鬼上司と秘密の同居

なの

文字の大きさ
80 / 105

見つけた

しおりを挟む
俺と叔父さんで1Fにある警備室兼防災センターに向かおうとしたが、運悪く1台のエレベーターが点検中だった。もう1つは1階に着いたばかりだ、ここは6階、もしかしたらその上の階の人が呼んでたら到着まで、まだかかるかもしれない。
「透、階段で行くか?」

「そうだね。待ってるのも、もどかしいから」
俺たちは非常階段で1階に降りようとドアを開けた。
ひんやりとした空気がする中、叔父さんと降りた。今日は朝、雨が降っていたせいか階段の踏み面が雨で濡れていた。滑って転んだら大変だ…5階…4階…3階になったところで人影が見えた。階段の踊り場でうずくまっていた。「海斗!」駆け降りて側に行った。
海斗は階段を使って降りようとしたところを、雨で滑って転んだのだ。腰の辺りを押さえていた。
「海斗、どこが痛い?」

「透さん……腰が……滑って腰を打ったみたいで……」

「わかった。とりあえず病院に行こう。立てるか?」

俺と叔父さんで海斗の両脇を支えて2階からエレベーターで地下に行った。叔父さんの運転で近くの整形外科に受診をすることになった。
受付で階段から滑って落ちたことを伝えると、すぐにレントゲンを撮ってくれた。幸い骨には異常はなく、痛み止めと湿布で様子を見ることになった。
3日~4日様子見で安静にするように、痛みが強くなったり、悪化したら、すぐに受診するようにと言われ、ひとまず家に帰ることにした。
スーツだと寝づらいだろうとパジャマに着替えるのを手伝った。足をあげたりするのが痛そうで見ていてかわいそうになる。

「海斗くん、今日はゆっくり休むんだよ。色々あって疲れただろう」

「里中さんすみません。迷惑をかけました」

「海斗くん、そんなこと…」

「そうだよ海斗は悪くないからな。俺会社に荷物取りに行くから寝ててね。飲み物は置いてあるから。30分くらいで帰ってくるから」
海斗のおでこにキスをして叔父さんに会社まで送ってもらった。

会社に着くと角谷さんが駐車場で待っていてくれた。
「透さんと海斗くんの荷物です。海斗くんの具合はどうですか?」

「角谷さんありがとう。骨にも異常はなかったから、数日安静になりました」

「そうですか…様子はいかがですか?」

「それが…謝ってばかりで、落ち込んでるんです。家に帰ったら、ゆっくり話しします」

「そうですね。あまり無理はさせないようにしてくださいね」

「ありがとうございます」
俺は自分の車に乗り換えて、途中のスーパーで買い物をしてから家に帰った。

「ただいま海斗、大丈夫か?」

「すみませんでした」

「もう謝らなくていいから。海斗の荷物持ってきたから」

「ありがとうございます」

「痛みが強そうだから薬飲むか?その前に何か食べた方がいいだろ?プリン買ってきたから食べよう?」
海斗の体を起こし、背中に枕やクッションを入れて俺も海斗の隣に座った。

「海斗あーんして?」
プリンを乗せたスプーンを差し出すと口を開けてくれた。まるで雛鳥に餌をあげてる気分になってしまった。半分くらい食べてもういらない。と言われ薬を飲ませた。少し眠くなる成分が入ってると言われてるから、少しでも眠れるといい。昨日もあまり眠れてなかったみたいだからな。

「少し眠った方がいい。起きたらご飯食べような」
海斗が頷いたので、背中に当ててたクッションたちを取って、横に寝かせた。俺もスーツを脱ぎ着替えると、海斗はすやすやと寝息を立てていた。
「おやすみ」海斗の唇にキスをして、部屋を出た。
海斗が起きたらご飯にしようと鍋の準備をするためにキッチンに向かった。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

処理中です...