キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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辺境の村は、収穫の秋を迎え、活気に満ちていた。リリアンヌが主導した水路と土壌改良のおかげで、今年の作物の出来は例年になく素晴らしいものだった。

「リリアンヌ様のおかげだ!」
「これで、今年の冬は腹いっぱい食えるぞ!」

村人たちの顔には笑顔が溢れ、ささやかな収穫祭の準備が進められていた。私も、黄金のじゃがいもは見つからなかったものの、普通のじゃがいもが立派に育ったことに満足していた。

しかし、そんな平和な村に、じわり、と不穏な影が忍び寄っていた。

始まりは、一人の子供が咳き込み、熱を出したことだった。

「ただの風邪だろう」

誰もが、そう軽く考えていた。だが、次の日にはまた一人、その次の日にはさらに二人と、同じ症状を訴える者が増え始めたのだ。

咳はひどくなる一方で、高熱にうなされる者も出てきた。

「どうしたっていうんだ…」
「ただの風邪じゃねえぞ、こりゃ…」

村に、たった一人いる年老いた薬師も、首を捻るばかり。彼が処方する薬草では、症状は一向に改善しなかった。

収穫祭の準備は中断され、村は重苦しい沈黙と、不安に包まれた。家々からは、苦しそうな咳の音が絶え間なく聞こえてくる。

「アラン、村の様子はどうですの…?」

私は、見回りから帰ってきたアランに尋ねる。彼の表情は、硬く、険しい。

「…良くありません。病人は増える一方です。特に、子供や老人が重症化しやすいようです」

「そんな…」

私は唇を噛みしめた。せっかく、皆が笑顔で暮らせるようになったというのに。このままでは、村は崩壊してしまう。

(悪役令嬢として、このまま見過ごすわけにはいきませんわ…!)

いや、悪役とかそういう問題ではない。この村は、わたくしの大切な領地。そして、村人たちは、わたくしが守るべき民なのだ。

私は固く拳を握りしめた。

「わたくしに、考えがありますわ」

私の目に、決意の光が宿る。この村を、この手で救ってみせる。
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