六華 snow crystal 2

なごみ

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悔恨と絶望の日々

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不節制がたたって風邪を引いた。


咳と微熱がいつまでも続いていたけれど、なんとか仕事は続けていた。朝から体がだるく、病院に着くとすごい寒気に襲われた。


外来の処置室で熱を測ってもらうと39.3℃もあった。採血と胸部X線写真を撮ってもらい、マイコプラズマ性肺炎と診断された。


しばらく家で静養しているように言われ、薬局で処方された薬をもらって、アパートへ帰った。


 仕事をしていた時の方が、気が紛れていた分、はるかにマシだった。


アパートにひとりでいると気が滅入る一方だ。


 彩矢ちゃんとの思い出がたくさん詰まったこのアパート。


寒々としたこの陰気な部屋が、あの幸せだった時と同じとはとても思えない。


食欲もなく、何もする気になれず、仕事している時よりも病気は逆に悪くなっているような気がした。


しても仕方のない後悔ばかりを繰り返している。


 今朝、鏡を見て愕然とした。


 まるで龍宮城から帰って玉手箱を開けた浦島太郎のようだった。髪に白髪が混じり、ほおがげっそりとやつれていた。


精気が感じられない虚ろな目。


ヒゲを剃っていないツヤのない肌は年寄りじみていた。


 幸せはたったの一ヶ月半で終わった。


 夢のような時間だったけれど、最高に幸せだった分、その反動の大きさに今、打ちのめされている。


 あまりにも呆気ない幕切れ。


もう何をしたって、どうにもならない。


彩矢ちゃんは松田先生を頼って、すでに一緒に暮らしている。入籍もすませたことだろう。


 一縷の望みさえない・・・。





3月3日

『佐野さん、お変わりないですか~  結婚の話はどこまで進んでいるの?  彩矢に聞いても返信してくれないんだけど、どうして?  失礼しちゃう。
私を誰だと思ってるわけ?  縁結びの神様だよ~!   ラブラブで忙しいのかも知れないけど、ちょっとひどすぎない?  ふたりは周りのことも見えなくなっちゃってるの?』


 久しぶりの有紀からのLINEに戸惑う。


 またフラれたという報告をしなければならない惨めさと、有紀にも気まずい思いをさせてしまうということの苦痛。


 でも返信しないというわけにもいかない。


『マイコプラズマ性肺炎に罹ってしまい、自宅療養中。結婚はしないことになったと言うか、彩矢ちゃんは松田先生のところへ行った。肺炎の方は快復している。いつも何かと心配かけて悪いな』



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