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王家との対立が表面化して以来、シュヴァルツ公爵邸は、さながらもう一つの王宮のような様相を呈していた。
連日、ひっきりなしに訪れる貴族たちの応対。
水面下で進められる、新たな権力構造の構築。
そして、いつ牙を剥くか分からない王家への警戒。
そのすべてが、サーシャと父であるルドヴィーク公爵の双肩に、重くのしかかっていた。
「ふう…。これで、今日のご予定はすべて終わりですわね、お父様」
書斎の重厚な椅子に深く身を沈め、サーシャは疲れたように息をついた。
テーブルの上には、飲み干された紅茶のカップと、膨大な量の資料が山積みになっている。
「うむ、ご苦労だったな、サーシャ。お前も、ずいぶんと、こういう駆け引きが板についてきたではないか」
ルドヴィークは、娘の成長した姿に、目を細める。
婚約破棄される前の、ただ守られているだけだった令嬢の面影は、もはやどこにもない。
今の彼女は、父の右腕として、シュヴァルツ家の未来を担う、立派な後継者の一人だった。
「お褒めにいただき、光栄ですわ。ですが、人の腹の内を探り合うのは、どうにも性に合いませんわね。美味しいものを食べている方が、よほど有意義ですわ」
サーシャが、可愛らしく肩をすくめてみせた、その時だった。
控えめなノックと共に、執事のセバスチャンが、一枚の封書を盆に乗せて入ってきた。
「お嬢様。アシュフォード辺境伯様より、速達便でお手紙が届いております」
「まあ、リアムから…!」
その名前を聞いただけで、サーシャの疲れていた心に、ぱっと温かい光が灯るのを感じた。
彼女は、父に一礼すると、その手紙を手に、足早に自室へと戻った。
一人になった部屋で、どきどきする心臓を抑えながら、丁寧に封蝋を剥がす。
中から出てきたのは、リアムらしい、飾り気のない、しかし上質な羊皮紙だった。
そこに綴られていたのは、彼の声が聞こえてくるような、無骨で、まっすぐな文字。
サーシャは、その一文字一文字を、愛おしむように、ゆっくりと目で追った。
『サーシャへ
息災か。
お前が、王宮であの王子をやり込めたという話は、この北の辺境にまで届いている。
お前の気概と知性には、改めて感服する。
だが、どうか、無茶だけはしないでくれ。お前の身に何かあればと思うと、俺は、いてもたってもいられなくなる』
手紙は、そんな、彼女の身を案じる言葉から始まっていた。
その不器用な優しさに、サーシャの頬が、自然と緩む。
『さて、本題だ。
俺の領地、アシュフォードは、今、一年で最も美しい季節を迎えている。
長く厳しい冬が終わり、山々の雪解け水が川を満たしてきらめき、大地は一斉に緑の新芽を吹き上げている。
空はどこまでも青く澄み渡り、夜には、まるで宝石を撒き散らしたかのような、満天の星が輝く。
王都の喧騒と、息の詰まるような駆け引きから離れて、しばし、この地で羽を休めに来ないか。
お前に見せたい景色がある。
お前に食べさせたい、この地でしか味わえない料理がある。
そして、お前に紹介したい、俺が命をかけて守っている、大切な民たちがいる』
手紙は、そんな、辺境伯領への招待の言葉で結ばれていた。
そして、追伸として、最後の一行に、こう書かれていた。
『返事は、急がなくていい。だが、俺は、お前に会いたい』
読み終えたサーシャは、その手紙を、そっと胸に抱きしめた。
ああ、なんて人だろう。
彼の言葉の一つ一つが、疲れた心に、温かく、そして深く、沁みわたっていく。
(行きたい…)
強い、どうしようもない衝動が、サーシャの心を突き動かした。
彼が愛し、守っている領地は、いったい、どんな場所なのだろう。
彼が見せたいと言ってくれた景色を、この目で見たい。
彼が誇る民たちに、会ってみたい。
そして、何よりも、彼に会いたい。
サーシャは、少しだけ紅潮した頬のまま、再び、父の書斎の扉を叩いた。
ルドヴィークは、娘から渡された手紙に黙って目を通すと、やがて、その口元に、にやり、と大きな笑みを浮かべた。
「あの無骨者が、ずいぶんと詩人のようなことを書くではないか。…よろしい。行っておいで、サーシャ」
「お父様…!」
「アシュフォード辺境伯は、これからのこの国にとって、間違いなく最も重要な人物の一人となるだろう。彼との個人的な絆を、より深く、確かなものにしておくことは、我がシュヴァルツ家の未来にとっても、極めて重要な一手だ」
父は、まず、政治家としての打算を口にした。
しかし、すぐに、その表情を、一人の父親の、優しいものへと変えた。
「…そして、何よりも、お前が、お前自身の目で、見てくることが大切だ。未来の夫となるかもしれん男が、どんな土地で、どんな民を愛し、守っているのかをな。それが、お前にとっての本当の幸せに繋がるのかどうか、しっかりと見定めてきなさい」
「はい、お父様。ありがとうございます…!」
話は、すぐに決まった。
翌日から、シュヴァルツ公爵邸では、サーシャの旅の準備が、大々的に始められた。
「まあ、大変ですわ、お嬢様! 辺境の地は、昼夜の寒暖差が激しいと聞き及びます! 夜会用のドレスよりも、まずは、暖かな外套や、丈夫なブーツをご用意しませんと!」
侍女のアンナは、サーシャ本人よりも、ずっと張り切っている。
サーシャは、そんなアンナの助言を聞きながら、旅の荷物を選んでいった。
きらびやかな夜会服や、動きにくいコルセットのドレスは、すべて置いていく。
代わりに、彼女がトランクに詰めたのは、上質だが、動きやすいシンプルなデザインのドレスと、乗馬服、そして、歩きやすい革のブーツだった。
(わたくしは、着飾った公爵令嬢として、彼に会いに行くのではないわ)
ありのままの自分で。
一人の、サーシャという人間として、彼の世界に触れてみたい。
そう、強く思ったからだ。
そして、旅立ちの朝。
シュヴァルツ公爵邸の門の前で、父ルドヴィークが、娘を力強く抱きしめた。
「サーシャ、気をつけて行くのだぞ。土産話を、楽しみにしている」
「はい、お父様。行ってまいりますわ」
馬車が、ゆっくりと動き出す。
後ろに見えるのは、陰謀と駆け引きに明け暮れる、きらびやかで、どこか息の詰まる王都の街並み。
そして、目の前に広がっているのは、どこまでも続く、広大で、生命力に満ち溢れた、緑の大地。
これから始まる、愛する人の待つ土地への、初めての旅。
サーシャの心は、一抹の不安と、それを遥かに上回る、大きな希望と期待に、満ち溢れていた。
新しい物語の章が、今、静かに幕を開けようとしていた。
連日、ひっきりなしに訪れる貴族たちの応対。
水面下で進められる、新たな権力構造の構築。
そして、いつ牙を剥くか分からない王家への警戒。
そのすべてが、サーシャと父であるルドヴィーク公爵の双肩に、重くのしかかっていた。
「ふう…。これで、今日のご予定はすべて終わりですわね、お父様」
書斎の重厚な椅子に深く身を沈め、サーシャは疲れたように息をついた。
テーブルの上には、飲み干された紅茶のカップと、膨大な量の資料が山積みになっている。
「うむ、ご苦労だったな、サーシャ。お前も、ずいぶんと、こういう駆け引きが板についてきたではないか」
ルドヴィークは、娘の成長した姿に、目を細める。
婚約破棄される前の、ただ守られているだけだった令嬢の面影は、もはやどこにもない。
今の彼女は、父の右腕として、シュヴァルツ家の未来を担う、立派な後継者の一人だった。
「お褒めにいただき、光栄ですわ。ですが、人の腹の内を探り合うのは、どうにも性に合いませんわね。美味しいものを食べている方が、よほど有意義ですわ」
サーシャが、可愛らしく肩をすくめてみせた、その時だった。
控えめなノックと共に、執事のセバスチャンが、一枚の封書を盆に乗せて入ってきた。
「お嬢様。アシュフォード辺境伯様より、速達便でお手紙が届いております」
「まあ、リアムから…!」
その名前を聞いただけで、サーシャの疲れていた心に、ぱっと温かい光が灯るのを感じた。
彼女は、父に一礼すると、その手紙を手に、足早に自室へと戻った。
一人になった部屋で、どきどきする心臓を抑えながら、丁寧に封蝋を剥がす。
中から出てきたのは、リアムらしい、飾り気のない、しかし上質な羊皮紙だった。
そこに綴られていたのは、彼の声が聞こえてくるような、無骨で、まっすぐな文字。
サーシャは、その一文字一文字を、愛おしむように、ゆっくりと目で追った。
『サーシャへ
息災か。
お前が、王宮であの王子をやり込めたという話は、この北の辺境にまで届いている。
お前の気概と知性には、改めて感服する。
だが、どうか、無茶だけはしないでくれ。お前の身に何かあればと思うと、俺は、いてもたってもいられなくなる』
手紙は、そんな、彼女の身を案じる言葉から始まっていた。
その不器用な優しさに、サーシャの頬が、自然と緩む。
『さて、本題だ。
俺の領地、アシュフォードは、今、一年で最も美しい季節を迎えている。
長く厳しい冬が終わり、山々の雪解け水が川を満たしてきらめき、大地は一斉に緑の新芽を吹き上げている。
空はどこまでも青く澄み渡り、夜には、まるで宝石を撒き散らしたかのような、満天の星が輝く。
王都の喧騒と、息の詰まるような駆け引きから離れて、しばし、この地で羽を休めに来ないか。
お前に見せたい景色がある。
お前に食べさせたい、この地でしか味わえない料理がある。
そして、お前に紹介したい、俺が命をかけて守っている、大切な民たちがいる』
手紙は、そんな、辺境伯領への招待の言葉で結ばれていた。
そして、追伸として、最後の一行に、こう書かれていた。
『返事は、急がなくていい。だが、俺は、お前に会いたい』
読み終えたサーシャは、その手紙を、そっと胸に抱きしめた。
ああ、なんて人だろう。
彼の言葉の一つ一つが、疲れた心に、温かく、そして深く、沁みわたっていく。
(行きたい…)
強い、どうしようもない衝動が、サーシャの心を突き動かした。
彼が愛し、守っている領地は、いったい、どんな場所なのだろう。
彼が見せたいと言ってくれた景色を、この目で見たい。
彼が誇る民たちに、会ってみたい。
そして、何よりも、彼に会いたい。
サーシャは、少しだけ紅潮した頬のまま、再び、父の書斎の扉を叩いた。
ルドヴィークは、娘から渡された手紙に黙って目を通すと、やがて、その口元に、にやり、と大きな笑みを浮かべた。
「あの無骨者が、ずいぶんと詩人のようなことを書くではないか。…よろしい。行っておいで、サーシャ」
「お父様…!」
「アシュフォード辺境伯は、これからのこの国にとって、間違いなく最も重要な人物の一人となるだろう。彼との個人的な絆を、より深く、確かなものにしておくことは、我がシュヴァルツ家の未来にとっても、極めて重要な一手だ」
父は、まず、政治家としての打算を口にした。
しかし、すぐに、その表情を、一人の父親の、優しいものへと変えた。
「…そして、何よりも、お前が、お前自身の目で、見てくることが大切だ。未来の夫となるかもしれん男が、どんな土地で、どんな民を愛し、守っているのかをな。それが、お前にとっての本当の幸せに繋がるのかどうか、しっかりと見定めてきなさい」
「はい、お父様。ありがとうございます…!」
話は、すぐに決まった。
翌日から、シュヴァルツ公爵邸では、サーシャの旅の準備が、大々的に始められた。
「まあ、大変ですわ、お嬢様! 辺境の地は、昼夜の寒暖差が激しいと聞き及びます! 夜会用のドレスよりも、まずは、暖かな外套や、丈夫なブーツをご用意しませんと!」
侍女のアンナは、サーシャ本人よりも、ずっと張り切っている。
サーシャは、そんなアンナの助言を聞きながら、旅の荷物を選んでいった。
きらびやかな夜会服や、動きにくいコルセットのドレスは、すべて置いていく。
代わりに、彼女がトランクに詰めたのは、上質だが、動きやすいシンプルなデザインのドレスと、乗馬服、そして、歩きやすい革のブーツだった。
(わたくしは、着飾った公爵令嬢として、彼に会いに行くのではないわ)
ありのままの自分で。
一人の、サーシャという人間として、彼の世界に触れてみたい。
そう、強く思ったからだ。
そして、旅立ちの朝。
シュヴァルツ公爵邸の門の前で、父ルドヴィークが、娘を力強く抱きしめた。
「サーシャ、気をつけて行くのだぞ。土産話を、楽しみにしている」
「はい、お父様。行ってまいりますわ」
馬車が、ゆっくりと動き出す。
後ろに見えるのは、陰謀と駆け引きに明け暮れる、きらびやかで、どこか息の詰まる王都の街並み。
そして、目の前に広がっているのは、どこまでも続く、広大で、生命力に満ち溢れた、緑の大地。
これから始まる、愛する人の待つ土地への、初めての旅。
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