キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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その頃、王都のローゼンベルク王城では、華やかなお茶会が開かれていた。主催者は、今やエドワード王子の寵愛を一身に受ける男爵令嬢、マリー・アンダーソン。

「まぁ、マリー様!このお菓子、なんて美味しいのでしょう!どこのお店のものですの?」

「うふふ、わたくしのためだけに、パティシエに作っていただいたのよ」

マリーは取り巻きの令嬢たちに囲まれ、得意げに微笑む。彼女の周りには、目にも鮮やかなケーキや焼き菓子、そして他国から取り寄せた高価な茶葉が並んでいた。

その様子を、少し離れた場所からエドワード王子が満足げに眺めている。

「マリーは本当に愛らしいな。彼女の笑顔を見ているだけで、私は満たされる」

しかし、その側近である文官の顔色は優れなかった。

「王子…。先日から、クライネルト公爵家との連携が全く取れておりません。以前はリリアンヌ様が全て円滑に進めてくださっていましたが…」

「なんだ、そんなことか。リリアンヌがいなくとも、代わりはいくらでもいるだろう」

エドワードは不機嫌そうに答える。彼は気づいていない。リリアンヌが、公爵令嬢という立場と類稀なる実務能力で、どれだけ国政の潤滑油として機能していたかを。

彼女が担当していた予算管理の書類は山積みになり、公爵家が支援していた事業は次々と停滞し始めていた。

文官は、溜息を押し殺す。

(リリアンヌ様がいらっしゃった頃は、こんなことにはならなかった…)

彼女は、口うるさいところはあったが、仕事は常に完璧だった。貴族間の複雑な力関係を理解し、見事に調整してみせた。王子がマリーとの逢瀬を楽しんでいる間も、彼女は夜遅くまで執務室でペンを走らせていたのだ。

「それより、マリーが新しいドレスを欲しがっていてな。また予算を少し回してもらえないか?」

「しかし王子!これ以上は国庫から…!」

「えぇい、うるさい!私の可愛いマリーのためだ、なんとかしろ!」

王子の我儘に、文官は頭を抱えるしかなかった。

王子の盲目的な愛と、マリーの底なしの浪費。そして、リリアンヌという有能な歯車を失った王国の政治は、目に見えないところで少しずつ、確実に軋み始めていた。
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