いつだって見られている

なごみ

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やりたい放題の義姉

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以前、ホームヘルパーがこんなことを言っていた。


” なんか、ご主人のお姉さんにあたる人がみえて、お母さんにお金を借りようとしていましたよ ” と。


  あの母のことだから、義姉になど負けるわけもなく、借金は出来なかったであろうが、義姉は私のいない時を見計らって、度々母にお金を借りに来ていたのかも知れない。


 そして事件の当日もそうだったのだろうか。


 だけど、一体いつ見られたというのだろう。





結局、義姉の要求どおり200万円を貸すことになった。


ただ、殺人の口止め料にしては安すぎて不思議な気もした。


だけど、このままで終わるわけがない。


義姉にはこの先、一生涯脅されてお金を巻き上げられることだろう。


もう夢も希望もなく、早く死んでしまいたい。


いくら義姉が邪魔でも、さすがに第ニの殺人を犯そうという気持ちにはなれなかった。


第一、あんなにうまくやれるはずはない。


どんなに入念な計画を立てたとしても。



 あっという間に49日の法要の日となった。


福岡の兄夫婦にも一応連絡はしたけれど、仕事が忙しくて休みは取れないとのことだった。


葬儀代にいくらかかったかは聞かないくせに、母には預金はなかったのかと聞いてきた。


3万円の年金では足りなくて、うちで足し前していたことと、葬儀費用は宏美夫婦が全額だしてくれたことを言ったら、言葉を濁して慌てて電話をきった。





墓地は家から歩いて行けそうなほど近い。


 この家に午前10時半に集合し、11時にお坊さんが来られたら、一緒に墓地まで行って納骨をすませる。


10時半を少しすぎた頃、妹の宏美夫婦が菓子折を持ってやって来た。


「ひゃ~   寒~い! こんな日に骨納めだなんて。それでも雪が降ってくる前でよかったわね」


宏美がかじかんだ手に息を吹きかけながら、リビングに入って来た。


「ねぇ、今ちょうど和歌子さんも着いたとこだけど、車新しいのに変えたのね。なんと、ベンツよ。びっくりしちゃった」


「えーっ、ベンツ!!」


どういうこと?


家の修繕に使うのではなかったの?




「こんにちは~」



リビングのドアを開けて義姉夫婦が入って来た。


喪服も新調したのだろう。


ひと目でわかる今流行りのフォーマルスーツを着ている。


黒真珠のネックレスは告別式のときにはしていなかったものだ。


義姉は少しでもお金が入ると使わずにはいられない人だ。


こうして殺人までして手に入れた母の財産は、この義姉の贅沢のために消えていくのだ。


自分ほど不幸な人生を強いられているものが他にいるだろうか。


なぜこんなにも人生は不公平なのだろうと思わずにはいられない。


「お義姉さん、ベンツを買ったって本当なんですか?」


  苛立ちを抑えきれずに聞いた。


「あら、中古よ~   ベンツっていってもね、ピンからキリまであるでしょう。すごく安くてお買い得だったの!  一度でいいからベンツって運転してみたかったのよね。だから思い切って買っちゃったわ。36回ローンだけど」


「床下のリフォームの方はどうなったんですか!」


「ああ、シロアリのこと?   ちゃんとリフォームしてもらったわよ。でも思ったほどひどくなかったの。30万もかからなかったわ。もちろん私が値切ってそこまで安くさせたんだけどね。フフフッ」


ーーー殺してやりたい。


一度でも殺人などの重大な罪を犯すと、気づかぬうちに人として大切な何かを確実に失っていることに気づかされる。


こうして冷酷さとおぞましさに慣れ、殺人は身近なものになる。



「お姉ちゃん、お坊さんが見えたわよ」


  宏美に呼ばれて我に返った。

















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