17 / 40
17.優雅なる断罪
しおりを挟む
side ライラ
「助けてくれ、ライラ」
支払期日の前日、父が私に頭を下げてきた。
結局のところ、邸まで売ろうとしたらしいけれど、そんなものがそう簡単に売れるはずがない。たとえ叩き売り同然の値で手放せたとしても、支払いは五百万だけで終わるわけではなく、これから先もずっと続いていくのに、浅はかだわ。
期日を守れなかったときに課される罰則は、それ相応に重い。商会もあんな状態になった今、父は、早々に諦めて、私に頼る道を選んだ。
なぜ、頭を下げただけで助けてもらえると、考えたのかしら?
ふふ、それすらも予想通りだけど。
「条件をいくつか聞いていただけます? お父様」
*****
父が震える手で署名する。
ペン先が掠れ、わずかに紙が擦れる音が室内に響いた。
──爵位と商会を正式にライラ・ナイトレイに譲渡する──
たった一行の宣言文。
「これで、手続きは終わりですわね。さ、日が暮れないうちに出発してくださいませ」
私は背筋を正したまま、努めて淡々とした声で言う。
机の向こう、父の隣には、蒼白な顔の継母とリリス、そして無言で俯くダリオが並んでいた。
「やはり……今日、出発しないといけないのか? その……家族として、もう一度……やり直す時間を――」
震える父の声。だが、私にはもう響かない。
「まあ、お父様。約束したじゃないですか」
にこり、と微笑む。
──“やり直す”ですって? 笑わせてくれる。
「ひ、ひどいわ……お姉様!」
リリスが声を荒げる。
「お姉様が爵位を継ぐからって、私たちには自力で暮らすか、あるいは領地でお姉様の“支援”を受けて生きるかの二択しか与えないなんて、あんまりよ!」
あら、それ以外に何か選択肢があったのかしら?
「お父様が支払うべき多額の賠償金、私がすべて個人資産から全て払いましたのよ。牢に入らずに済んだだけでも、感謝するべき立場ではありませんの?」
私は声を荒げない。冷たく、事実だけを告げる。
「家族のためにお金を出すなんて、当然よ! なのに爵位を奪って、さらに私とダリオ様を自主退学させてまで、すぐに追い出すなんて……!」
リリスは涙ながらに訴える。けれど私はただ、静かに瞬きした。
「そうなのね。これまで“家族”らしいことをしてもらった記憶がないから、“当然”というその考えが、私にはなかったわ」
父のお金で生きてきたという感覚もないわ。私のお金を懐に入れていたのですもの。身につけているドレスもアクセサリーも結局自分で買ったのと同じよ。
一瞬の静寂。
そのとき、俯いていたダリオが顔を上げた。
「ライラ、私が間違っていた。これからは、君を大事にする。だから、君と一緒に……」
本気で私が、あなたを奪われたくないと思っていた、そうまだ信じているのかしら? 私は薄く笑った。
「困りましたわね、ダリオ。あなたのご実家との商会取引継続は、“リリスとの婚姻”を条件にしてあげましたのよ。あなたたちが、あんなに望むから。ふふ、既にあなたのご実家とも話はついておりますわ」
爵位を持たない貴族の末弟と、爵位を持たぬ令嬢──これから、平民として生きるふたり。お似合いよ。
「そ、そんな……!」
「ダリオ様、ひどい! 裏切るのですか!」
「うるさい! 私は、貴族でいたいんだ」
ああ、なんて醜い。これが“愛”の本性なのね。
私が黙って視線を落とすと、使用人がそっとドアを開いた。
「あの……まだ出発なさらないのですか? ローダラン村は、遠うございますが」
そうね、日が暮れる前に──この家から、“家族”には出ていってもらわなくては。
「「「ローダラン村?」」」
──あら?
父以外の誰もが口をそろえて聞き返すとは、なんて滑稽。
「あ、あなた。ローダラン村って……どういうことですの?」
継母が、頬を引きつらせて父を睨みつける。
「お父様。私たちが向かうのは領地の中心街、ヴァレルヌではないのですか?」
父は、まるで処刑台の上にいる罪人のように、首を垂れたまま顔を上げない。
「ローダラン村ですわよ? 領地の外れにある、自然に囲まれた静かな村。空気は清らかで、人も少ない。きっと癒やされると思いますわ」
父は、リリスたちに、言っていなかったのね。どうせばれるのに。
「いやよ、そんな田舎!」
でしょうね。
「心を洗うのに、ぴったりの場所ですわ。あなた方には必要でしょう?」
父が、継母とリリスから矢のような非難を浴びている。ダリオは、もう魂の抜け殻のよう。視線は虚空をさまよい、もはや一言も発しない。
ああ、騒がしい。うんざり。
もう飽き飽きしているのに、まだ続くのかしら?
「ねえ、そろそろ終わらせていただけますか?」
立ち上がり、わざとらしく手を打つ。
「あっ、そうだわ。あなた方が“思わず黙り込む”ようなお話を一つ差し上げましょうか?」
空気がピンと張り詰めた。皆が私に注目する。期待の眼差しで。
──でも、そんな甘い話じゃないのよ。
「実は私、卒業後、爵位も婚約者も、リリスに譲りますって書き置きを残して、駆け落ちする予定でしたの」
「か、駆け落ち……?」
リリスが泣き濡れた顔を上げる。驚愕と混乱の色をにじませながら。
「ええ。家族に縛られる未来よりも、愛する人と自由に生きる方が幸せですもの。リリス、あなたに全部譲って……私はただ、消えるつもりだったわ」
そう、黙っていたら――“すべて”リリスのものだったのよ。あなたが背負いきれない義務も責任もだけど。
「つ、つまり……何もせずにいたら……私の……?」
「ええ。あなたが、下手な小細工をせず黙って、待っていたらそうなっていたのよ。だって、リリスに寄り添い、愛をささやく夫など必要ありませんし、爵位を継いで一生あなたたちのために働くのは、まっぴらでしたもの」
リリスは、崩れ落ちた。その場に膝をつき、嗚咽を上げる。
父は唖然としたまま、継母は愕然、ダリオは口を手で押さえ、何も言えない。
私の勝利──というより、彼らの敗北。
「ふふ……“心優しい妹は、愛する人と結ばれ、家族に囲まれながら幸せに暮らしました。一方、意地悪な姉は、寂しくひとりぼっち。妹は、そんな姉を憐れに思い、子爵家の次男との縁談を取り持ってあげました” そんな結末で、どうかしら?」
「……子爵家次男? 駆け落ちって、まさか……!!」
父たちが驚きの表情で、部屋の隅に控えるオスカーに視線を向ける。
オスカーは、静かに微笑んで一礼した。
「さ、お父様たちを皆でお見送りして」
私がそう言うと、使用人たちが粛々と彼らの荷を運び、扉を開けた。
父も、継母も、リリスも、ダリオも、もはや抵抗しない。導かれるように、ただ無言で立ち上がった。
「助けてくれ、ライラ」
支払期日の前日、父が私に頭を下げてきた。
結局のところ、邸まで売ろうとしたらしいけれど、そんなものがそう簡単に売れるはずがない。たとえ叩き売り同然の値で手放せたとしても、支払いは五百万だけで終わるわけではなく、これから先もずっと続いていくのに、浅はかだわ。
期日を守れなかったときに課される罰則は、それ相応に重い。商会もあんな状態になった今、父は、早々に諦めて、私に頼る道を選んだ。
なぜ、頭を下げただけで助けてもらえると、考えたのかしら?
ふふ、それすらも予想通りだけど。
「条件をいくつか聞いていただけます? お父様」
*****
父が震える手で署名する。
ペン先が掠れ、わずかに紙が擦れる音が室内に響いた。
──爵位と商会を正式にライラ・ナイトレイに譲渡する──
たった一行の宣言文。
「これで、手続きは終わりですわね。さ、日が暮れないうちに出発してくださいませ」
私は背筋を正したまま、努めて淡々とした声で言う。
机の向こう、父の隣には、蒼白な顔の継母とリリス、そして無言で俯くダリオが並んでいた。
「やはり……今日、出発しないといけないのか? その……家族として、もう一度……やり直す時間を――」
震える父の声。だが、私にはもう響かない。
「まあ、お父様。約束したじゃないですか」
にこり、と微笑む。
──“やり直す”ですって? 笑わせてくれる。
「ひ、ひどいわ……お姉様!」
リリスが声を荒げる。
「お姉様が爵位を継ぐからって、私たちには自力で暮らすか、あるいは領地でお姉様の“支援”を受けて生きるかの二択しか与えないなんて、あんまりよ!」
あら、それ以外に何か選択肢があったのかしら?
「お父様が支払うべき多額の賠償金、私がすべて個人資産から全て払いましたのよ。牢に入らずに済んだだけでも、感謝するべき立場ではありませんの?」
私は声を荒げない。冷たく、事実だけを告げる。
「家族のためにお金を出すなんて、当然よ! なのに爵位を奪って、さらに私とダリオ様を自主退学させてまで、すぐに追い出すなんて……!」
リリスは涙ながらに訴える。けれど私はただ、静かに瞬きした。
「そうなのね。これまで“家族”らしいことをしてもらった記憶がないから、“当然”というその考えが、私にはなかったわ」
父のお金で生きてきたという感覚もないわ。私のお金を懐に入れていたのですもの。身につけているドレスもアクセサリーも結局自分で買ったのと同じよ。
一瞬の静寂。
そのとき、俯いていたダリオが顔を上げた。
「ライラ、私が間違っていた。これからは、君を大事にする。だから、君と一緒に……」
本気で私が、あなたを奪われたくないと思っていた、そうまだ信じているのかしら? 私は薄く笑った。
「困りましたわね、ダリオ。あなたのご実家との商会取引継続は、“リリスとの婚姻”を条件にしてあげましたのよ。あなたたちが、あんなに望むから。ふふ、既にあなたのご実家とも話はついておりますわ」
爵位を持たない貴族の末弟と、爵位を持たぬ令嬢──これから、平民として生きるふたり。お似合いよ。
「そ、そんな……!」
「ダリオ様、ひどい! 裏切るのですか!」
「うるさい! 私は、貴族でいたいんだ」
ああ、なんて醜い。これが“愛”の本性なのね。
私が黙って視線を落とすと、使用人がそっとドアを開いた。
「あの……まだ出発なさらないのですか? ローダラン村は、遠うございますが」
そうね、日が暮れる前に──この家から、“家族”には出ていってもらわなくては。
「「「ローダラン村?」」」
──あら?
父以外の誰もが口をそろえて聞き返すとは、なんて滑稽。
「あ、あなた。ローダラン村って……どういうことですの?」
継母が、頬を引きつらせて父を睨みつける。
「お父様。私たちが向かうのは領地の中心街、ヴァレルヌではないのですか?」
父は、まるで処刑台の上にいる罪人のように、首を垂れたまま顔を上げない。
「ローダラン村ですわよ? 領地の外れにある、自然に囲まれた静かな村。空気は清らかで、人も少ない。きっと癒やされると思いますわ」
父は、リリスたちに、言っていなかったのね。どうせばれるのに。
「いやよ、そんな田舎!」
でしょうね。
「心を洗うのに、ぴったりの場所ですわ。あなた方には必要でしょう?」
父が、継母とリリスから矢のような非難を浴びている。ダリオは、もう魂の抜け殻のよう。視線は虚空をさまよい、もはや一言も発しない。
ああ、騒がしい。うんざり。
もう飽き飽きしているのに、まだ続くのかしら?
「ねえ、そろそろ終わらせていただけますか?」
立ち上がり、わざとらしく手を打つ。
「あっ、そうだわ。あなた方が“思わず黙り込む”ようなお話を一つ差し上げましょうか?」
空気がピンと張り詰めた。皆が私に注目する。期待の眼差しで。
──でも、そんな甘い話じゃないのよ。
「実は私、卒業後、爵位も婚約者も、リリスに譲りますって書き置きを残して、駆け落ちする予定でしたの」
「か、駆け落ち……?」
リリスが泣き濡れた顔を上げる。驚愕と混乱の色をにじませながら。
「ええ。家族に縛られる未来よりも、愛する人と自由に生きる方が幸せですもの。リリス、あなたに全部譲って……私はただ、消えるつもりだったわ」
そう、黙っていたら――“すべて”リリスのものだったのよ。あなたが背負いきれない義務も責任もだけど。
「つ、つまり……何もせずにいたら……私の……?」
「ええ。あなたが、下手な小細工をせず黙って、待っていたらそうなっていたのよ。だって、リリスに寄り添い、愛をささやく夫など必要ありませんし、爵位を継いで一生あなたたちのために働くのは、まっぴらでしたもの」
リリスは、崩れ落ちた。その場に膝をつき、嗚咽を上げる。
父は唖然としたまま、継母は愕然、ダリオは口を手で押さえ、何も言えない。
私の勝利──というより、彼らの敗北。
「ふふ……“心優しい妹は、愛する人と結ばれ、家族に囲まれながら幸せに暮らしました。一方、意地悪な姉は、寂しくひとりぼっち。妹は、そんな姉を憐れに思い、子爵家の次男との縁談を取り持ってあげました” そんな結末で、どうかしら?」
「……子爵家次男? 駆け落ちって、まさか……!!」
父たちが驚きの表情で、部屋の隅に控えるオスカーに視線を向ける。
オスカーは、静かに微笑んで一礼した。
「さ、お父様たちを皆でお見送りして」
私がそう言うと、使用人たちが粛々と彼らの荷を運び、扉を開けた。
父も、継母も、リリスも、ダリオも、もはや抵抗しない。導かれるように、ただ無言で立ち上がった。
3,888
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄の理由? それは・・・坊やだからさっ!!
月白ヤトヒコ
恋愛
貴族学園の長期休暇の前には、実家のある領地へ帰ったりして、しばらく会えなくなる生徒達のために全学年合同の交流会のパーティーが行われます。
少々と言いますか、以前から嫌な予感はしておりましたが――――
わたくし達の一つ下の学年に、元平民の貴族令嬢が転入して来てから、殿下やその側近の方々はその令嬢を物珍しく思ったようでした。
その物珍しさから興味を惹かれたのでしょう……やがて、巷で流行っている恋愛小説ような展開が始まってしまったのです。
「貴様は、下位貴族の養子になったばかりの彼女を元平民だからと見下し、理不尽に虐げた! そんな心根の卑しく傲慢な者は未来の王太子妃に相応しくない! よって、貴様との婚約を破棄する!」
そう、まるで、巷で流行っているような恋愛小説の一幕のように――――
わたくしは、ショックを受けて……
「なぜ、このようなことをなさるのですか? 殿下……」
自分でも驚く程に弱々しい声で訊ねていました。すると、
「婚約破棄の理由? それは・・・坊やだからさっ!!」
艶やかながらも強い覇気のあるハスキーな声が、会場中に響き渡りました。
設定はふわっと。
婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています
ゆっこ
恋愛
「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」
王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。
「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」
本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。
王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。
「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる