僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの

文字の大きさ
18 / 74

ココからのSOS

ココが珍しく俺のベッドの上に上がって吠え出した。
まだ眠たかった俺だが、どうしたのかとココに聞いてみた。

「ココ珍しいな、起こしに来ることなんてなかったのにどうした?」
するとココは俺の顔を見ながらベッドから降りて部屋を出ようとする。珍しくお腹でも空いたのか?時計を見るとまだ6時半を過ぎたばかりだ。
仕方なくココと一緒に部屋を出ると、ココは奈月くんの部屋のドアから入ろうとしていた。

「ココ奈月くんもまだ寝てるだろ?どうした?」
なぜかココは奈月くんの部屋の前から動かない。おかしすぎる…こんなココは見たことがない。急に不安に思ってドアを開けると奈月くんがベッドにもたれるようにして倒れていた。側には俺が書いた交換ノートが落ちていた。

「奈月くん?奈月くん?」
呼びかけにもなんの返事もない。
俺は母さんとハルさんを呼んだ。
「いつから倒れてるの?」

「ココが呼びに来てからだからまだ5分くらい」

「救急車…」とハルさんが言ったときに奈月くんの手が動いた。

「奈月くん、わかる?奈月くん」
そして目がゆっくりと開いた。

「僕…」

「うん。少し気を失ってたのかな?何か辛かったことでもあった?」

「大丈夫…です」
きっと言いたくないのだろう。でも母さんが奈月くんを抱きしめた。

「奈月くん、泣きたい時は言ってもいいのよ。奈月くんはこの家の子なんだから、胸の中に苦しいのがあると息が詰まるでしょ?だからなんでも話していいの。それで嫌いになんかならないから樹でも私でもハルさんでもいいからね」
そう言うと何度も頷いた。

「奈月くんは誰かに話を聞いてほしい?」

「僕…は…樹さんと…話したいです」

「わかった。樹、ゆっくり聞いてあげなさい。無理に話を聞こうとかすると過呼吸を起こす可能性があるからね」

「わかった。奈月くん大丈夫だからね」
そう言って母さんとハルさんは出ていった。

「奈月くん、苦しかったんだな。でも大丈夫だからね」
ベッドに腰掛けてる奈月くんの頭を優しくゆっくりと撫でてあげた。
俺はあまり倒れた原因を聞こうとせずに違う話題を話すことにした。

「そういえばココとは朝まで寝てたのか?」

「はい。僕の布団で一緒に寝てくれました」

「そうか、よかったな。今日も一緒に寝るといいよ」

「寝てくれるかな?」

「大丈夫だよ。今日眠れたんだから」

「樹さん…手紙ありがとうございました。嬉しかったです」

「いや。俺も奈月くんから手紙欲しくなってね」

「僕からですか?でも僕…」

「どうかしたか?」

「あまり学校に行ってなかったから漢字とかあまり知らなくて…しかも字も樹さんみたいに綺麗に書けないから、恥ずかしいんです」

「そんなことないよ。書いたら字も綺麗になるよ。それならハルさんに教えてもらう?」

「ハルさんですか?」

「そう。ハルさんは習字の先生でもあるんだ。だから俺も小さい頃、教えてもらったんだ」

「僕にも教えてくれますか?」
見上げる奈月くんに、きっと喜んで教えてくれるよと答えた。俺は奈月くんが愛しくてたまらない。その気持ちは抑えられない。こんな年上のおじさんに好かれて迷惑かもしれないけど俺は奈月くんを手放すことはできない。今は愛を語れないけど、いつの日か奈月くんと愛し合いたいと思ったと同時に、俺の中心はムクムクと反応してしまう自分に驚いた。奈月くんを驚かせてはいけない。だから自分の気持ちを今はまだ押し殺して優しく接しようと心に誓った。奈月くんに嫌われないように…
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21) ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー