平凡な世界にさよならを

こたつにみかん

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第一章 平凡な世界の中で

第四話 答え?

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 「おはよー。鳥橋くん。」

 そう言って入ってきたのは垣根さんだった。

「お前バレバレじゃないか。」

岡崎が入ってきた垣根さんに言った。

「ごめん、ごめん。でも、鳥橋くんがすごすぎなんだよ」

「いやいや、嘘が下手なのもバレてるし」

などといった少しの間二人で話しているのを、訳がわからないような顔で見ていた俺に気づき岡崎が謝りながら言った。

「ごめん、ちゃんと説明するよ。想像以上に君の推測が当たっていたから二人でいるとますます君に怪しまれると思って委員長には外で待ってて貰っていたんだ。」

「じゃあ、もし俺が見当違いのことを言っていたら?」

「その時は、昨日みたいに入ってきてもらうつもりだった。」

「ほんまに全部あってたん?」

「ああ。委員長が俺の仲間ってことや多岐さんがおもしろい答えを言ったこと、このクラスには他におもしろいと思う回答がなかったこと。それに他クラスや他学年にも仲間がいること。」

「あと、あたしたちが普段平和じゃないことに関わってるってこともね。」

垣根さんが付け加えた。

そして岡崎が「さて」と言って話を本題へと続けた。

「これから話すことは全て本当のことだが、信じるかどうかは君しだいだ。」

「ああ。」

「まず、俺たちが何者かってことだけど……俺たちは国際特殊捜査官だ。」

「国際特殊捜査官?」

「そう。鳥橋はさ、この世界で公表されない事件って知ってるか?」

「え、うん。事件の残虐性やらがひどすぎるとかで社会への影響がある事件のことやろ?」

「まぁ、だいたいあってる。他にも迷宮入りした事件や難題過ぎて普通の警察では手に負えない事件などを解決するのが国際特殊捜査官の役割だ。」

「それってただの探偵みたいなもんじゃないん?」

「確かにこれだけしか聞いてないとそう思うかも知れない。だが、決定的に違うところがある。それは、警察と同じように俺たちが犯人を逮捕できると言うことだ。」

「は?」

「全然信じてないみたいだね。」

俺の反応を見た垣根さんが言った。

「じゃあ、岡崎くん『あれ』見せてあげてもいいかな?」

「まぁ、しょうがないか。だが、上にはバレないようにするんだぞ。」

そう言って二人が、おもむろに懐の中からさっき垣根さんが『あれ』と言った物を出した。

「え、あ、ちょ、ちょっと待って。そ、それって本物ちゃうやんな?」

俺が驚くのもしょうがないだろう。なぜなら、俺の目の前に出された『あれ』とは……

「いや、正真正銘本物の拳銃だ。」

そう、なんと、拳銃だ。

俺は驚き過ぎて声が出なかった。

「国際特殊捜査官は警察と同じように拳銃の使用も認められているんだ。」

俺は目の前のことに全然頭がついていっていなかった。

「いや、待てよ。お前らまだ高校生やろ。てか、そんなもん学校に持ってきてええんか?」

「だから、国際特殊捜査官だからだ言っているだろう。」

「いや岡崎くんそれじゃわからないのが普通だよ。」

俺の頭が疑問だらけでどうにかなりそうになっていたとき、垣根さんが救いの手を差し伸べてくれた。

「あのね、鳥橋くん、国際特殊捜査官にはね、ある普通は一定の基準をクリアすると誰でも何歳でもなれるんだよ。例えそれが小学生であっても。それにね、拳銃の使用が許可されてるのはね、それだけ危険なところにもいくからだよ。あと拳銃は肌身はなさず持っとくように言われているの。」

「危険ていうのは残虐性の高い犯人と対峙することか?」

「うん、だいたいそんなところ。」

垣根さんのその答えにはまだ裏がありそうだった。

「じゃあ、その一定の基準って?」

「それはね、高い思考能力があるかということ。他にもあるんだけどそれはまた別の機会に説明するよ。」

「ふ~ん。じゃああの質問はその思考能力を試すテストってことやったんか。」

「それは違う。あれは単純に俺の独断と偏見で面白い奴を見つけて推薦するための質問だ。」

「えっ、何それ。そんな推薦の仕方でええんかいな。」

 俺は驚いた。そもそもあの質問でそこまで分かるものなのかも不思議だ。

 少し考え込んでいると垣根さんが言った。
「でもね、岡崎くんはこの方法で優秀な人材をいっぱい見つけてきてるんだよ。」

「まぁ、あくまでも推薦材料の一つだ。鳥橋を推薦する理由なら他にもある。それに、入隊試験があって、そのときにまた思考能力のテストも受けてもらう。」

「入隊試験なんかあるん?」
納得しかけたのにまた新たな疑問が沸いた。

「当たり前だ。命を掛けるんだからな。」
 一括された。
 というか、スケールが想像できなくなってきた。いやいや、そんな事よりも
「俺、まだ入りたいなんて言うてないねんけど。」

こう言うと、岡崎はとぼけたよういに、
「ん、そうだったか?興味津々で聞いてきているから、てっきりもう入りたいのかと思っていたよ。」

「いや、良く分からんものの話されてんのに質問せいへんわけないやろ。」
俺は少し起こりぎみに言った。

すると岡崎は笑いながら
「まあまあ。でも、きっと気に入ると思うよ。退屈していたんだろ、この平凡な世界に。」

「なんか負けた気分でイヤやな。」
思っていたことを当てられて悔しかった。

「とりあえず簡単に説明するとこんな感じだ。ところで、鳥橋、今日の放課後時間はあるか?」
急に話を変えられて驚いた。

「え、うん。まぁ、今日は部活もないし暇やけど。なんで?」

「そろそろ、他の生徒が来る時間帯だからな。他の説明はそのときだ。」

気付けばもうそんな時間だった。

「わかった。じゃあ放課後に。」

 
 そうこうしているうちに他の生徒が続々と入ってきた。


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