鬼上司と秘密の同居

なの

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お義母さんと…

透さんがみんなにカミングアウトしてから雰囲気が少しだけ変わった。これから副社長になるためなのか、自分の秘密を伝えてスッキリしたのかはわからないが、冷血、鬼上司と呼ばれていた頃よりも少しだけだが表情が緩やかになったように感じるし、声のトーンも…優しくなった気がする。みんなとのコミニケーションを取るようになったし…透さん人気が上がってるような気がする…

新しく部長になる設楽さんと上田さんは同期でライバルで最初は上田さんが嫌だと反対してたけど、この前わかった後から3人で話合いを重ねて、なんとか上田さんが納得したと教えてくれた。

「今日はみんなにお知らせがある。来週から2週間、海外支店の視察に行ってくる。部長代理は設楽にお願いしているから頼むな」

「はいっ!お気をつけて」
「部長、お土産待ってます」
そんな声が聞こえてきた。

「あと数日だが、俺に質問等ある場合は早めにしてくれ」

「わかりました」   

本当に行っちゃうんだ…仕事だから仕方ないとわかってても…やっぱり寂しい。昨日聞いたときは寂しさと不安で透さんの胸で泣いてしまった…今までは2~3日の出張だったからそんなに感じなかったけど…流石に2週間は長すぎる…どうやって毎日過ごそうか…そんなことを考えていたら

「小沢、どうした?なんかあったか?」僕の顔が曇っていたのか平井が声をかけてくれた。
実は…透さんが出張でいなくなるから寂しい…なんて言えない。言っちゃいけないだろ…「ううん。何でもない」そう答えるのが精一杯だった。 

帰り支度をしていると透さんから〝気をつけて帰れよ。今日は遅いから先に寝ててもいいから、戸締りだけはちゃんとしておいてね〟と…昨日、視察の準備で忙しくなるから残業は決定なるって言ってたっけ…晩ごはんはコンビニで買って食べながら作業するからしばらくは1人で食べるか、学さんの所に行けって…帰ってくるの待ってるって言ったけど…何時になるかわからないから気にしないでご飯は食べてて、寝てもいいからと…

今日の僕はテンションも下がっててやる気も起きないので定時で上がることにした。晩ごはん…1人じゃ寂しいなぁーって考えながら、ぶらぶらと当てもなく歩いてしまった。気がついたら1駅近く歩いてしまっていた。電車に乗って帰ろうと思ったら「プップー」とクラクションの音が聞こえた、その直後「海斗くん、どこ行くの?」
「えっ?」
透さんのお義母さんが窓から顔を出していた。
僕は車に近寄って声をかけた。
「どうしたんですか?お義母さん」

「透が出張の準備で忙しいでしょ?海斗くん、寂しいんじゃないかって思ってね。私も今は慣れたけど…新婚当初は寂しくて…だから海斗くんに会いに行こうと思ってきたのよ。まさかこんな所で会うなんて思ってなかったけど…もう帰るの?歩いて帰るの?」

「いつもは電車に乗るんですけど…なんかぼーっとしながら歩いてたら、こんな所まで歩いてて…」

「そうか…今ね。誠さんと透にお弁当作ってきたの。だから渡しに行こうと思ったのよ。今日は2人とも残業で、きっとコンビニ弁当だと思って…海斗くんの分も作ったから一緒に行って食べよう。さっ、車に乗って」

「失礼します」
お義母さんの運転する車の助手席に腰を下ろした。

「海斗くん、元気にしてた?」

「はい。元気です」

「お弁当、色々作ったの。海斗くんの口に合うといいけど…会社で会えなかったら海斗くんに会いに行こうと思ってたから会えてよかったわー」

「でも…僕がお義母さんと一緒に行ったら…まだみんなに言ってないので…」

「大丈夫よ。うちは自社ビルなの。だから秘密の通路があるのよ」

「秘密の通路?」

「そう。地下の駐車場から社長専用のエレベーターがあるの。だから他の社員さんには会わないはずよ。そろそろ着くわね。ちょっと待ってて」

お義母さんは路肩に車を止めて電話をかけ始めた。

ー誠さん?突然でごめんね。そろそろ会社に着くの。下に透を迎えに来てもらってもいい?

ーだってぇ…会いたいなぁ~と思って、お楽しみもあるのよ。

ーそう。それは内緒!待ってて。それと…透にサプライズもあるの。お願いね。

「大丈夫みたいだから、行きましょう」
そう言って、また運転を始めた。
会社の駐車場に着くと専用の場所に車を停めた。ドアの近くに透さんが見えた。

「海斗っ…なんでお袋と?」
「途中で会ったの。はい。これ持ってね!」
大きなバックを透さんに手渡した。

「海斗、お袋と途中で会ったのか?あれからずいぶん時間がたってるが…」
「海斗くんと隣の駅近くで会ったの」
「何でそんな所に…」
「すみません。ぼーと歩いてたら…」
「なんか具合悪い?」
そう言って、おでこに手を当ててくれたのでびっくりした。
「熱はないです」
「そうか?ならいいが…」

奥に進むと1つのエレベーターがあった。透さんがカードキーをかざすと動き始めた。

このエレベーターは社長室のあるフロアー専用のようで途中で止まることなくそのまま最上階に着いた。

エレベーターを出てすぐの所に社長室があって僕は初めてきた。

「こっちだよ」
透さんに背中に手を当てられ誘導され、社長室の中に入った。




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