Haruの星を探して

なごみ

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奥多摩湖へ

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星観測が好きだという智紀の趣味に付き合って、お盆休みの今日は奥多摩湖までやって来た。


今夜、ペルセウス座流星群が見られるという。


都内で星観測なんて嘘みたいだけれど、東京とは思えないくらい自然豊かで空気も澄んでいる奥多摩は、きれいな星空が見られるのだそう。


奥多摩湖まで都心から車で約2時間。


早めの夕食を済ませて6時に出発し、到着したのは午後8時を過ぎていた。


車を駐車場に停めて降りた途端、一斉に耳に飛び込んできた虫の声に驚く。


あたり一面の野原から、虫たちが奏でる涼やかな音色に心がなごんだ。


蒸し暑いはずのお盆の夏も、ここだと少し肌寒く感じるほどで、澄みきった空気がとても美味しい。


青く清々しい草の香りに、思わず両手を広げて深呼吸をした。


智紀と一緒に座る場所を探し、持参したレジャーシートを広げる。


二人並んで腰を下ろし、すぐに手をつないだ。


星観測をしているのは私たちだけじゃなく、何組かのカップルや親子連れもいたけれど、こんな暗がりの外は慣れなくて、やっぱり少し怖かった。


智紀は同じ大学のふたつ先輩。テニスサークルで知り合って、つきあい始めて一年になる。



「ねぇ、智紀はUFOって信じる?」


満点の星空を見つめ、ふと思い浮かんだことを聞いた。


「UFOかぁ。あると思うけど。  美月はどうなの? 」


「そうね、なんとなくだけど、あると思う」


こんな大自然の中にいると、そんな非現実的なことが起こっても、驚かないような気がした。


 「宇宙人の存在なら絶対だな」


智紀はまるで確信でもしているかのように答えた。


ーーー宇宙人。


智紀って意外と子供っぽいかも。


いつまでも少年の心を失ってないと言うべきか。


「宇宙人ってさ、やっぱり可笑しな顔をしているのかな?  頭は私たちよりも良さそうね」


「どうかな?  見た目は僕たちとそんなに変わらないんじゃないかな。星の数だけ太陽系のような惑星があってさ、その地球みたいなところで宇宙人も暮らしているような気がする」


「えーっ、星の数だけって、そんなに?」


「もちろん、想像だよ。なんの根拠もないけどね。なんとなくみんな、そこでいろんな経験をして、楽しんだり、悩んだりしてるんじゃないかなって」


そんなこと考えたこともなかった。



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