19 / 28
19
しおりを挟む
サン・デリア使節団が王都を発つ前夜。
彼らのための、最後の夜会が盛大に催されていた。
しかし、その華やかな雰囲気の裏側で、見えざる陰謀は、最終段階へと移行しつつあった。
「――団長! やはり、奴らに動きがありました!」
夜会の会場の片隅。
アシュトン団長の元に、部下の一人が駆け寄り、声を潜めて報告した。
「使節団付きの武官二名が、会場を抜け出し、王宮の西棟にある中央書庫へと向かった模様です!」
「……中央書庫、だと?」
アシュトン団長は、眉をひそめた。
中央書庫は、国の歴史書や一般的な資料が収められている場所だ。機密と呼べるほどのものは、そこにはない。
(おかしい。奴らの狙いが、そんな場所のはずがない。これは、陽動か……!)
彼の脳裏に、先日部下から受けた報告が蘇る。
エミリア様がヴァルモン伯爵に漏らした、数々の情報。
その中にあった、一つのキーワード。
『クライネルト領の、黄金の果実』
(奴らの真の狙いは、我が国の経済を支える、あの果実の独占栽培法……あるいは、その苗木そのもの!)
「陽動に構うな」
アシュトン団長は、即座に決断を下した。
「西棟には最低限の人員を回せ。本隊は、私と共に東棟の特別資料室へ向かう! 奴らの本命は、そこだ!」
東棟の特別資料室。
そこには、王家が管理する、各領地の特産品に関する栽培記録や、品種改良のデータなど、国家の農政に関わる最高機密が保管されている。
そして、その中にはもちろん、「黄金の果実」に関する、門外不出の研究資料も含まれていた。
その頃、私は、夜会の喧騒の中で、得体の知れない不安を感じていた。
ヴァルモン伯爵は、今日も完璧な笑顔を振りまき、貴族たちと談笑している。
しかし、その瞳の奥に、獲物を狙う肉食獣のような、冷たい光が宿っているのを、私は見逃さなかった。
(何か……今夜、何かが起こる)
私の「面倒ごとセンサー」が、過去最大級の警報を鳴らしていた。
私は、すっと立ち上がると、「少し、気分が優れませんので」と侍女にだけ告げ、会場をそっと抜け出した。
ただ、面倒ごとから逃げたい。その一心だった。
しかし、運命は、私をそう簡単には解放してくれないらしい。
廊下に出た途端、遠くから、微かな金属音が聞こえた。
そして、騎士たちが慌ただしく駆けていく足音。
どうやら、私の嫌な予感は、的中してしまったようだ。
(面倒ですわ……。本当に、面倒ですわ……!)
しかし、頭の中に、あの堅物騎士の真剣な顔が浮かぶ。
彼が、今、この王宮のどこかで、危険な任務に就いている。そう直感した。
(……あの朴念仁を、一人で死なせるわけにはいきませんわね)
私はため息一つで覚悟を決めると、妃教育で叩き込まれた、王宮内の複雑な地理の知識を、頭の中でフル回転させた。
一方、東棟の特別資料室では、アシュトン団長の予測が、完璧に的中していた。
分厚い扉の前には、見張りの兵士が倒され、中では、サン・デリアの武官が、まさに機密書類を革袋に詰め込んでいる最中だった。
「そこまでだ!」
アシュトン団長の鋭い声が響く。
武官は、驚くどころか、待っていましたとばかりに顔を上げ、その口元に獰猛な笑みを浮かべた。
「ようやくお出ましか、エルベスハイトの番犬殿」
次の瞬間、男は隠し持っていた剣を抜き、アシュトン団長へと襲いかかった。
キィン! と、甲高い金属音が、静かな資料室に鳴り響く。
始まったのは、外交官のそれではない。熟練の剣士同士の、命を賭した死闘だった。
夜会の会場では、陽動部隊がわざと起こしたボヤ騒ぎで、貴族たちがパニックに陥っていた。
「火事ですって!?」「逃げなさい!」
人々が我先にと出口へ殺到する中、私は、冷静に叫んだ。
「皆様、お静まりになって! こちらの扉は危険ですわ! 西のテラスへとお進みください! そこからなら、安全に庭園へ避難できます!」
私の凛とした声に、人々ははっと我に返り、その指示に従い始める。
混乱の中、私は、東棟へと向かう近道を知っていた。
妃候補生時代の、悪戯好きだった私が、よく侍女の目を盗んで使っていた、古い隠し通路だ。
アシュトン団長は、敵の予想以上の腕前に、苦戦を強いられていた。
相手は、ただの武官ではない。サン・デリアが誇る、精鋭中の精鋭工作員なのだ。
(くそっ、このままでは……!)
じりじりと追い詰められた、その時だった。
資料室の、彼の背後にあったタペストリーが、するりとめくれ、そこから、一人の女性が姿を現した。
「――団長! お怪我は!?」
「リ、リーリア様!? なぜ、ここに……!」
「お話は後ですわ! この部屋の構造は、わたくしの方が詳しい!」
私は叫んだ。
「左様! その甲冑の後ろに、この部屋の警備システムを作動させる、緊急用のスイッチがありますわ!」
私の言葉に、アシュトン団長は、一瞬の躊躇の後、大きく後方へ跳んだ。
そして、私が示した壁のスイッチを、力強く押し込む。
次の瞬間、けたたましい警報と共に、資料室の全ての扉と窓に、分厚い鉄格子が降りてきた。
敵の工作員は、一瞬の出来事に、動きを止めた。
逃げ場は、もうない。
勝負は、決した。
アシュトン団長は、激闘の末、ついに工作員を捕縛することに成功した。
盗まれそうになっていた書類には、サン・デリア王国が喉から手が出るほど欲しがっていた、「黄金の果実」の全ての秘密が記されていた。
彼らの陰謀は、ここに、白日の下に晒されたのだ。
夜会の会場では、ヴァルモン伯爵が、何食わぬ顔で国王に別れの挨拶を述べていた。
そこへ、部下の一人が駆け寄り、彼の耳元で、計画の失敗を告げる。
「……やれやれ。少し、しくじりましたかな」
ヴァルモン伯爵は、誰にも聞こえない声でそう呟くと、その完璧な笑顔を、ほんの少しだけ、歪ませた。
しかし、その瞳の奥の冷たい光は、まだ少しも、揺らいではいなかった。
彼らのための、最後の夜会が盛大に催されていた。
しかし、その華やかな雰囲気の裏側で、見えざる陰謀は、最終段階へと移行しつつあった。
「――団長! やはり、奴らに動きがありました!」
夜会の会場の片隅。
アシュトン団長の元に、部下の一人が駆け寄り、声を潜めて報告した。
「使節団付きの武官二名が、会場を抜け出し、王宮の西棟にある中央書庫へと向かった模様です!」
「……中央書庫、だと?」
アシュトン団長は、眉をひそめた。
中央書庫は、国の歴史書や一般的な資料が収められている場所だ。機密と呼べるほどのものは、そこにはない。
(おかしい。奴らの狙いが、そんな場所のはずがない。これは、陽動か……!)
彼の脳裏に、先日部下から受けた報告が蘇る。
エミリア様がヴァルモン伯爵に漏らした、数々の情報。
その中にあった、一つのキーワード。
『クライネルト領の、黄金の果実』
(奴らの真の狙いは、我が国の経済を支える、あの果実の独占栽培法……あるいは、その苗木そのもの!)
「陽動に構うな」
アシュトン団長は、即座に決断を下した。
「西棟には最低限の人員を回せ。本隊は、私と共に東棟の特別資料室へ向かう! 奴らの本命は、そこだ!」
東棟の特別資料室。
そこには、王家が管理する、各領地の特産品に関する栽培記録や、品種改良のデータなど、国家の農政に関わる最高機密が保管されている。
そして、その中にはもちろん、「黄金の果実」に関する、門外不出の研究資料も含まれていた。
その頃、私は、夜会の喧騒の中で、得体の知れない不安を感じていた。
ヴァルモン伯爵は、今日も完璧な笑顔を振りまき、貴族たちと談笑している。
しかし、その瞳の奥に、獲物を狙う肉食獣のような、冷たい光が宿っているのを、私は見逃さなかった。
(何か……今夜、何かが起こる)
私の「面倒ごとセンサー」が、過去最大級の警報を鳴らしていた。
私は、すっと立ち上がると、「少し、気分が優れませんので」と侍女にだけ告げ、会場をそっと抜け出した。
ただ、面倒ごとから逃げたい。その一心だった。
しかし、運命は、私をそう簡単には解放してくれないらしい。
廊下に出た途端、遠くから、微かな金属音が聞こえた。
そして、騎士たちが慌ただしく駆けていく足音。
どうやら、私の嫌な予感は、的中してしまったようだ。
(面倒ですわ……。本当に、面倒ですわ……!)
しかし、頭の中に、あの堅物騎士の真剣な顔が浮かぶ。
彼が、今、この王宮のどこかで、危険な任務に就いている。そう直感した。
(……あの朴念仁を、一人で死なせるわけにはいきませんわね)
私はため息一つで覚悟を決めると、妃教育で叩き込まれた、王宮内の複雑な地理の知識を、頭の中でフル回転させた。
一方、東棟の特別資料室では、アシュトン団長の予測が、完璧に的中していた。
分厚い扉の前には、見張りの兵士が倒され、中では、サン・デリアの武官が、まさに機密書類を革袋に詰め込んでいる最中だった。
「そこまでだ!」
アシュトン団長の鋭い声が響く。
武官は、驚くどころか、待っていましたとばかりに顔を上げ、その口元に獰猛な笑みを浮かべた。
「ようやくお出ましか、エルベスハイトの番犬殿」
次の瞬間、男は隠し持っていた剣を抜き、アシュトン団長へと襲いかかった。
キィン! と、甲高い金属音が、静かな資料室に鳴り響く。
始まったのは、外交官のそれではない。熟練の剣士同士の、命を賭した死闘だった。
夜会の会場では、陽動部隊がわざと起こしたボヤ騒ぎで、貴族たちがパニックに陥っていた。
「火事ですって!?」「逃げなさい!」
人々が我先にと出口へ殺到する中、私は、冷静に叫んだ。
「皆様、お静まりになって! こちらの扉は危険ですわ! 西のテラスへとお進みください! そこからなら、安全に庭園へ避難できます!」
私の凛とした声に、人々ははっと我に返り、その指示に従い始める。
混乱の中、私は、東棟へと向かう近道を知っていた。
妃候補生時代の、悪戯好きだった私が、よく侍女の目を盗んで使っていた、古い隠し通路だ。
アシュトン団長は、敵の予想以上の腕前に、苦戦を強いられていた。
相手は、ただの武官ではない。サン・デリアが誇る、精鋭中の精鋭工作員なのだ。
(くそっ、このままでは……!)
じりじりと追い詰められた、その時だった。
資料室の、彼の背後にあったタペストリーが、するりとめくれ、そこから、一人の女性が姿を現した。
「――団長! お怪我は!?」
「リ、リーリア様!? なぜ、ここに……!」
「お話は後ですわ! この部屋の構造は、わたくしの方が詳しい!」
私は叫んだ。
「左様! その甲冑の後ろに、この部屋の警備システムを作動させる、緊急用のスイッチがありますわ!」
私の言葉に、アシュトン団長は、一瞬の躊躇の後、大きく後方へ跳んだ。
そして、私が示した壁のスイッチを、力強く押し込む。
次の瞬間、けたたましい警報と共に、資料室の全ての扉と窓に、分厚い鉄格子が降りてきた。
敵の工作員は、一瞬の出来事に、動きを止めた。
逃げ場は、もうない。
勝負は、決した。
アシュトン団長は、激闘の末、ついに工作員を捕縛することに成功した。
盗まれそうになっていた書類には、サン・デリア王国が喉から手が出るほど欲しがっていた、「黄金の果実」の全ての秘密が記されていた。
彼らの陰謀は、ここに、白日の下に晒されたのだ。
夜会の会場では、ヴァルモン伯爵が、何食わぬ顔で国王に別れの挨拶を述べていた。
そこへ、部下の一人が駆け寄り、彼の耳元で、計画の失敗を告げる。
「……やれやれ。少し、しくじりましたかな」
ヴァルモン伯爵は、誰にも聞こえない声でそう呟くと、その完璧な笑顔を、ほんの少しだけ、歪ませた。
しかし、その瞳の奥の冷たい光は、まだ少しも、揺らいではいなかった。
110
あなたにおすすめの小説
破滅確定の悪役令嬢ですが、魅惑の女王になりました。
専業プウタ
恋愛
中学2年の時、告白をクラスで馬鹿にされたことにより不登校になった橘茉莉花。そんな彼女を両親が心配し、高校からは海外で寮暮らしをしていた。日本の大学に進学する為に帰国したが、通学途中にトラックに轢かれてしまう。目覚めるとスグラ王国のルシア・ミエーダ侯爵令嬢に憑依していた。茉莉花はここが乙女ゲーム『誘惑の悪女』の世界で、自分が攻略対象たちを惑わす悪女ルシアだと気が付く。引きこもり時代に茉莉花はゲームをやり込み、中でも堂々としていて男を惑わす程の色気を持つルシアに憧れていた。海外生活で精神は鍛えられたが、男性不信はなおらなかった。それでも、神様が自分を憧れの悪役令嬢にしてくれたことに感謝し、必死に任務を遂行しようとする。
婚約破棄されたので隣国で働きます ~追放侯爵令嬢、才覚だけで王妃候補に成り上がる~
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王宮改革は、英雄の一声では成し遂げられない。
王太子に招かれ、王宮顧問として改革に携わることになった
ルビー・エルヴェール。
彼女が選んだ道は、力で押し切る改革でも、敵を断罪する粛清でもなかった。
評価制度の刷新、情報公開、説明責任、緊急時の判断、責任の分配――
一つひとつの制度は正しくても、人の恐れや保身が、改革を歪めていく。
噂に揺れ、信頼が試され、
「正しさ」と「速さ」、
「個人の覚悟」と「組織の持続性」が、幾度も衝突する。
それでもルビーは、問い続ける。
――制度は、誰のためにあるのか。
――信頼とは、守るものか、耐えるものか。
――改革者は、いつ去るべきなのか。
やがて彼女は、自らが築いた制度が
自分なしでも動き始めたことを確かめ、静かに王宮を去る。
残されたのは、名前の残らない改革。
英雄のいない成功。
だが確かに「生き続ける仕組み」。
これは、
誰かが称えられるための物語ではない。
考えることを許し、責任を分かち合う――
その文化を残すための、40話の改革譚。
静かで、重く、そして誠実な
“大人のための王宮改革ファンタジー”。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~
ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。
慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。
『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」
知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。
「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」
これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ!
※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ!
※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します!
※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる