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「……ここが、下町の市場か」
数日後の休日。
変装用の伊達メガネをかけたシズルが、興味深そうに周囲を見回した。
「すごい熱気ですわ! シズル様、見てください! あそこでは巨大なソーセージが、こちらでは謎の揚げ物が売られています!」
隣を歩くメモリーは、興奮のあまり鼻息が荒くなっている。
本日は「庶民の食文化の視察」という名目の、実質的な初デートである。
「メモリー。はぐれるなよ」
「はい! ……あ、クレープの甘い匂いが!」
ふらふらと吸い寄せられそうになるメモリーの手を、シズルがギュッと握った。
「言ったそばから行くな。……まったく、君の手綱を握るのは猛獣使いでも骨が折れるだろうな」
「あら、私は餌さえあれば大人しい忠犬ですよ?」
「どの口が言う。さあ、まずは何を食う?」
シズルに促され、メモリーは屋台街を鋭い眼光でスキャンした。
高級レストランの味は知り尽くしているが、こういう「買い食い」は貴族令嬢にとって未開の地だ。
「狙うは……あそこです! あの行列ができている串焼き屋!」
二人が並んだのは、炭火の煙がモクモクと立ち込める人気店だった。
店主が秘伝のタレに漬け込んだ鶏肉を、豪快に焼いている。
「へい、らっしゃい! お兄さん、彼女とデートかい? 一本どうだい?」
「ああ。二本くれ」
シズルが慣れない手つきで銅貨を支払う。
渡されたのは、焦げ目がついた熱々の焼き鳥だ。
「……これを、このまま齧るのか?」
シズルが眉をひそめる。
皿もナイフもフォークもない食事スタイルに戸惑っているようだ。
「そうです! こうやって、ワイルドに!」
ガブッ。
メモリーは躊躇なく肉にかぶりついた。
「ん~っ!! 炭の香ばしさと甘辛いタレが最高です! お肉は少し硬いですが、噛むほどに旨味が出てきますわ!」
口の端にタレをつけながら満面の笑みを浮かべるメモリー。
シズルは苦笑しつつ、自分も恐る恐る口をつけた。
「……ふむ。上品さのかけらもない味だが……悪くない。外で食うというのも、スパイスの一つかもしれん」
「でしょう? さあ、次に行きますよ! 胃袋の休まる暇などありません!」
そこからは、怒涛の食べ歩きツアーとなった。
揚げたてのコロッケ(「火傷しそうなほど熱いのがご馳走です!」)。
チーズたっぷりのピザ(「伸びるチーズはエンターテインメントです!」)。
冷たいフルーツジュース(「甘酸っぱさが脂を流してくれます!」)。
シズルも最初は付き合い半分だったが、メモリーがあまりに楽しそうに解説しながら食べるので、つられて次々と完食していく。
そして、広場の一角にある屋台の前で、メモリーの足が止まった。
「……シズル様。あれをご覧ください」
彼女が指差したのは、真っ赤な看板の店。
『挑戦者求む! 地獄の激辛串焼き』という文字が踊っている。
「激辛……?」
「私の『食の辞書』に『撤退』の文字はありません。挑みます」
「やめておけ。君の舌が馬鹿になったら、私の味見役はどうなる」
止めるシズルをよそに、メモリーは一本購入してしまった。
見た目はただの焼き鳥だが、表面には不吉なほど赤い粉がまぶされている。
「いざ、尋常に……実食!」
パクッ。
一瞬の静寂。
そして。
「んぐっ……!!???」
メモリーの顔が、瞬く間に茹でダコのように赤くなった。
「か、辛ぁぁぁぁい!!? 火! 口から火が出ますわ!!」
「おい、大丈夫か!?」
「み、水……いえ、甘いもの! 舌が痺れて……!」
涙目でパニックになるメモリー。
シズルは慌てて周囲を見渡すが、飲み物を売っている店は少し離れている。
「くそっ、じっとしていろ!」
シズルはメモリーの手から激辛串を奪い取ると、自分が持っていた『ミルクアイス』を、とっさに彼女の口へと運んだ。
「ほら、口を開けろ!」
「は、ひ……あーん!」
パクッ。
冷たくて甘いミルクアイスが、灼熱の口内を鎮火していく。
「んんぅ……冷たい……生き返ります……」
メモリーがへなへなとシズルの腕に寄りかかる。
シズルは片手で彼女を支えながら、もう一口、アイスをすくって食べさせた。
「……懲りない奴だ。だからやめておけと言ったのに」
「うぅ……面目ないです。でも、あのスパイスの奥にある鶏肉の旨味は確認しました……」
「まだ食レポをする余裕があるなら大丈夫だな」
シズルは呆れつつも、ハンカチでメモリーの涙と汗を拭ってやった。
その距離、至近距離。
周囲の通行人たちが「あらあら、熱いわねぇ」「見てよあの美男美女」と囁き合っている。
「……さて。この凶器はどう処分するか」
シズルは手に残った激辛串を見つめた。
捨てようとしたが、メモリーが恨めしそうに見ている。
「……食べ物を粗末にするのは私の流儀に反する」
シズルは覚悟を決めると、メモリーが口をつけた部分を避けて、串にかぶりついた。
「えっ、シズル様!?」
「……っ!!」
シズルの美貌が歪む。
額に青筋が浮かび、目元がわずかに潤む。
「……なるほど。これは確かに地獄だな」
「無理しないでください! 吐き出しても……」
「いや。……君が『旨味がある』と言った意味はわかった。後味にほんの少し、柑橘系の爽やかさがある」
シズルは汗を拭いながら、ニヤリと笑った。
「だが、二度と食わん。……責任を取って、口直しのアイスをもう一つ頼む」
「はい! 喜んで!」
夕暮れの市場。
二人は並んでベンチに座り、新しいアイスを分け合った。
「……シズル様。今日はありがとうございました」
「礼を言われるようなことではない。……悪くなかったよ、こういうのも」
シズルがメモリーの肩に頭を預けるようにして、ポツリと呟く。
「君といると、退屈しない。……食事も、人生もな」
「ふふ。それは最高の褒め言葉ですわ」
甘い空気が流れる。
だが、メモリーは気づいていなかった。
市場の影から、望遠鏡を持った男――アラン王子の密偵が、この様子を歯ぎしりしながら監視していたことを。
「報告だ! ターゲットは激辛串で愛を深めている! ……くそっ、公爵め、あんな辛いものを涼しい顔で食うとは!」(※涼しい顔ではなかった)
そして物語は、アラン王子の起死回生の策へと動き出す。
「料理対決だ! 私の王宮シェフの腕を見せつければ、食い意地の張ったメモリーなどイチコロだ!」
次なる戦いの舞台は、厨房。
メモリーの『料理の腕』が、ついに火を噴く――!
数日後の休日。
変装用の伊達メガネをかけたシズルが、興味深そうに周囲を見回した。
「すごい熱気ですわ! シズル様、見てください! あそこでは巨大なソーセージが、こちらでは謎の揚げ物が売られています!」
隣を歩くメモリーは、興奮のあまり鼻息が荒くなっている。
本日は「庶民の食文化の視察」という名目の、実質的な初デートである。
「メモリー。はぐれるなよ」
「はい! ……あ、クレープの甘い匂いが!」
ふらふらと吸い寄せられそうになるメモリーの手を、シズルがギュッと握った。
「言ったそばから行くな。……まったく、君の手綱を握るのは猛獣使いでも骨が折れるだろうな」
「あら、私は餌さえあれば大人しい忠犬ですよ?」
「どの口が言う。さあ、まずは何を食う?」
シズルに促され、メモリーは屋台街を鋭い眼光でスキャンした。
高級レストランの味は知り尽くしているが、こういう「買い食い」は貴族令嬢にとって未開の地だ。
「狙うは……あそこです! あの行列ができている串焼き屋!」
二人が並んだのは、炭火の煙がモクモクと立ち込める人気店だった。
店主が秘伝のタレに漬け込んだ鶏肉を、豪快に焼いている。
「へい、らっしゃい! お兄さん、彼女とデートかい? 一本どうだい?」
「ああ。二本くれ」
シズルが慣れない手つきで銅貨を支払う。
渡されたのは、焦げ目がついた熱々の焼き鳥だ。
「……これを、このまま齧るのか?」
シズルが眉をひそめる。
皿もナイフもフォークもない食事スタイルに戸惑っているようだ。
「そうです! こうやって、ワイルドに!」
ガブッ。
メモリーは躊躇なく肉にかぶりついた。
「ん~っ!! 炭の香ばしさと甘辛いタレが最高です! お肉は少し硬いですが、噛むほどに旨味が出てきますわ!」
口の端にタレをつけながら満面の笑みを浮かべるメモリー。
シズルは苦笑しつつ、自分も恐る恐る口をつけた。
「……ふむ。上品さのかけらもない味だが……悪くない。外で食うというのも、スパイスの一つかもしれん」
「でしょう? さあ、次に行きますよ! 胃袋の休まる暇などありません!」
そこからは、怒涛の食べ歩きツアーとなった。
揚げたてのコロッケ(「火傷しそうなほど熱いのがご馳走です!」)。
チーズたっぷりのピザ(「伸びるチーズはエンターテインメントです!」)。
冷たいフルーツジュース(「甘酸っぱさが脂を流してくれます!」)。
シズルも最初は付き合い半分だったが、メモリーがあまりに楽しそうに解説しながら食べるので、つられて次々と完食していく。
そして、広場の一角にある屋台の前で、メモリーの足が止まった。
「……シズル様。あれをご覧ください」
彼女が指差したのは、真っ赤な看板の店。
『挑戦者求む! 地獄の激辛串焼き』という文字が踊っている。
「激辛……?」
「私の『食の辞書』に『撤退』の文字はありません。挑みます」
「やめておけ。君の舌が馬鹿になったら、私の味見役はどうなる」
止めるシズルをよそに、メモリーは一本購入してしまった。
見た目はただの焼き鳥だが、表面には不吉なほど赤い粉がまぶされている。
「いざ、尋常に……実食!」
パクッ。
一瞬の静寂。
そして。
「んぐっ……!!???」
メモリーの顔が、瞬く間に茹でダコのように赤くなった。
「か、辛ぁぁぁぁい!!? 火! 口から火が出ますわ!!」
「おい、大丈夫か!?」
「み、水……いえ、甘いもの! 舌が痺れて……!」
涙目でパニックになるメモリー。
シズルは慌てて周囲を見渡すが、飲み物を売っている店は少し離れている。
「くそっ、じっとしていろ!」
シズルはメモリーの手から激辛串を奪い取ると、自分が持っていた『ミルクアイス』を、とっさに彼女の口へと運んだ。
「ほら、口を開けろ!」
「は、ひ……あーん!」
パクッ。
冷たくて甘いミルクアイスが、灼熱の口内を鎮火していく。
「んんぅ……冷たい……生き返ります……」
メモリーがへなへなとシズルの腕に寄りかかる。
シズルは片手で彼女を支えながら、もう一口、アイスをすくって食べさせた。
「……懲りない奴だ。だからやめておけと言ったのに」
「うぅ……面目ないです。でも、あのスパイスの奥にある鶏肉の旨味は確認しました……」
「まだ食レポをする余裕があるなら大丈夫だな」
シズルは呆れつつも、ハンカチでメモリーの涙と汗を拭ってやった。
その距離、至近距離。
周囲の通行人たちが「あらあら、熱いわねぇ」「見てよあの美男美女」と囁き合っている。
「……さて。この凶器はどう処分するか」
シズルは手に残った激辛串を見つめた。
捨てようとしたが、メモリーが恨めしそうに見ている。
「……食べ物を粗末にするのは私の流儀に反する」
シズルは覚悟を決めると、メモリーが口をつけた部分を避けて、串にかぶりついた。
「えっ、シズル様!?」
「……っ!!」
シズルの美貌が歪む。
額に青筋が浮かび、目元がわずかに潤む。
「……なるほど。これは確かに地獄だな」
「無理しないでください! 吐き出しても……」
「いや。……君が『旨味がある』と言った意味はわかった。後味にほんの少し、柑橘系の爽やかさがある」
シズルは汗を拭いながら、ニヤリと笑った。
「だが、二度と食わん。……責任を取って、口直しのアイスをもう一つ頼む」
「はい! 喜んで!」
夕暮れの市場。
二人は並んでベンチに座り、新しいアイスを分け合った。
「……シズル様。今日はありがとうございました」
「礼を言われるようなことではない。……悪くなかったよ、こういうのも」
シズルがメモリーの肩に頭を預けるようにして、ポツリと呟く。
「君といると、退屈しない。……食事も、人生もな」
「ふふ。それは最高の褒め言葉ですわ」
甘い空気が流れる。
だが、メモリーは気づいていなかった。
市場の影から、望遠鏡を持った男――アラン王子の密偵が、この様子を歯ぎしりしながら監視していたことを。
「報告だ! ターゲットは激辛串で愛を深めている! ……くそっ、公爵め、あんな辛いものを涼しい顔で食うとは!」(※涼しい顔ではなかった)
そして物語は、アラン王子の起死回生の策へと動き出す。
「料理対決だ! 私の王宮シェフの腕を見せつければ、食い意地の張ったメモリーなどイチコロだ!」
次なる戦いの舞台は、厨房。
メモリーの『料理の腕』が、ついに火を噴く――!
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