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不安な日々
しおりを挟む1月3日 晴れ
彩矢ちゃんを紹介するために室蘭の実家へ行った。
好天に恵まれたけれど、なんとなく浮き足立っている彩矢ちゃんが少し心配になった。
うまくフォローしてあげていたつもりだったけれど、俺の余計な一言で、彩矢ちゃんはかなり居心地の悪い思いをしていたようだ。
門限10時がそんなに落ち込ませる事になるなんて、普通は誰だって思わないだろう。
清純じゃないとか、そんなことを自分で言わないでくれ。そんなに気にされると、俺まで気になって尚さら不快な気分にさせられる。
俺は彩矢ちゃんの一途で純粋なところが好きなんだから。
だから今はもう、俺だけを見ていて欲しい。
1月10日 曇りのち雪
彩矢ちゃんのご両親にも挨拶に行きたいと、この間から言っているのに、「あ、うん、そうだね」とか言っておきながら、いつ来てという話しはしてくれない。
しつこいと思われたくはないけれど、6月に挙式することを考えると、挨拶は早めに済ませておきたかった。
今日、また彩矢ちゃんに聞いてみた。
「ご両親への挨拶はいつがいいかな? 」
「そうだった、忘れてた。いつがいいかなぁ。聞いておくね」
視線を泳がせて、うろたえている彩矢ちゃんに、嘘の気配を感じた。
でも、それを問いただす勇気がない。
「あと、婚約指輪を買いに行こうよ。彩矢ちゃん自分で選びたいだろ? それとも俺が選んで渡した方がいいのかな?」
困ったようにうつむく彩矢ちゃんを見て悲しくなる。
「本当に結婚する気があるのかい?」
思わずイライラしてそう言ってしまった。
でも、それ以上言うと墓穴を掘る危険性を感じて、もうなにも言えない。
1月17日 晴れ
もう一週間も彩矢ちゃんに会っていない。
LINEの内容では、体調も戻って来たし、そろそろ仕事がしたくなったとのことだ。
面接なども受けているらしい。
別に仕事することに反対はしないけれど、なにか口実めいた行動に感じられてスッキリとしないものがある。
俺の考えすぎなのか?
でも、明日は会える。合鍵を渡してあるから、『アパートで待っているね!』の返事があった。
一週間も会ってないと、禁断症状が出そうなくらい落ち着かない気持ちになる。
早く会いたい。
彩矢ちゃんを壊れそうなくらい強く抱きしめたい。
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