キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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アランが持ち帰った『月の雫』は、まさに奇跡の薬草だった。重症だった患者たちは、その薬のおかげで劇的に回復し、村はようやく落ち着きを取り戻した。

アランの怪我も、リハビリが必要とはいえ、命に別状はないところまで回復した。

平穏が戻った村で、私は今回の病の原因調査を始めていた。ただの流行り病にしては、あまりに不自然な点が多かったからだ。

「病になった者が、共通して口にしていたものはありますか?」

私の問いに、村人たちは首を捻る。

「さぁ…特別なもんは食ってねえが…」

その時、一人の主婦が思い出したように言った。

「そういえば、最近、王都から来た行商人から、小麦粉を安く買ったんだ。病気になった家は、みんなあの小麦粉でパンを焼いてたかもしれねぇ」

小麦粉…。私はハッとした。

アランにそのことを話すと、彼も眉をひそめた。

「そういえば…私が森で倒したオークのそばに、破れた小麦粉の袋が落ちていました。荷馬車を襲った痕跡があったので、気にしていませんでしたが…」

アランは、森へ向かった村の若者たちに、その残骸を持ってきてもらうよう頼んだ。

届けられた袋の紋章を見て、私は息をのんだ。それは、王都でも最近急速に力をつけてきた、とある新興商会のものだった。そして、その商会の後ろ盾となっているのが…。

「…マリー・アンダーソンの実家、アンダーソン男爵家ですわ」

私の言葉に、アランの顔色が変わる。

「まさか…」

「考えたくはありませんが…可能性がありますわ。質の悪い、あるいは汚染された小麦粉を安価で仕入れ、辺境の村に売りさばいて利益を得ていた…」

それが、今回の病の真相。マリーの実家が私腹を肥やすために、この村の人々を実験台にしたのだとしたら…。

「許せない…!」

私は、腹の底から湧き上がる怒りに、拳を強く握りしめた。これは、事故ではない。人災だ。それも、最も卑劣な。

「アラン。この件、証拠を集める必要がありますわ」

「はい。必ずや、悪事を白日の下に晒しましょう」

アランの瞳にも、私と同じ、静かな怒りの炎が燃えていた。私たちの戦いは、まだ終わっていなかったのだ。
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