チートな親子と変な仲間たち

ais

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仙術

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助けてとその黒髪の子供は毎日ずっと叫んでいた。
心の中で声でずっと…

その村は武を主とする人間が寄り合いカシラと呼ばれる人間が村長のような事をして生活をしていた。

村の主な収入は傭兵ようへいの派遣でカシラはこの村1番の武人だ。


それもその筈で祖父に当たる人間が異世界人ゆうしゃでありその魔法の教えと剣の鍛錬を受けて育ち祖父と父が『事故』で死んだ時には屈強な魔法戦士として出来上がっていた。
事故とはあるが不審な点も多かったが現場にはカシラしか居らずその目撃証言で毒のある魚を誤って食べて死んだと処理された。

父・祖父のくびきを無くしたカシラは方々に女を作り孕ませ、または犯して幽閉し子供を作った。
子供は母の元から拐うか従えるかさせてそれを育て、祖父の血を絶やす訳にはいかない。または祖父の血で金儲けをしたいと考え子供を鍛えた。

子供は20人産まれて内19人は戦士や暗殺者としての頭角を現しカシラや仲間と子供は喜んだ。


1人の子を除いて。

その女児はステータスに武器を使う能力が見られなかった。
剣技や魔法、槍術や隠密といったスキルのそれだ。

女児は武を生業なりわいにする一団として恥ずかしく忌むべき存在になった。
幸いこの子は拐われた子供ではなく、母は傭兵の一団の食事を作る人間で彼女の料理は重宝されており、また子を守ろうとする優しい母だった為に子供はカシラや兵団や異母兄弟に嘲られ蹴られはするが母に笑顔を見せる余裕はあった。

ある日の事、傭兵団は貴族の護衛として雇われ野営をしていた。異世界勇者の孫という価値は貴族にまで頼りにされるものだったのだ。

夜、皆で作戦会議をするテントでついでに兵糧しょくじをしようとしている時に一本の風の魔法を纏った矢がカシラに食事を提供していた女児の母の第一頸椎くびすじに刺さった。
夜襲の場合、気付かれずに敵兵力の中心を潰してしまうセオリーでカシラへ攻撃… カシラの力量は知られている。風の魔法でスピードを増した矢なら不意打ちをかけれると思ったのだろうそれは偶然にも女児の母の命を奪った。

食事の皿の配膳の手伝いをしていた女児は倒れた母に縋り付いて泣き出すと〈ゴッ〉という強烈な頭への痛みで意識を失った。

子供の泣き声は奇襲相手の場所を探るに邪魔だったからだ。

朝焼けに女児が目を醒ますと周りは死屍累々で母は死姦されたのか裸にされていた。
女児は敵が勝ったか味方が勝ったのか分からないので「戦場で泣くんじゃねぇ!」と父に蹴られる前に言われたのを思い出し、ぐぅぅぅと泣き声を殺していた。

この時に敵に捕縛された方が子供には良かったかもしれない。

戦に勝ったのは父だった。
それからは庇ってくれた母がいなくなるや地獄のような日々がはじまる。
まだ「らりるれろ」の発音も拙い子供に対し父が邪魔という理由だけで殴ってからは皆のたががはずれ『カシラも庇護しない』と理解されてしまい蹴り殴り怒鳴り寝かせず汚物を食わせ犯されを繰り返した。

全ての人間に… いや… 犬にまで慈悲を請う姿に哀れさを感じるが行き過ぎてしまった事に皆は戻れないようになってしまっていた。

ストレスのはけ口、戦場でのポリテロフィリア性異常者による性のはけ口、罪の擦りつけの全てを受け、泣くと全ての指を折られ回復されをして笑われて過ごした。

その格好はもうボロボロで仕事の依頼に来た者は女児を見かけても人間とは認識せず捕らえた魔物の子供とさえ思う程だ。


それから数年たった時、傭兵団は貴族の領地拡大に際して邪魔になっている人物の排除を依頼される。カシラは「ジジイ1人ならオマエらだけでいけるだろ?」と苦笑しながら依頼書を皆に見せる。

要約すると【山にやたらと強い老人がおりそれを排除して欲しい】との依頼だった。
編隊として5人が割り当てられる。そのなかの1人が女児を[お気に入り]にしている男だった為、女児も消耗品として編隊に組まれた。

小高い岩山を登り犯されを繰り返し、老人がいるという山の頂に到着すると白髪を後ろにまとめて長い白髭を生やした老人がスッと現れる。

現れた老人が暗殺対象であると依頼書の人相の記述から判断したメンバーは口々に老人を罵り剣や槍を構える。

「どうしようもないのぅ」
そう老人は言うと木の葉が舞うようにゆったりと歩き傭兵の攻撃をかわしたかと思えば
「ふん」
と老人の体格ではあり得ない力で傭兵を殴り何メートルも飛ばす。
それを見て逃げようとする傭兵に
「殺そうとしておいてやれ逃げるとは臆病にも程がある。死んで恥じろ」
ドドドドっと傭兵を拳で一人また一人と肉塊に変えていた時にピタリと拳が止まる。

女児が拳の先で笑っていたのだ。

「何ぜに笑うか?」
老人の問いに女児は《話して良いのか》と潰れた声で聞く。
「聞きにくいのぅ… それ」
老人は指を女児の首に当て内功を入れるとモゾモゾと女児の首の肉が蠢き止まる

「話せるようにしたよ、さぁ言いなさい」
女児はあーあーと声を確認し驚き、また笑顔で老人に向かいこう言った。

「やっと死ねると思ったから」


女児は片足を引きずりながら老人の前に近づき"さあ"と促すように手を広げ老人の拳を待つ。

老人は目をゆっくり細めて女児の体を見て
「何があったか話しなさい」
優しく女児に語りかけた。

それから女児は自分のされた事、思った事を老人に話した。その全てに老人は言葉を失う。
子供の口から出るべきではない経験の数々に老人はこの子に希望を与えたいと思うようになった。

「わしの弟子にならんか?」
その老人は地球では格闘家という職業でこの世界に召喚された勇者だった。
全ての地球帰還までの条件を満たしたが地球より異世界こちらの方が楽しいと帰還を拒否し、武道を極める日々を送り気功という魔法とは違う無属性の力を手に入れ仙人となったのだという。

「でも私、お弟子さんと言っても体はボロボロだし。それにステータスには武器を使う能力がなって書かれていて… 」
今までの原因となった事を思い出し言葉を詰まらせる。

仙人は力一杯に気を丹田で練ると女児の背中を〈パン〉と弾く。ゴロゴロと女児は転がり体全ての肉が蠢くと女児の体は気力を取り戻し産まれて初めての快適を味わう。

「内功と言ってな体の中を気が巡るようにした物を注いだ。幼いから次第に傷も怪我も治るじゃろうし、子供も将来産めるじゃろう」

ゆっくり仙人は女児に近づくと拳を女児に突き出し見せる。

「それにな武器のスキルは要らん。ワシの使うのはコレじゃからの!」

女児は仙人に涙を流し大声で泣いた。
産まれて物事がついて以来久しぶりの号泣だった。
女児は泣きながら仙人に頭を下げ
「よろしくおねがいします仙人様」
と涙声で辛うじて言ったのだ。



それからは大変でまず気の認識と体術の訓練がはじまる。
地獄を見てきた女児には痛みや疲れは慣れたもので仙人としての修行で一番大切なものが備わっていた。

岩に体をぶつけ震える体で立ち上がり、気の修練で内臓をかき回す苦痛の中でも泣き言を言わなかった。

仙人は自分がこの境涯に立てるまで何十年かかったかと思い、話された女児の痛みなど一部分なのだろうと陰で涙を流した。

女児は勇者の曾孫というのもここにきて成果を上げる助力になった。元勇者である仙人と勇者の曾孫という組み合わせは相乗効果のように鍛錬のスピードを上げる。

「私、武器を使う能力が無くて良かったです」
と可視化まで出来る程になった気を操る女児の言葉にうなずくしかなかった。異世界召喚の際に神の存在を確認している仙人は神の思し召しと本当に思った。



数ヶ月して山に登る者の気配を仙人と女児は感じる。
なんだろうと辟穀へきこくと呼吸法の修練中の2人が山縁を見ると女児は顔を強張らせる。

「あ?なんだオマエ生きてたのか?コラ」
カシラ… 女児の父と傭兵の一団であった。

「ったくジジイの1人殺せねえ、ガキは帰って来ねえどうなってんだ?山の下の骸は何だ?ジジイ… ウチの奴らを殺ったんか?」

ジロリと女児を睨むと先程まで笑って話していた顔が歪み岩床に頭を打ち付け、その顔に血が出るまでそれをしながら
「ごめんなさい」と謝り出す。

カシラはニヤリと笑いまだ娘が傀儡くぐつだと判断しサディスティックに
「いや許さねえ、引きずり帰って今までの倍"こき使って"やる」と言うと女児は泣き叫び失禁し震えて動かなくなった。

仙人はその一コマを止めれなかった自分と弟子である女児の待遇を改めて知ると怒りが全身にかけていき頭の天辺から湯気が出る思いをする。

「主らはワシの弟子の今後の為に死なねばならんわの…」
酷くガッカリした口調で仙人は言い、それにカシラはヘッと鼻で笑い返す。

「まぁまずは死ねやジジイ」
おう!という掛け声でカシラと傭兵一団は仙人に剣と魔法を向ける。

「仙人様… 逃げて… !」
女児が仙人を気遣うと仙人はそれを背中に受け涙目になる。
ーーー恐怖よりワシを心配するかね?早く終わらせてしまうかの。ウムそうしよう。
心に流れる暖かい物に仙人は鬼となる。

傭兵一団… 20人程なのだが仙人が瞬間に歩みを詰め次々に首から先を気で消滅させる
気の光がパッと広がると消し炭のような頭の跡がサラサラと崩れ体だけが崩れ落ちる。

それを見た他の傭兵は驚き体を止める。歩くような格好だがそのスピードは早くパッパッパッパッと次々と傭兵らの命を奪える部分を仙人は消していく。

「ば… バケモノめ!私は勇者の孫!オマエなんて!」
と大声でで切りかかってきたカシラの正中(からだのまんなか)に素早く力一杯に無数の拳を打ち込む。

「あへ!ベケプブプブ」
と声か体から出た空気か分からない物を吐き出しながら仙人の拳により山縁より下へ弾き飛ばす。
落ちる時に拳の勢いに体が耐えれなくなりカシラの体はひん曲がり弾け飛びして、血を撒き散らしながらゴツゴツと体を岩にぶつけながら落ちて行った。

「終わったよ」
足で傭兵の残骸を山の下に蹴落としながら仙人が女児を見るとまだうずくまり震えて「ごめんなさい」と言い続けている。
ーーー可哀想にのぅ… 今までの思い出は無い方がいいのやもしれんな。

仙人は痛くない様に女児の頭を抑えて気を流していく。

気が流れ終わると女児は何も無かったように頭を上げ辺りを見渡し仙人を見つけ見ると

「ここはどこですか?」
と仙人に不思議な顔を向ける。
「おお、目を覚ましたか私はオマエのジイちゃんだよ」

仙人は女児の記憶を封印したのだ。

「おじいちゃん?なの?私の名前は?」
名前すら自分で分からず戸惑う女児を見て、決めたように仙人は答える。
「カラン名前も忘れたのかい?」
「カラン?私の名前?」
「ああ、本当はカランコエで愛称でカラン、ジイちゃんの故郷の花の名前だよ」

カランは笑い仙人もつられて笑う。
「へんな名前」
フフフと笑うカランの頭を優しく撫でた。

記憶は無くなっても修行をした体は同じなのである程度の力はカランにはあり翌日からの修行も"ジイちゃん"に泣き言を言いながらもついていけた。

気の修行をし、動物を刈り食べ修行をして35年が経った日に仙人に神様からのお告げがあった。

ーーーカランちゃんを旅に出させなさい。今の世界にはイチという面白い冒険者がいる。人との関わりも大切な修行ですよーーー

なるほど確かにそうだと思い翌日の朝一番にカランに話をする。
「えっ?修行休んで良いのかえ?」
という言葉に仙人は苦笑しながら

「いや修行は続けなさい、色んな人を見て冒険をするのもまた修行じゃからの、しゃーなしじゃ」
「しゃーなしかー仕方がないのぅ」
と笑うカラン。

実は神様のお告げがあった事、イチという冒険者を探す事を伝えると分かったとカランが返す

ーーー良い子に育ったわい。ただ、話し方はワシの影響を受けて欲しくなかったわい…

良い子と言うが人間の年齢では40を過ぎている。
だが仙人の修行をして気と呼吸法と体術を学ぶ事で体の成長はゆっくりとなり、見た目には15か16歳の女の子道士になっている。

「では行って来い!」
「えっ?今から!?」
「それも修行じゃ!」

そう笑い合うと行ってきますという風に笑顔で手を振りカランは下山していく。

もう、助けてと泣いていたとは信じられない陽気な笑顔で…





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カランコエの花言葉

あなたを守る
幸福を告ぐ

四つの花びら

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