」
『千秋、もしかして、お前が俺を呼んだのか?』
「はい、どうしても先輩に会いたくて」
『あの時、言っただろ。俺の事は忘れろって』
「そんなの無理ですよ。俺が、どんだけ先輩の事好きか知らないんですか?」
『ふはっ、知ってるよ。だから言ったんだろ。もう一度言うぞ。俺の事は忘れて幸せになれ。それが俺の幸せだ』
「先輩······。俺がそっちに行くまで、待っててくださいね」
『待ってるよ。だからお前はゆっくり来い』
「先輩、先輩!? 嫌だ! 待って、行かないで!」
「····すみません、もう先輩さん帰っちゃいましたんで」
「······すんません」
俺はそっと後輩君を引き離した。
「大切な人だったんですね」
「······はい。先輩は俺の全てでした。なのに、事故であっさり逝っちまって。隣歩いてた俺を庇って····俺の所為で····」
「違いますよ。先輩さんの気持ちならわかりますよ。『お前が無事でよかった。カッコよくはできなかったけど、俺は自分の大事なモン守れたんだから、それでいい』って」
「先輩はっ、先輩はかっこいいですよ! 先輩は····」
「うん、そうだね」
なんだかしんみりとしてしまったが、後輩君が可愛い事はよくわかった。これは先輩さんの残想なのか、俺に芽生えたものなのか。
どちらでもいい。俺はこの後輩君を守っていきたい。
✳✳✳
「あの、怜さん。今日もお願いします!」
「あ、あぁ。ほら、早く出して」
「はい!」
千秋は晃輝さんの遺影を差し出した。今日も俺は晃輝さんになる。そして千秋の心を守り支えている。
最近、自分が自分に戻れているのか、晃輝さんのままなのか、感情が引き摺られてわからなくなってきた。今、千秋の純粋な瞳に映っているのは誰なのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。
キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、
ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。
国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚――
だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる