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さようなら、松岡くん
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美姫は尚人くんにフラれたらしい。
それがショックだったのかどうなのかは、本人に聞いてみなければわからない。
ただ、松岡くんがやって来る日は、テレビも見ずに自分の部屋にこもるようになった。
松岡くんも責任を感じているらしく、元気がなかった。
今日、帰りに玄関先でこう言われた。
「早希ちゃん、突然で悪いんだけど家庭教師は今日で終わりにしていいかな?」
「えっ!」
そ、そんな………。
嫌だなんて言えるわけがない。
だけど、、
「そんなの当たり前だよ。センター試験だって近いのに、今までありがとう!」
動揺を悟られないように明るく返事をした。
「急でごめん。美姫ちゃんに会いたくて来てたけど、早希ちゃんの家庭教師も楽しかったよ。………美姫ちゃんに謝っておいてくれるかな」
「うん、わかった。本当にありがとう。受験頑張ってね」
「うん、早希ちゃんもね。じゃあ!」
軽く手をあげて松岡くんは出て行った。
玄関のドアがパタリと閉まったと同時に涙があふれた。
なんとなく予感はしていた。
この恋がもうすぐ終わってしまうということを。
だけど、だけど、こんなに呆気なく終わってしまうなんて。
もう、二度と会えないかもしれないのに。
松岡くんにはそんなこと平気なんだ。
美姫の力がなかったら、わたしに引き止める魅力なんて少しもなくて、そのことを今更ながらに思い知らされて涙が止まらなくなる。
リビングに戻らず自分の部屋へ行き、ベッドへ伏せって思いっきり泣いた。
それがショックだったのかどうなのかは、本人に聞いてみなければわからない。
ただ、松岡くんがやって来る日は、テレビも見ずに自分の部屋にこもるようになった。
松岡くんも責任を感じているらしく、元気がなかった。
今日、帰りに玄関先でこう言われた。
「早希ちゃん、突然で悪いんだけど家庭教師は今日で終わりにしていいかな?」
「えっ!」
そ、そんな………。
嫌だなんて言えるわけがない。
だけど、、
「そんなの当たり前だよ。センター試験だって近いのに、今までありがとう!」
動揺を悟られないように明るく返事をした。
「急でごめん。美姫ちゃんに会いたくて来てたけど、早希ちゃんの家庭教師も楽しかったよ。………美姫ちゃんに謝っておいてくれるかな」
「うん、わかった。本当にありがとう。受験頑張ってね」
「うん、早希ちゃんもね。じゃあ!」
軽く手をあげて松岡くんは出て行った。
玄関のドアがパタリと閉まったと同時に涙があふれた。
なんとなく予感はしていた。
この恋がもうすぐ終わってしまうということを。
だけど、だけど、こんなに呆気なく終わってしまうなんて。
もう、二度と会えないかもしれないのに。
松岡くんにはそんなこと平気なんだ。
美姫の力がなかったら、わたしに引き止める魅力なんて少しもなくて、そのことを今更ながらに思い知らされて涙が止まらなくなる。
リビングに戻らず自分の部屋へ行き、ベッドへ伏せって思いっきり泣いた。
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