55 / 138
いきなり試験に突入です?!
どうにかクリアしたけれど
しおりを挟む
教室から宮城先生の姿が見えなくなったあと、わたしは力が抜けたように、椅子へと座りこんだ。
そのまま机の上に両手を伸ばしてつっ伏す。
「終わったぁ。どうにか終わった。でも、これがあと何回かあるんだ……」
わたしの言葉の最後が、消え入るように小さくなる。
脱力しているわたしのそばへ、スキップするように紘一先輩が駆け寄ってきた。
「やったね! 桂ちゃん。この調子で、どんどんクリアしていこう!」
楽しげな紘一先輩の後ろから、さすがに口もとへ笑みを浮かべた凪先輩がやってきて、言葉を続けた。
「頑張ったな」
凪先輩にそう言われて、わたしは改めて、自分の能力を活かせるように頑張ってみようかなと心に決める。
ならば、やっぱり試験に受かりたい。
そう考えたとき、ドアが開いていた教室の入り口から、留城也先輩がふらりと姿をみせた。
目ざとく見つけた紘一先輩が声をかける。
「遅いって、留城也。もう終わっちゃったよ。なんですぐに来なかったのさ。桂ちゃん、無事クリアだよ」
紘一先輩の言葉を聞きながら、留城也先輩は、ちらりとわたしを見る。
そして、ぼそりと口にした。
「一番最初にやるのは圧迫試験だろう? わざわざギャラリーを増やして、受験者へプレッシャーの追い打ちをかけることもねぇだろ」
「留城也には、応援してやろうって気持ちがないの?」
「落ちるときは落ちるんだよ。一回目の試験で落ちるような奴を見に来てどうする? 時間の無駄」
そう言うと、さっさと留城也先輩は教室から出ていった。
最後にやってきて一番に帰ってしまった留城也先輩を、呆気にとられて見送るわたしへ、紘一先輩が、顔をのぞきこむように声をかけてくる。
「留城也の言うことは気にしない! あ、良ければオレ、桂ちゃんがなにか練習したいことがあったらつきあうよ。次の試験も、桂ちゃんに受かってもらいたいもんなぁ」
紘一先輩がどんどん話しかけてくるから、わたしの思考はすぐに違うことへ移ってしまったけれど。
凪先輩も紘一先輩も、わたしの試験に対して応援してくれている。
そして、あとでゆっくり考えてみたら、留城也先輩もわたしの邪魔にならないように、あの場は遠慮をしたのではないかと気がついた。
そうだとしたら。
もしかして留城也先輩は、意外と悪い人ではないのかもしれない。
そのまま机の上に両手を伸ばしてつっ伏す。
「終わったぁ。どうにか終わった。でも、これがあと何回かあるんだ……」
わたしの言葉の最後が、消え入るように小さくなる。
脱力しているわたしのそばへ、スキップするように紘一先輩が駆け寄ってきた。
「やったね! 桂ちゃん。この調子で、どんどんクリアしていこう!」
楽しげな紘一先輩の後ろから、さすがに口もとへ笑みを浮かべた凪先輩がやってきて、言葉を続けた。
「頑張ったな」
凪先輩にそう言われて、わたしは改めて、自分の能力を活かせるように頑張ってみようかなと心に決める。
ならば、やっぱり試験に受かりたい。
そう考えたとき、ドアが開いていた教室の入り口から、留城也先輩がふらりと姿をみせた。
目ざとく見つけた紘一先輩が声をかける。
「遅いって、留城也。もう終わっちゃったよ。なんですぐに来なかったのさ。桂ちゃん、無事クリアだよ」
紘一先輩の言葉を聞きながら、留城也先輩は、ちらりとわたしを見る。
そして、ぼそりと口にした。
「一番最初にやるのは圧迫試験だろう? わざわざギャラリーを増やして、受験者へプレッシャーの追い打ちをかけることもねぇだろ」
「留城也には、応援してやろうって気持ちがないの?」
「落ちるときは落ちるんだよ。一回目の試験で落ちるような奴を見に来てどうする? 時間の無駄」
そう言うと、さっさと留城也先輩は教室から出ていった。
最後にやってきて一番に帰ってしまった留城也先輩を、呆気にとられて見送るわたしへ、紘一先輩が、顔をのぞきこむように声をかけてくる。
「留城也の言うことは気にしない! あ、良ければオレ、桂ちゃんがなにか練習したいことがあったらつきあうよ。次の試験も、桂ちゃんに受かってもらいたいもんなぁ」
紘一先輩がどんどん話しかけてくるから、わたしの思考はすぐに違うことへ移ってしまったけれど。
凪先輩も紘一先輩も、わたしの試験に対して応援してくれている。
そして、あとでゆっくり考えてみたら、留城也先輩もわたしの邪魔にならないように、あの場は遠慮をしたのではないかと気がついた。
そうだとしたら。
もしかして留城也先輩は、意外と悪い人ではないのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる