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驚きの訪問者
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*彩矢*
どうして?
どうして美穂先生が……
あんな事件を起こしていながら、未だに潤一との関係を終わらせてなかったなんて。
私には他人を咎める資格などないかも知れない。
だけど、美穂先生がなに食わぬ顔をして、悠李と雪花の相手をしていたことに、強い嫌悪感を覚えずにはいられなかった。
「ああ、そういえば彩矢に言ってなかったな。美穂に手伝いを頼んだんだ。俺とお袋だけじゃ心許ないからな」
潤一がたった今思い出したかのように、こんな重大なことをサラリと告げた。
この人は一体なにを企んでいるのだろう。
「ええっ! 平川さんに知らせてなかったんですか? ………」
美穂先生が驚いて、怯えたように狼狽えて後ずさった。
やはり、潤一の仕業だ。
美穂先生を利用して、雪花を奪おうとしているのだ。
「美穂先生は、いつまでこの人に利用されているつもりですか? これからもずっとそんな生き方でいいんですか!!」
ジェニファーと再婚したばかりの潤一に、まだ未練があるの?
美穂先生は潤一の後ろに隠れてうなだれていた。
「なんだよ、人聞きが悪いな。俺は美穂を利用なんかしてない。悠李と雪花を楽しませたかっただけだ」
そんなはずはない。潤一が簡単に雪花のことを諦めたりするわけがない。
「ジェニファーさんと赤ちゃんはいつ来るんです? ジェニファーさんが来ても美穂先生に悠李と雪花の面倒をみてもらうつもりですか!」
私は感情が高ぶって、すでに涙ぐんでいた。
「ジェニファーは来ないよ。あいつとは結婚しないことになった」
「ええっ!」
じゃあ、美穂先生と再婚するってことなの?
そんな、、
「ママ、どうしたの? 悠李すごく楽しかったよ」
大人たちのいがみ合いに不安を感じたのか、悠李が悲しげに私を見上げた。
「そうだよな、悠李。今度はサッカーやるぞ。公園の雪もほとんど融けたから、来週なら出来るだろう」
「わーい! やるやる、悠李、サッカー好きだもん!!」
悠李が喜んで玄関でピョンピョン跳ねまわった。
「ゆきかもやるっ!」
サッカーなど知らない雪花もマネをして叫んだ。
「ダメよ! パパに会うのは月に二回までって決まっているの!」
ひどく焦りを感じて、きつい言い方をしてしまう。
「どうしてママ? どうして二回なの?」
悠李のこんな簡単な質問にさえ、上手く答えることが出来ない。
「どうしてって、、どうしてもよ。もう決められてることなの」
納得などさせなくていい。
ダメなものはダメなのだ。
毅然とした態度を取らないと、相手の思うがままににされてしまう。
「誰が二回って決めたの? 三回会ったらおまわりさんにつかまるの?」
理詰めで問い詰めてくる悠李に辟易しながらも、ここは譲れないと思った。
「そうよ、無理に何度も会ったら、パパが逮捕されちゃうのよ。だから、我慢しようね」
我ながら上手く誤魔化せたと思ったのに。
「ママさえ許してくれたら、毎日だって会えるんだけどな」
潤一がすかさず言って、不敵な笑みを浮かべた。
「ほんとう? ママがいいって言ったら毎日パパに会えるの?」
「悠李、、毎日なんて無理に決まってるでしょ。保育園にだってちゃんと行かないといけないし、みんなお仕事があって大変なの。お願いよ、わがまま言わないで、また今度にして」
切羽詰まって取り乱し、またいつもの泣き落としを使ってしまった。
「悠李がパパに会うとママは困るの?」
落胆しながらも私を気遣う悠李の優しさに戸惑う。
大人の勝手で、こんな小さな子に無理をさせてはいけないんだ。
だけど………
「パパは仕事で家になんていないの。帰りだって毎日遅いし、一緒に暮らしていたんだから悠李にもわかるでしょ。パパは遊んでいる暇なんてないのよ」
「遊んでくれなくていい。悠李パパがお仕事から帰ってくるの待ってる」
「ハハハハッ、悠李、おまえは可愛い奴だな。そこまで言われたら無理をしてでも早く帰りたくなるな。俺がいない昼間は美穂が居るから、いつ遊びに来てもいいんだぞ」
なんの遠慮も躊躇いもない潤一に苛立つ。
「やめてください!! あなたは自分のことしか考えてないんだわ。子供の幸せを少しは考えてよ! ふたつの家を行ったり来たりしていたら、子供たちはずっと悲しい気持ちを引きずるのよ!」
「自分のことしか考えてないのはおまえじゃないのか? 悠李の気持ちが少しもわかってない」
痛いところを突かれて、顔が引きつった。
「とにかく今日はもう帰ってください!」
潤一はふてぶてしく薄笑いを浮かべていた。
この人はどうしていつも余裕があるのだろう。
なぜ、私はいつも取り乱してしまうの?
「じゃあ、悠李、雪花、またな!」
潤一が悠李と雪花に軽く手を上げた。
「あ、あの、これ、、つまらないものですが」
うなだれて押し黙っていた美穂先生が顔を上げて、ケーキが入っているような箱を差し出した。
「いりません!!」
ヒステリックに返答し、玄関のドアを閉めた。
感情的に追い払ってしまったことに、ひどく落ち込む。
どんな時にも穏やかに対応ができる大人になりたいと、いつも思っているのに。
まさか、美穂先生が一緒だったなんて。
沈んだ気持ちで振り返ると、悠李が恨みがましい目で私を睨んでいた。
「ママのいじわる!!」
そう叫ぶと悠李は靴を脱いでリビングへ行ってしまった。
悠李………
「あしたもみほせんしぇいとあそぶ」
雪花にまでそんなことを言われて、泣きたくなる。
暗澹とした気持ちで上がりかまちに雪花を座らせ、靴を脱がせた。
どうして?
どうして美穂先生が……
あんな事件を起こしていながら、未だに潤一との関係を終わらせてなかったなんて。
私には他人を咎める資格などないかも知れない。
だけど、美穂先生がなに食わぬ顔をして、悠李と雪花の相手をしていたことに、強い嫌悪感を覚えずにはいられなかった。
「ああ、そういえば彩矢に言ってなかったな。美穂に手伝いを頼んだんだ。俺とお袋だけじゃ心許ないからな」
潤一がたった今思い出したかのように、こんな重大なことをサラリと告げた。
この人は一体なにを企んでいるのだろう。
「ええっ! 平川さんに知らせてなかったんですか? ………」
美穂先生が驚いて、怯えたように狼狽えて後ずさった。
やはり、潤一の仕業だ。
美穂先生を利用して、雪花を奪おうとしているのだ。
「美穂先生は、いつまでこの人に利用されているつもりですか? これからもずっとそんな生き方でいいんですか!!」
ジェニファーと再婚したばかりの潤一に、まだ未練があるの?
美穂先生は潤一の後ろに隠れてうなだれていた。
「なんだよ、人聞きが悪いな。俺は美穂を利用なんかしてない。悠李と雪花を楽しませたかっただけだ」
そんなはずはない。潤一が簡単に雪花のことを諦めたりするわけがない。
「ジェニファーさんと赤ちゃんはいつ来るんです? ジェニファーさんが来ても美穂先生に悠李と雪花の面倒をみてもらうつもりですか!」
私は感情が高ぶって、すでに涙ぐんでいた。
「ジェニファーは来ないよ。あいつとは結婚しないことになった」
「ええっ!」
じゃあ、美穂先生と再婚するってことなの?
そんな、、
「ママ、どうしたの? 悠李すごく楽しかったよ」
大人たちのいがみ合いに不安を感じたのか、悠李が悲しげに私を見上げた。
「そうだよな、悠李。今度はサッカーやるぞ。公園の雪もほとんど融けたから、来週なら出来るだろう」
「わーい! やるやる、悠李、サッカー好きだもん!!」
悠李が喜んで玄関でピョンピョン跳ねまわった。
「ゆきかもやるっ!」
サッカーなど知らない雪花もマネをして叫んだ。
「ダメよ! パパに会うのは月に二回までって決まっているの!」
ひどく焦りを感じて、きつい言い方をしてしまう。
「どうしてママ? どうして二回なの?」
悠李のこんな簡単な質問にさえ、上手く答えることが出来ない。
「どうしてって、、どうしてもよ。もう決められてることなの」
納得などさせなくていい。
ダメなものはダメなのだ。
毅然とした態度を取らないと、相手の思うがままににされてしまう。
「誰が二回って決めたの? 三回会ったらおまわりさんにつかまるの?」
理詰めで問い詰めてくる悠李に辟易しながらも、ここは譲れないと思った。
「そうよ、無理に何度も会ったら、パパが逮捕されちゃうのよ。だから、我慢しようね」
我ながら上手く誤魔化せたと思ったのに。
「ママさえ許してくれたら、毎日だって会えるんだけどな」
潤一がすかさず言って、不敵な笑みを浮かべた。
「ほんとう? ママがいいって言ったら毎日パパに会えるの?」
「悠李、、毎日なんて無理に決まってるでしょ。保育園にだってちゃんと行かないといけないし、みんなお仕事があって大変なの。お願いよ、わがまま言わないで、また今度にして」
切羽詰まって取り乱し、またいつもの泣き落としを使ってしまった。
「悠李がパパに会うとママは困るの?」
落胆しながらも私を気遣う悠李の優しさに戸惑う。
大人の勝手で、こんな小さな子に無理をさせてはいけないんだ。
だけど………
「パパは仕事で家になんていないの。帰りだって毎日遅いし、一緒に暮らしていたんだから悠李にもわかるでしょ。パパは遊んでいる暇なんてないのよ」
「遊んでくれなくていい。悠李パパがお仕事から帰ってくるの待ってる」
「ハハハハッ、悠李、おまえは可愛い奴だな。そこまで言われたら無理をしてでも早く帰りたくなるな。俺がいない昼間は美穂が居るから、いつ遊びに来てもいいんだぞ」
なんの遠慮も躊躇いもない潤一に苛立つ。
「やめてください!! あなたは自分のことしか考えてないんだわ。子供の幸せを少しは考えてよ! ふたつの家を行ったり来たりしていたら、子供たちはずっと悲しい気持ちを引きずるのよ!」
「自分のことしか考えてないのはおまえじゃないのか? 悠李の気持ちが少しもわかってない」
痛いところを突かれて、顔が引きつった。
「とにかく今日はもう帰ってください!」
潤一はふてぶてしく薄笑いを浮かべていた。
この人はどうしていつも余裕があるのだろう。
なぜ、私はいつも取り乱してしまうの?
「じゃあ、悠李、雪花、またな!」
潤一が悠李と雪花に軽く手を上げた。
「あ、あの、これ、、つまらないものですが」
うなだれて押し黙っていた美穂先生が顔を上げて、ケーキが入っているような箱を差し出した。
「いりません!!」
ヒステリックに返答し、玄関のドアを閉めた。
感情的に追い払ってしまったことに、ひどく落ち込む。
どんな時にも穏やかに対応ができる大人になりたいと、いつも思っているのに。
まさか、美穂先生が一緒だったなんて。
沈んだ気持ちで振り返ると、悠李が恨みがましい目で私を睨んでいた。
「ママのいじわる!!」
そう叫ぶと悠李は靴を脱いでリビングへ行ってしまった。
悠李………
「あしたもみほせんしぇいとあそぶ」
雪花にまでそんなことを言われて、泣きたくなる。
暗澹とした気持ちで上がりかまちに雪花を座らせ、靴を脱がせた。
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