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「(ふふん、ふふふん♪)」
わたくしは、研究室(物置)で、上機嫌に鼻歌を歌っていた。
乳鉢の中には、わたくしの新たな研究対象である『ゲルト長老の毛根(サンプル)』と、それを活性化させるための『グレート・ボアの骨粉』が、丁寧に混ぜ合わされている。
(やはり、土壌(頭皮)の改良から始めるべきですわね)
(血行を促進し、毛根に、活力を…!)
わたくしが、悪役令嬢(志望)から、毛根技師(志望)へと、華麗なる転身を遂げようとしていた、その時だった。
「ルーシュ様!」
バタン! と、またしても、扉が勢いよく開かれた。
わたくしは、ビクッと肩を揺らす。
「(まあ!)アラン様! そんなに慌てて、どうなさいましたの! ついに、王都から『毛根撲滅委員会』でも、派遣されましたか!?」
「(そんな委員会があるか!)」
アラン様は、わたくしの(毛根への)情熱を、一蹴した。
その顔色は、王都から胃薬(本物)が届いたというのに、相変わらず、土気色だった。
(あらあら。胃薬が、効かないほど、わたくしのこと(のお菓子)を、想っていらっしゃるのね…)
「…(はぁ)。それどころではない、と言っている」
アラン様は、こめかみを、強く、強く、押さえた。
あの、王子の使者を追い返してから、三日。
館の空気は、ピリピリと張り詰めていた。
アラン様は、すぐに、砦(この館)の防備を固め、領民たちにも、警戒態勢を敷いていたのだ。
「…使者は、昨夜のうちに、王都に到着したはずだ」
「まあ! 早馬でしたのね」
「…エドワード王子の、ことだ。俺と、お前の『返答』を聞いて、黙っているはずがない」
「(ふふん)。でしょうとも、でしょうとも」
わたくしは、胸を張った。
(わたくしという、稀代の悪役令嬢を、手放したのですもの。今頃、地団駄を踏んで、後悔していますわ!)
「(…この女は、本当に…)」
アラン様が、わたくしの(ズレた)自信に、絶望的なため息をついた、その瞬間。
カーーーーーーン! カーーーーーーン!
「(!)」
丘の上の見張り台から、甲高い、あの鐘の音が、再び、辺境の空に響き渡った!
魔獣襲来の時と、同じ、あの音だ。
「(来たか…!)」
アラン様の、アイスブルーの瞳が、スッと細められる。
わたくしとは、まったく違う意味で、彼の予測も、的中したのだ。
「アラン様! 敵襲ですわ!」
「(わかっている!)」
わたくしたちが、研究室を飛び出すと、すでに、館のホールは、騒然となっていた。
「隊長!」
アラン様の部下の騎士が、血相を変えて、駆け寄ってくる。
「東の街道より、騎馬隊! 数は…およそ、二十!」
「二十…だと?」
アラン様の眉が、ピクリと動いた。
(軍隊ではない。…少なすぎる)
「(旗は!)」
「はっ! 王家の紋章! …いえ、違います! エドワード王子個人の『私兵』の旗印にございます!」
「(…私兵!)」
アラン様は、奥歯を噛み締めた。
(国王陛下の、正規軍ではない。…王子個人の、感情論(プライド)で、動かした兵か!)
(…あの男、ついに、正気を失ったか!)
「(まあまあまあ!)」
わたくしは、アラン様の背後で、興奮に、打ち震えていた。
(王子自ら! たった二十騎で! わたくしを、奪い返しに!?)
(なんて、無謀な! そして、なんて、ヒロイックな行動ですの!)
(わたくしを、巡って! 氷の騎士(アラン様)と、元婚約者(王子)が、ついに、激突! 完璧ですわ!)
「…ルーシュ嬢」
アラン様が、わたくしの(輝く)視線に気づき、疲れたように、振り返った。
「…頼むから、館の中に、隠れていてくれ」
「いやですわ!」
わたくしは、即答した。
「わたくし、悪役令嬢(志望)ですもの! わたくしを巡る、戦いの火蓋が切られる、その瞬間を、特等席で、見届けなくては!」
「(戦いではない! これは、ただの、王子の、癇癪(かんしゃく)だ!)」
「さあ、アラン様! 参りましょう!」
わたくしは、アラン様の制止を振り切り、土まみれのドレスの裾を翻し、館の、正面玄関へと、駆け出した。
「(ああっ、もう! あの、命知らずの、悪役令嬢(志望)め…!)」
アラン様は、胃痛も忘れるほどの、頭痛に顔を歪ませながら、わたくしの後を、追った。
*
砦の、簡素な門扉が、開かれる。
その前には、アラン様(氷の騎士)を先頭に、この砦の、わずかばかりの護衛騎士(五名)と、鍬(くわ)や、猟銃(!)で武装した、トム(仮名)たち、領民(十名)が、緊張した面持ちで、並んでいた。
わたくしは、その後ろで、アラン様のたくましい背中に隠れながら(観劇する)、ワクワクと、成り行きを見守る。
ザッ…ザッ…
地響きと共に、砂埃を上げて、二十騎の、精鋭らしき騎馬隊が、到着した。
皆、王都の、きらびやかな鎧を身にまとっている。
そして、その中央。
ひときわ立派な、白馬に乗っていたのは、紛れもない、エドワード王子、その人だった。
「(まあ…!)」
数ヶ月ぶりに見る彼は、ひどく、憔悴(しょうすい)していた。
金色の髪は乱れ、目の下には、濃いクマが張り付いている。
だが、その青い瞳だけは、憎悪と、焦燥と、そして、傷つけられたプライドによって、ギラギラと、不気味に、燃えていた。
「(…ようこそ、地獄(辺境)へ。王子殿)」
アラン様が、静かに、剣の柄に、手をかける。
エドワード王子は、アラン様を、一瞥した。
その視線は、もはや、元・部下に対するものではなく、許しがたい『反逆者』を見る、それだった。
「…アラン・クライスト」
「(…)」
「わたくしの命令に、剣を抜いた、感想は、どうだ」
「ご命令を、拒否したのは、法と、契約(ルーシュ様の謹慎)に基づき、この辺境の秩序を、守るため。…それ以上でも、以下でも、ございません」
アラン様が、冷静に、返答する。
「(ふん…!)」
エドワード王子は、アラン様の、その『正論』が、心底、気に食わない、というように、鼻を鳴らした。
そして、その、燃えるような視線が、アラン様の背後にいる、わたくしを、捉えた。
「(…ルーシュ!)」
「(まあ、エドワード様。お久しぶりですわ)」
わたくしは、彼が、わたくしに気づいたのを、確認し、
研究室から持ってきた(ボロボロの)扇子を広げ、優雅に(土まみれの顔で)、微笑みかけてみせた。
「(なっ…!)」
エドワード王子の顔が、わたくしの、その(彼にとっては、挑発的にしか見えない)態度に、カッと、赤く染まった。
「…貴様! よくも、わたくしの命令を…!」
「命令、ですって? あらあら。わたくし、ただ『毛根が忙しい』と、申し上げただけですのに」
「(毛根だと!?)」
エドワード王子が、馬上で、激昂する。
「貴様は…! カレンが、今、この瞬間も、死にかけているというのに! 『毛根』だと、抜かしたのか!」
「ええ、そうですわよ?」
わたくしは、きょとん、として、答えた。
「わたくし、悪役令嬢ですもの。ヒロインの命より、長老の毛根の方が、よっぽど、大事ですわ」
「(き、貴様あああああ!!!)」
エドワード王子は、ついに、理性のタガが、完全に、外れた。
彼は、その手に持っていた、王子の権威を示す、儀礼用の剣を、抜き放った!
「(!)…王子! ご早計を!」
アラン様が、制止の声を上げる。
「うるさい! 反逆者どもめ!」
エドワード王子は、剣先を、わたくしに、まっすぐに、向けた。
「ルーシュ・フォン・ヴァインベルグ! わたくしは、貴様を、王家への反逆、および、カレン姫殺害(未遂)の容疑で、王都へ、連行する!」
「(まあまあ! 罪状が、増えておりますわ!)」
「(…(ゴクリ)…)」
辺境の領民たちが、息を呑む。
「もし、来ないというのなら!」
エドワード王子は、わたくしではなく、わたくしを庇う、アラン様を、憎悪に満ちた目で、睨みつけた。
「その、反逆の首謀者、アラン・クライストを、この場で、斬り捨ててでも、貴様を、連れ帰る!」
「(ひぃっ…!)」
「(まあまあまあ!)」
わたくしは、興奮で、打ち震えた。
「(ついに、始まりますのね! 悪役令嬢(わたくし)を巡る、氷の騎士と、元婚約者の、血で血を洗う、死闘が!)」
「(…ルーシュ嬢。頼むから、その、嬉しそうな顔を、やめてくれ。胃が、痛い…)」
アラン様の、心の声が、聞こえた気がした。
辺境の乾いた風が、二人の男と、一人の(ズレた)女の、抜き放たれた剣先に、ヒュウ、と、不気味に、吹き抜けていった。
わたくしは、研究室(物置)で、上機嫌に鼻歌を歌っていた。
乳鉢の中には、わたくしの新たな研究対象である『ゲルト長老の毛根(サンプル)』と、それを活性化させるための『グレート・ボアの骨粉』が、丁寧に混ぜ合わされている。
(やはり、土壌(頭皮)の改良から始めるべきですわね)
(血行を促進し、毛根に、活力を…!)
わたくしが、悪役令嬢(志望)から、毛根技師(志望)へと、華麗なる転身を遂げようとしていた、その時だった。
「ルーシュ様!」
バタン! と、またしても、扉が勢いよく開かれた。
わたくしは、ビクッと肩を揺らす。
「(まあ!)アラン様! そんなに慌てて、どうなさいましたの! ついに、王都から『毛根撲滅委員会』でも、派遣されましたか!?」
「(そんな委員会があるか!)」
アラン様は、わたくしの(毛根への)情熱を、一蹴した。
その顔色は、王都から胃薬(本物)が届いたというのに、相変わらず、土気色だった。
(あらあら。胃薬が、効かないほど、わたくしのこと(のお菓子)を、想っていらっしゃるのね…)
「…(はぁ)。それどころではない、と言っている」
アラン様は、こめかみを、強く、強く、押さえた。
あの、王子の使者を追い返してから、三日。
館の空気は、ピリピリと張り詰めていた。
アラン様は、すぐに、砦(この館)の防備を固め、領民たちにも、警戒態勢を敷いていたのだ。
「…使者は、昨夜のうちに、王都に到着したはずだ」
「まあ! 早馬でしたのね」
「…エドワード王子の、ことだ。俺と、お前の『返答』を聞いて、黙っているはずがない」
「(ふふん)。でしょうとも、でしょうとも」
わたくしは、胸を張った。
(わたくしという、稀代の悪役令嬢を、手放したのですもの。今頃、地団駄を踏んで、後悔していますわ!)
「(…この女は、本当に…)」
アラン様が、わたくしの(ズレた)自信に、絶望的なため息をついた、その瞬間。
カーーーーーーン! カーーーーーーン!
「(!)」
丘の上の見張り台から、甲高い、あの鐘の音が、再び、辺境の空に響き渡った!
魔獣襲来の時と、同じ、あの音だ。
「(来たか…!)」
アラン様の、アイスブルーの瞳が、スッと細められる。
わたくしとは、まったく違う意味で、彼の予測も、的中したのだ。
「アラン様! 敵襲ですわ!」
「(わかっている!)」
わたくしたちが、研究室を飛び出すと、すでに、館のホールは、騒然となっていた。
「隊長!」
アラン様の部下の騎士が、血相を変えて、駆け寄ってくる。
「東の街道より、騎馬隊! 数は…およそ、二十!」
「二十…だと?」
アラン様の眉が、ピクリと動いた。
(軍隊ではない。…少なすぎる)
「(旗は!)」
「はっ! 王家の紋章! …いえ、違います! エドワード王子個人の『私兵』の旗印にございます!」
「(…私兵!)」
アラン様は、奥歯を噛み締めた。
(国王陛下の、正規軍ではない。…王子個人の、感情論(プライド)で、動かした兵か!)
(…あの男、ついに、正気を失ったか!)
「(まあまあまあ!)」
わたくしは、アラン様の背後で、興奮に、打ち震えていた。
(王子自ら! たった二十騎で! わたくしを、奪い返しに!?)
(なんて、無謀な! そして、なんて、ヒロイックな行動ですの!)
(わたくしを、巡って! 氷の騎士(アラン様)と、元婚約者(王子)が、ついに、激突! 完璧ですわ!)
「…ルーシュ嬢」
アラン様が、わたくしの(輝く)視線に気づき、疲れたように、振り返った。
「…頼むから、館の中に、隠れていてくれ」
「いやですわ!」
わたくしは、即答した。
「わたくし、悪役令嬢(志望)ですもの! わたくしを巡る、戦いの火蓋が切られる、その瞬間を、特等席で、見届けなくては!」
「(戦いではない! これは、ただの、王子の、癇癪(かんしゃく)だ!)」
「さあ、アラン様! 参りましょう!」
わたくしは、アラン様の制止を振り切り、土まみれのドレスの裾を翻し、館の、正面玄関へと、駆け出した。
「(ああっ、もう! あの、命知らずの、悪役令嬢(志望)め…!)」
アラン様は、胃痛も忘れるほどの、頭痛に顔を歪ませながら、わたくしの後を、追った。
*
砦の、簡素な門扉が、開かれる。
その前には、アラン様(氷の騎士)を先頭に、この砦の、わずかばかりの護衛騎士(五名)と、鍬(くわ)や、猟銃(!)で武装した、トム(仮名)たち、領民(十名)が、緊張した面持ちで、並んでいた。
わたくしは、その後ろで、アラン様のたくましい背中に隠れながら(観劇する)、ワクワクと、成り行きを見守る。
ザッ…ザッ…
地響きと共に、砂埃を上げて、二十騎の、精鋭らしき騎馬隊が、到着した。
皆、王都の、きらびやかな鎧を身にまとっている。
そして、その中央。
ひときわ立派な、白馬に乗っていたのは、紛れもない、エドワード王子、その人だった。
「(まあ…!)」
数ヶ月ぶりに見る彼は、ひどく、憔悴(しょうすい)していた。
金色の髪は乱れ、目の下には、濃いクマが張り付いている。
だが、その青い瞳だけは、憎悪と、焦燥と、そして、傷つけられたプライドによって、ギラギラと、不気味に、燃えていた。
「(…ようこそ、地獄(辺境)へ。王子殿)」
アラン様が、静かに、剣の柄に、手をかける。
エドワード王子は、アラン様を、一瞥した。
その視線は、もはや、元・部下に対するものではなく、許しがたい『反逆者』を見る、それだった。
「…アラン・クライスト」
「(…)」
「わたくしの命令に、剣を抜いた、感想は、どうだ」
「ご命令を、拒否したのは、法と、契約(ルーシュ様の謹慎)に基づき、この辺境の秩序を、守るため。…それ以上でも、以下でも、ございません」
アラン様が、冷静に、返答する。
「(ふん…!)」
エドワード王子は、アラン様の、その『正論』が、心底、気に食わない、というように、鼻を鳴らした。
そして、その、燃えるような視線が、アラン様の背後にいる、わたくしを、捉えた。
「(…ルーシュ!)」
「(まあ、エドワード様。お久しぶりですわ)」
わたくしは、彼が、わたくしに気づいたのを、確認し、
研究室から持ってきた(ボロボロの)扇子を広げ、優雅に(土まみれの顔で)、微笑みかけてみせた。
「(なっ…!)」
エドワード王子の顔が、わたくしの、その(彼にとっては、挑発的にしか見えない)態度に、カッと、赤く染まった。
「…貴様! よくも、わたくしの命令を…!」
「命令、ですって? あらあら。わたくし、ただ『毛根が忙しい』と、申し上げただけですのに」
「(毛根だと!?)」
エドワード王子が、馬上で、激昂する。
「貴様は…! カレンが、今、この瞬間も、死にかけているというのに! 『毛根』だと、抜かしたのか!」
「ええ、そうですわよ?」
わたくしは、きょとん、として、答えた。
「わたくし、悪役令嬢ですもの。ヒロインの命より、長老の毛根の方が、よっぽど、大事ですわ」
「(き、貴様あああああ!!!)」
エドワード王子は、ついに、理性のタガが、完全に、外れた。
彼は、その手に持っていた、王子の権威を示す、儀礼用の剣を、抜き放った!
「(!)…王子! ご早計を!」
アラン様が、制止の声を上げる。
「うるさい! 反逆者どもめ!」
エドワード王子は、剣先を、わたくしに、まっすぐに、向けた。
「ルーシュ・フォン・ヴァインベルグ! わたくしは、貴様を、王家への反逆、および、カレン姫殺害(未遂)の容疑で、王都へ、連行する!」
「(まあまあ! 罪状が、増えておりますわ!)」
「(…(ゴクリ)…)」
辺境の領民たちが、息を呑む。
「もし、来ないというのなら!」
エドワード王子は、わたくしではなく、わたくしを庇う、アラン様を、憎悪に満ちた目で、睨みつけた。
「その、反逆の首謀者、アラン・クライストを、この場で、斬り捨ててでも、貴様を、連れ帰る!」
「(ひぃっ…!)」
「(まあまあまあ!)」
わたくしは、興奮で、打ち震えた。
「(ついに、始まりますのね! 悪役令嬢(わたくし)を巡る、氷の騎士と、元婚約者の、血で血を洗う、死闘が!)」
「(…ルーシュ嬢。頼むから、その、嬉しそうな顔を、やめてくれ。胃が、痛い…)」
アラン様の、心の声が、聞こえた気がした。
辺境の乾いた風が、二人の男と、一人の(ズレた)女の、抜き放たれた剣先に、ヒュウ、と、不気味に、吹き抜けていった。
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