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「…うーん、やはり『携帯用ミニ薬研』は二つ必要かしら。万が一、片方がすり減ってしまった時のために…」
翌朝。
私は、自室でトランクケースと格闘していた。
「あ! それと、乾燥薬草を入れるための小瓶が足りませんわ! メイドを呼ばないと」
私の荷物は、ドレスや装飾品といった、いわゆる「令嬢の必需品」は最低限。
その代わり、トランクの大半を占めているのは、愛用の薬草道具一式だった。
銀のピンセット(数種類)。
ガラス製のスポイトとメスシリンダー。
用途別の乳鉢と乳棒。
そして、山のような量の空の小瓶。
「我ながら、完璧な荷造りですわ」
私は、満足げに頷いた。
これだけあれば、辺境でどんな未知の薬草に出会っても対応できる。
コンコン、と控えめなノックが響いた。
「お嬢様。お客様がお見えでございます」
「お客様?」
「はい。…その、『監視役』の方が」
「まあ!」
私は、弾かれたように顔を上げた。
氷の騎士様!
ついにご対面ですわね!
私は、慌てて姿見で身だしなみをチェックする。
今日のドレスは、動きやすさを重視した(つもりの)濃緑色の乗馬服風ドレスだ。
これなら、馬車から飛び出して薬草を採取するのにも便利だろう。
「すぐにお通しして! …いえ、わたくしが参りますわ!」
私は、メイドの返事も待たず、部屋を飛び出した。
父上の書斎ではなく、応接間に通されているはずだ。
私は、悪役令嬢(謹慎中)らしく、しとやかに(しかし早足で)廊下を進み、応接間の前に立った。
「ルーシュ・フォン・ヴァインベルグ、入りますわ」
わざとらしく声をかけ、重い扉を開ける。
部屋の中には、父上と、一人の男性が立っていた。
(あの人ですわね…!)
窓から差し込む朝日に照らされたその人は、噂に違わぬ、見事なまでの「氷」だった。
背が高く、引き締まった体躯。
黒曜石のような黒髪が、白すぎる肌との対比を際立たせている。
そして、何よりも目を引くのは、そのアイスブルーの瞳。
まるで感情というものが存在しないかのように、冷たく、静かにこちらを見ている。
表情筋が、死んでいる。
「ルーシュ。こちらが、貴様の監視役…護衛役として同行してくださる、アラン・ディーク・フォン・クライスト辺境伯だ」
父上が、疲れた声で紹介する。
「アラン卿。こちらが、例の娘、ルーシュだ」
アラン辺境伯は、私を一瞥すると、表情一つ変えずに、機械のような動作で一礼した。
「…アラン・ディーク・フォン・クライストだ。よろしく、ルーシュ嬢」
声まで冷たい。
低く、よく通る声だが、抑揚というものが一切感じられない。
(素晴らしい! これぞ氷の騎士!)
私は、感動に打ち震えた。
これほどまでに噂通りの人物に出会えるとは。
「まぁ! ご丁寧にどうも。わたくしがルーシュ・フォン・ヴァインベルグですわ!」
私は、満面の笑みで、練習してきた完璧なカーテシーを披露した。
「……」
アラン辺境伯は、私の(嬉々とした)挨拶を受けても、やはり無表情だった。
ただ、その冷たいアイスブルーの瞳が、わずかに細められた気がした。
おそらく、婚約破棄されたばかりの令嬢にしては、私の態度が明るすぎることに困惑しているのだろう。
「アラン卿には、辺境領までの道中、および、現地での貴様の監視を一切任せてある」
父上が、重々しく告げる。
「もし、万が一、お前が逃亡したり、良からぬことを企てたりした場合は…」
「その際は、ヴァインベルグ公爵家の名においてではなく、王家の法に基づき、即刻拘束いたします」
アラン辺境伯が、父の言葉を引き継いだ。
淡々とした、事務的な口調だ。
「まあ! 頼もしいですわ!」
私は、思わず拍手をしてしまった。
「……」
アラン辺境伯の眉間の皺が、今度ははっきりと深くなった。
父上は、もうこめかみを押さえる気力もないのか、天を仰いでいる。
「(ゴホン)…それで、アラン様」
私は、ずっと気になっていたことを尋ねることにした。
「はい」
「アラン様は『氷の騎士』と呼ばれていらっしゃるとか。それは、やはり、お体が冷えやすい体質だからですの?」
「…は?」
アラン辺境伯の整った顔に、初めて「無表情」以外のもの…「完全な困惑」が浮かんだ。
(あら、違いました?)
「わたくし、てっきりアラン様は、末端冷え性か、あるいは凍傷に悩まされていらっしゃるのかと」
「……」
「ご心配には及びませんわ! わたくし、そういう方のために、血行を促進し、体の芯から温める特製薬草茶を開発いたしましたの!」
私は、持参しようと思っていたポシェットから、試供品の小袋を取り出した。
「これは、乾燥させた火炎草と、ジンジャーリリィの根を独自に配合したものですわ。お湯で煮出すだけで、効果てきめん! 今なら、凍傷予防の特製塗り薬(試作品)もお付けしますわよ!」
「……」
アラン辺境伯は、私が差し出した小袋と、私の顔を、信じられないものを見る目で交互に見ている。
「ルーシュ!!!」
ついに、父の我慢が限界を超えた。
「アラン卿に対して、なんという無礼な…! それは薬草ではなく、ただの雑草だ!」
「ひどいですわ、父上! これは立派な薬草です! まだ学会では認められていませんが!」
「うるさい! 早くそれをしまえ!」
私は、父に一喝され、しぶしぶ小袋をポシェットに戻した。
(せっかくの自信作ですのに…)
「…アラン卿」
父が、心底すまなさそうな顔で、アラン辺境伯に向き直る。
「…すまない。娘は、こういうやつだ。悪気は…いや、悪気しかないのかもしれんが…とにかく、監視をよろしく頼む」
「…承知、いたしました」
アラン辺境伯は、数秒の沈黙の後、ようやくそう答えた。
その声には、先ほどまでの冷たさに加え、若干の「疲労」が混じったように聞こえた。
「では、ルーシュ様。準備はよろしいですか」
「はい! 完璧ですわ!」
「…馬車の手配は済んでいます。すぐに出発を」
「まあ、もう出発ですの? わかりましたわ!」
私は、父上に「では、行ってまいりますわ、父上!」と元気に挨拶し、アラン辺境伯の後に続いた。
玄関先には、ヴァインベルグ家の紋章が入った、長旅用の頑丈な馬車が停まっていた。
その周囲には、アラン辺境伯の部下らしき、私服の護衛騎士が数名控えている。
「…道中、馬車から勝手に降りぬよう」
「えっ」
「休憩は、決められた宿場町でのみ行います」
「そ、そんな…! 道端に珍しい薬草が生えていたらどうするのですか!」
「…生えていません」
「まだ見ていないのに、なぜわかるのですか!」
「……」
アラン辺境伯は、私の抗議を完全に無視し、私を馬車に乗るよう促した。
(この人…手強そうですわ…!)
私は、これから始まる辺境への旅路に、新たな(そして厄介な)障害が現れたことを悟った。
氷の騎士の監視の目をかいくぐり、いかにして薬草を採取するか。
私の第二の人生は、思った以上に波乱万丈な幕開けとなりそうだった。
翌朝。
私は、自室でトランクケースと格闘していた。
「あ! それと、乾燥薬草を入れるための小瓶が足りませんわ! メイドを呼ばないと」
私の荷物は、ドレスや装飾品といった、いわゆる「令嬢の必需品」は最低限。
その代わり、トランクの大半を占めているのは、愛用の薬草道具一式だった。
銀のピンセット(数種類)。
ガラス製のスポイトとメスシリンダー。
用途別の乳鉢と乳棒。
そして、山のような量の空の小瓶。
「我ながら、完璧な荷造りですわ」
私は、満足げに頷いた。
これだけあれば、辺境でどんな未知の薬草に出会っても対応できる。
コンコン、と控えめなノックが響いた。
「お嬢様。お客様がお見えでございます」
「お客様?」
「はい。…その、『監視役』の方が」
「まあ!」
私は、弾かれたように顔を上げた。
氷の騎士様!
ついにご対面ですわね!
私は、慌てて姿見で身だしなみをチェックする。
今日のドレスは、動きやすさを重視した(つもりの)濃緑色の乗馬服風ドレスだ。
これなら、馬車から飛び出して薬草を採取するのにも便利だろう。
「すぐにお通しして! …いえ、わたくしが参りますわ!」
私は、メイドの返事も待たず、部屋を飛び出した。
父上の書斎ではなく、応接間に通されているはずだ。
私は、悪役令嬢(謹慎中)らしく、しとやかに(しかし早足で)廊下を進み、応接間の前に立った。
「ルーシュ・フォン・ヴァインベルグ、入りますわ」
わざとらしく声をかけ、重い扉を開ける。
部屋の中には、父上と、一人の男性が立っていた。
(あの人ですわね…!)
窓から差し込む朝日に照らされたその人は、噂に違わぬ、見事なまでの「氷」だった。
背が高く、引き締まった体躯。
黒曜石のような黒髪が、白すぎる肌との対比を際立たせている。
そして、何よりも目を引くのは、そのアイスブルーの瞳。
まるで感情というものが存在しないかのように、冷たく、静かにこちらを見ている。
表情筋が、死んでいる。
「ルーシュ。こちらが、貴様の監視役…護衛役として同行してくださる、アラン・ディーク・フォン・クライスト辺境伯だ」
父上が、疲れた声で紹介する。
「アラン卿。こちらが、例の娘、ルーシュだ」
アラン辺境伯は、私を一瞥すると、表情一つ変えずに、機械のような動作で一礼した。
「…アラン・ディーク・フォン・クライストだ。よろしく、ルーシュ嬢」
声まで冷たい。
低く、よく通る声だが、抑揚というものが一切感じられない。
(素晴らしい! これぞ氷の騎士!)
私は、感動に打ち震えた。
これほどまでに噂通りの人物に出会えるとは。
「まぁ! ご丁寧にどうも。わたくしがルーシュ・フォン・ヴァインベルグですわ!」
私は、満面の笑みで、練習してきた完璧なカーテシーを披露した。
「……」
アラン辺境伯は、私の(嬉々とした)挨拶を受けても、やはり無表情だった。
ただ、その冷たいアイスブルーの瞳が、わずかに細められた気がした。
おそらく、婚約破棄されたばかりの令嬢にしては、私の態度が明るすぎることに困惑しているのだろう。
「アラン卿には、辺境領までの道中、および、現地での貴様の監視を一切任せてある」
父上が、重々しく告げる。
「もし、万が一、お前が逃亡したり、良からぬことを企てたりした場合は…」
「その際は、ヴァインベルグ公爵家の名においてではなく、王家の法に基づき、即刻拘束いたします」
アラン辺境伯が、父の言葉を引き継いだ。
淡々とした、事務的な口調だ。
「まあ! 頼もしいですわ!」
私は、思わず拍手をしてしまった。
「……」
アラン辺境伯の眉間の皺が、今度ははっきりと深くなった。
父上は、もうこめかみを押さえる気力もないのか、天を仰いでいる。
「(ゴホン)…それで、アラン様」
私は、ずっと気になっていたことを尋ねることにした。
「はい」
「アラン様は『氷の騎士』と呼ばれていらっしゃるとか。それは、やはり、お体が冷えやすい体質だからですの?」
「…は?」
アラン辺境伯の整った顔に、初めて「無表情」以外のもの…「完全な困惑」が浮かんだ。
(あら、違いました?)
「わたくし、てっきりアラン様は、末端冷え性か、あるいは凍傷に悩まされていらっしゃるのかと」
「……」
「ご心配には及びませんわ! わたくし、そういう方のために、血行を促進し、体の芯から温める特製薬草茶を開発いたしましたの!」
私は、持参しようと思っていたポシェットから、試供品の小袋を取り出した。
「これは、乾燥させた火炎草と、ジンジャーリリィの根を独自に配合したものですわ。お湯で煮出すだけで、効果てきめん! 今なら、凍傷予防の特製塗り薬(試作品)もお付けしますわよ!」
「……」
アラン辺境伯は、私が差し出した小袋と、私の顔を、信じられないものを見る目で交互に見ている。
「ルーシュ!!!」
ついに、父の我慢が限界を超えた。
「アラン卿に対して、なんという無礼な…! それは薬草ではなく、ただの雑草だ!」
「ひどいですわ、父上! これは立派な薬草です! まだ学会では認められていませんが!」
「うるさい! 早くそれをしまえ!」
私は、父に一喝され、しぶしぶ小袋をポシェットに戻した。
(せっかくの自信作ですのに…)
「…アラン卿」
父が、心底すまなさそうな顔で、アラン辺境伯に向き直る。
「…すまない。娘は、こういうやつだ。悪気は…いや、悪気しかないのかもしれんが…とにかく、監視をよろしく頼む」
「…承知、いたしました」
アラン辺境伯は、数秒の沈黙の後、ようやくそう答えた。
その声には、先ほどまでの冷たさに加え、若干の「疲労」が混じったように聞こえた。
「では、ルーシュ様。準備はよろしいですか」
「はい! 完璧ですわ!」
「…馬車の手配は済んでいます。すぐに出発を」
「まあ、もう出発ですの? わかりましたわ!」
私は、父上に「では、行ってまいりますわ、父上!」と元気に挨拶し、アラン辺境伯の後に続いた。
玄関先には、ヴァインベルグ家の紋章が入った、長旅用の頑丈な馬車が停まっていた。
その周囲には、アラン辺境伯の部下らしき、私服の護衛騎士が数名控えている。
「…道中、馬車から勝手に降りぬよう」
「えっ」
「休憩は、決められた宿場町でのみ行います」
「そ、そんな…! 道端に珍しい薬草が生えていたらどうするのですか!」
「…生えていません」
「まだ見ていないのに、なぜわかるのですか!」
「……」
アラン辺境伯は、私の抗議を完全に無視し、私を馬車に乗るよう促した。
(この人…手強そうですわ…!)
私は、これから始まる辺境への旅路に、新たな(そして厄介な)障害が現れたことを悟った。
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