僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの

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奈月のチャレンジ

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その日の夜、一緒の布団に入りながら俺は奈月に聞いてみたかったことを質問した。
「奈月はこれから何かしたいことはあるか?」
奈月と暮らすようになってずっと考えていたことだった。奈月は天井を見上げて考えていた。しばらくして俺のほうに体の向きを変えると

「僕、何か人の役に立つことがしてみたいけど学校に行ってなかったからとりあえずバイトをしながら高卒認定の試験に合格できるように勉強をしようと思ってるんですけどいいですか?」
奈月がそんなことを考えてたなんて知らなかった。きっと年の近い一平くんと咲夜くんのおかげなのかもしれない。でもバイトって……

「奈月、学校に行きたいなら認定試験に合格したら大学でも専門学校でも好きなところに行けばいい。ただ……そのお金は俺が出してもいいかな?というか出させてくれないか?」
そう言うとびっくりした顔で起き上がった。

「どうして樹さんが?生活費も出してもらってるし自分のために使うお金だから自分で……」
そんなことを言い出す奈月にわかるように話しかけた。

「奈月、奈月と俺は戸籍上は兄弟だよな。でも実際は?兄弟じゃなくて恋人だろ?恋人が頑張ろうとしてることを俺は全力で応援したいと思ってる。だから奈月の学費は俺に出させてくれ」
奈月は不満気だったが最終的には納得してくれた。

俺は次の日から仕事の合間を縫って高卒認定に関する資料を集めては奈月に見せた。奈月は自力で勉強して合格する人が多いみたいだから1人で頑張ると言ってたが本当に大丈夫だろうか?あまり学校に行ってなかったようだけど昼間は時間があるから1人で勉強できると言って参考書を昨日は広げていたが……

「何かありましたか?社長」
社長室で考え込んでいたようで卓也に声をかけられた。

「あぁ奈月が高卒認定の試験を受けたいらしいんだ。まだ何かやりたいことは決まってないけど、だけど勉強を1人でできるか少し心配になってな。悪いな仕事中に考え事してしまって、そろそろ会議の時間か行かないとな」
奈月のことを考えてて仕事をおろそかにしてはいけないと最近、気を引き締めていたのだが……

「社長……というより樹、今はプライベートの話だがリハビリの合間に咲夜くんたちに頼んでみてはどうだ?歳も近いから奈月くんの力になってくれると思うぞ」
そう言われていい案だな。今日2人がくる予定だから聞いてみるよ。少しスッキリした気持ちで会議室に向かった。

その日の夜、2人に奈月の勉強を聞いてみると2人は快く家庭教師を引き受けてくれた。必要な科目が8~9科目もあるし1年に2回しか受けられなく今年度は出願が終わりそうなのでとりあえずチャレンジしようと決めた。試験はあと2ヶ月後だ。これからの勉強について3人でスケジュールを見ながら考えていた。できれば必要科目の1つでも受かればいい。そしたら来年は少しは楽に受けられるかもしれないな。そんなことを考えて出願に必要な願書を明日取りに行こうと思い卓也にメッセージを送った。

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