救済の剣を求め、我が手は今日も空を仰ぐ。

月森 蓮見

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第一章

アリスの憂鬱

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顔に出ていたのなら気を付けないと。そう感じてレオ王子に首を横に振って見せると、怪訝そうに彼は眉を寄せて周りを確認した。

あ、まずい…。

そう思った時には既に遅く、レオ王子はたまたま通りがかった使用人をとっ捕まえ、腰に差していた剣を喉元に当てた。




「お前か?」

「ひ…っ、レオ様…っ、」

「お前がアリスを侮辱したのか?」




彼の行動の速さに息を飲み、止めようと足を進めたけれど、その背中から溢れ出す威圧に心身が萎縮する。

藍色の目には殺気が篭もっていて、今にも人一人を殺しそうな勢いだ。

けれど、その人は本当に何もしていなく、たまたま通りがかっただけなのだ。だから、これは見当違いなわけで。何もしていないその人にとっては、飛んだ大迷惑ものなのである。




「レオ様…、あの、」

「アリスはそこで待っていろ。」

「違います、その人は何もしてないです」





勇気を振り絞って彼に声を掛けた時、思い浮かんだのは「この人は普通じゃない」という言葉だった。

すぐに他人に剣を向けてしまう所は、あの第一王子にそっくりだけれど…。

まさかこんな些細な事で人に剣を振るうような人だとは思わず、不敬だと分かっていてもその腕にしがみつき、彼に声を掛け続ける。





「レオ様…、止めてください」

「…アリス。」

「本当にその人は悪くないんです…。私が緊張していただけで、」





言葉は上手く纏まらないけれど、伝えなければならないことを口に出来た。

王族にこんな真似本当は許されないだろう。

だけど、罪の無い人が目の前で命を落とすのは、後味が悪いというか…。







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