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第三章 幽閉塔の姫君編
25 真夜中の報告
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ビーチの夕日は砂浜も海もピンク色に染めて、宝石のように輝いている。
静かに繰り返す波音が心地良く、リコは潤んだ瞳で海を見つめる。岩場に座ってリコとレオは二人きりで並んで、沈みゆく夕日を眺めていた。
リコは水着の上から白い巻きスカートを身につけているが、ピンクに染まる肌も髪も艶やかで、レオは隣でそっと見惚れていた。
「私、こんなに綺麗な海を見たの、初めてだよ」
「もとの世界では海に行きませんでした?」
「行ったよ。夏になると、家族や友達と。すごく楽しくて……でも、海を見てこんなに感動したのは初めて」
海を見ていたリコは、レオを振り返る。
「レオ君が隣にいるから、特別な海みたい」
「僕も、リコさんと海を見たくて……王様に我儘を言いました」
「レオ君の我儘はすごいね。こんな宝石みたいなビーチがご褒美だなんて」
二人が笑い合う間に夕日は水平線にゆっくり沈んで、紺色の夜空が降りてきた。レオはレベッカ姫を護衛しながら緊張し続けた海とは、まったく違って見える景色に癒されていた。
「寒くないですか?」
レオがケープを出してリコの肩に掛けて、リコはレオの肩に頭を乗せた。二人は寄り添ったまま、夕空に星々が現れるまで、いつまでも海を見つめ続けた。
* * * *
リコはふわふわとして、校舎の階段に座っている。
正面に立っている制服姿の莉子……エリーナは、その様子を笑っている。
「それでね。今、レオ君とバカンスの最中なの」
リコは王族の御用邸のベッドで眠り、夢の中でエリーナと会っていた。
「極上のビーチを彼女にプレゼントするとは、君の恋人はやり手だな」
「デヘヘ~」
秘密の海岸の美しさや、満天の星空の壮大さを熱心に語って、リコは一息吐いた。
「エリーナは、夏休みを楽しんだ?」
「ああ。海水浴に花火、お祭り。浴衣を着て、わたあめを食べたぞ。あれは雪や雲のように見えて、口に含むと優しく甘い。気に入ったよ」
リコは満面の笑みになる。
「エリーナが私の分も、そっちの世界を楽しんでくれるから嬉しいよ!」
互いに微笑みあって、リコはエリーナをじっと見つめた。
「ねぇ。エリーナはお姫様だって、ユーリさんが言ってたよ」
「ああ……確かに、私は北の地の辺境にあった小国の王族だった。だが、軍部がクーデターを起こし、国政は乗っ取られ、さらに戦争によって、国は無くなった」
リコは国が無くなるなんて、想像もできない状況に顔が強張る。
「過去のことだ。今は女子高生の莉子として、私は生きている。幸せだよ。本当に」
「エリーナ」
「そして君の幸せを、心から望んでいる」
チャイムが鳴って、エリーナは淡くなり、リコは駆け寄って抱きしめた。
二人は抱擁したまま互いに淡くなり、夢から覚めたリコは豪華なキングサイズのベッドにいた。
深夜の御用邸は皆が寝静まり、小さな波音が遠くに聞こえる。
両隣には、寝入るまでおしゃべりしたマニとミーシャが眠っていて、リコは安堵して再び目を瞑った。
(エリーナは幸せと言う。だけど、戦争でご家族や友達はどうなったんだろう。自分が生まれ育った国が無くなってしまうなんて、どれだけの悲しみを抱えているんだろう)
涙が小さく溢れた。
(エリーナが気に入ってくれたお祭りのわたあめ。この世界でも、みんなに食べてもらいたいな)
遠く離れた世界にいるエリーナと、せめて同じおやつを共有したいという熱い思いが込み上げていた。
静かに繰り返す波音が心地良く、リコは潤んだ瞳で海を見つめる。岩場に座ってリコとレオは二人きりで並んで、沈みゆく夕日を眺めていた。
リコは水着の上から白い巻きスカートを身につけているが、ピンクに染まる肌も髪も艶やかで、レオは隣でそっと見惚れていた。
「私、こんなに綺麗な海を見たの、初めてだよ」
「もとの世界では海に行きませんでした?」
「行ったよ。夏になると、家族や友達と。すごく楽しくて……でも、海を見てこんなに感動したのは初めて」
海を見ていたリコは、レオを振り返る。
「レオ君が隣にいるから、特別な海みたい」
「僕も、リコさんと海を見たくて……王様に我儘を言いました」
「レオ君の我儘はすごいね。こんな宝石みたいなビーチがご褒美だなんて」
二人が笑い合う間に夕日は水平線にゆっくり沈んで、紺色の夜空が降りてきた。レオはレベッカ姫を護衛しながら緊張し続けた海とは、まったく違って見える景色に癒されていた。
「寒くないですか?」
レオがケープを出してリコの肩に掛けて、リコはレオの肩に頭を乗せた。二人は寄り添ったまま、夕空に星々が現れるまで、いつまでも海を見つめ続けた。
* * * *
リコはふわふわとして、校舎の階段に座っている。
正面に立っている制服姿の莉子……エリーナは、その様子を笑っている。
「それでね。今、レオ君とバカンスの最中なの」
リコは王族の御用邸のベッドで眠り、夢の中でエリーナと会っていた。
「極上のビーチを彼女にプレゼントするとは、君の恋人はやり手だな」
「デヘヘ~」
秘密の海岸の美しさや、満天の星空の壮大さを熱心に語って、リコは一息吐いた。
「エリーナは、夏休みを楽しんだ?」
「ああ。海水浴に花火、お祭り。浴衣を着て、わたあめを食べたぞ。あれは雪や雲のように見えて、口に含むと優しく甘い。気に入ったよ」
リコは満面の笑みになる。
「エリーナが私の分も、そっちの世界を楽しんでくれるから嬉しいよ!」
互いに微笑みあって、リコはエリーナをじっと見つめた。
「ねぇ。エリーナはお姫様だって、ユーリさんが言ってたよ」
「ああ……確かに、私は北の地の辺境にあった小国の王族だった。だが、軍部がクーデターを起こし、国政は乗っ取られ、さらに戦争によって、国は無くなった」
リコは国が無くなるなんて、想像もできない状況に顔が強張る。
「過去のことだ。今は女子高生の莉子として、私は生きている。幸せだよ。本当に」
「エリーナ」
「そして君の幸せを、心から望んでいる」
チャイムが鳴って、エリーナは淡くなり、リコは駆け寄って抱きしめた。
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涙が小さく溢れた。
(エリーナが気に入ってくれたお祭りのわたあめ。この世界でも、みんなに食べてもらいたいな)
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