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「頭は至って正常ですわ、お父様」
私は父の手をそっと押し返して、胸を張った。
「婚約もなくなった今、わたくしは自由の身。これからは、かねてからの夢だった農業に人生を捧げたいのです」
「……」
お父様は心底理解できないという顔で、巨大なソファにどっかと腰を下ろした。そして、こめかみを揉みながら深いため息をつく。
「お前が何を言っているのか、さっぱり分からん…」
「ですから、畑を…」
「そのハタケの話は一旦置いておけ!」
ピシャリと遮られてしまった。むぅ、わたくしの情熱が伝わらないなんて。
「いいか、リリアンヌ。王子に公の場で婚約破棄されたのだ。しばらくは社交界にも出られん。ほとぼりが冷めるまで、どこか王都から離れた場所で静かに暮らすのが筋だろう」
「まぁ!それは好都合ですわ!」
私はパァッと顔を輝かせた。
「それなら、ぜひ辺境へ!できれば、まだあまり開拓されていない土地がよろしいですわね!」
「……なぜそうなる」
父の眉間のシワが、また深くなった。
「わたくしの農業への情熱を、そのような痩せた土地でこそ燃やすべきだと思うのです!ゼロから…いえ、マイナスからのスタートこそ、わたくしの心を躍らせますわ!」
「お前は本当に、わしの娘か…?」
お父様は天を仰いだ。でも、その口元が少しだけ緩んでいるのを、私は見逃さなかった。お父様は、私の突拍子もないところを、結局は面白がってくれるのだ。
「…分かった」
しばらくの沈黙の後、お父様が口を開いた。
「そこまで言うなら、行かせてやろう。我がクライネルト家が北の果てに所有する、名ばかりの辺境領地がある。あそこなら、お前の言う『開拓しがいのある土地』だろうよ」
「本当ですの!?お父様!」
「ただし、体裁としては『追放』という形をとる。しばらくはそこで領主代行として、好きにやってみるがいい」
追放!なんと素敵な響き!悲劇のヒロインっぽさがマシマシじゃない!
「ありがとうございます、お父様!」
「うむ。それから、護衛を一人つける。アラン・ウォーカーという騎士だ。平民出身だが、剣の腕は確かで、真面目すぎるくらい真面目な男だ。お前の奇行にどこまでついてこられるか、見ものだな」
アラン・ウォーカー。私の辺境ライフの、記念すべき一人目の仲間(?)ね!
「えぇ、どなたでも歓迎いたしますわ!さっそく、準備を始めませんと!」
私は意気揚々と立ち上がった。まずは、愛用の農具書を荷物に入れなくては!私の心はすでに、北の果ての辺境の地へと飛んでいた。
私は父の手をそっと押し返して、胸を張った。
「婚約もなくなった今、わたくしは自由の身。これからは、かねてからの夢だった農業に人生を捧げたいのです」
「……」
お父様は心底理解できないという顔で、巨大なソファにどっかと腰を下ろした。そして、こめかみを揉みながら深いため息をつく。
「お前が何を言っているのか、さっぱり分からん…」
「ですから、畑を…」
「そのハタケの話は一旦置いておけ!」
ピシャリと遮られてしまった。むぅ、わたくしの情熱が伝わらないなんて。
「いいか、リリアンヌ。王子に公の場で婚約破棄されたのだ。しばらくは社交界にも出られん。ほとぼりが冷めるまで、どこか王都から離れた場所で静かに暮らすのが筋だろう」
「まぁ!それは好都合ですわ!」
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「それなら、ぜひ辺境へ!できれば、まだあまり開拓されていない土地がよろしいですわね!」
「……なぜそうなる」
父の眉間のシワが、また深くなった。
「わたくしの農業への情熱を、そのような痩せた土地でこそ燃やすべきだと思うのです!ゼロから…いえ、マイナスからのスタートこそ、わたくしの心を躍らせますわ!」
「お前は本当に、わしの娘か…?」
お父様は天を仰いだ。でも、その口元が少しだけ緩んでいるのを、私は見逃さなかった。お父様は、私の突拍子もないところを、結局は面白がってくれるのだ。
「…分かった」
しばらくの沈黙の後、お父様が口を開いた。
「そこまで言うなら、行かせてやろう。我がクライネルト家が北の果てに所有する、名ばかりの辺境領地がある。あそこなら、お前の言う『開拓しがいのある土地』だろうよ」
「本当ですの!?お父様!」
「ただし、体裁としては『追放』という形をとる。しばらくはそこで領主代行として、好きにやってみるがいい」
追放!なんと素敵な響き!悲劇のヒロインっぽさがマシマシじゃない!
「ありがとうございます、お父様!」
「うむ。それから、護衛を一人つける。アラン・ウォーカーという騎士だ。平民出身だが、剣の腕は確かで、真面目すぎるくらい真面目な男だ。お前の奇行にどこまでついてこられるか、見ものだな」
アラン・ウォーカー。私の辺境ライフの、記念すべき一人目の仲間(?)ね!
「えぇ、どなたでも歓迎いたしますわ!さっそく、準備を始めませんと!」
私は意気揚々と立ち上がった。まずは、愛用の農具書を荷物に入れなくては!私の心はすでに、北の果ての辺境の地へと飛んでいた。
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