異世界転生 内気な青年に与えられた能力は死に戻り

KOKE

文字の大きさ
66 / 77
七章

65話 火の都

しおりを挟む
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

「ん、んんぅ…」
 堺が唸り声をもらす。

 ポタ、ポタポタ

「あ、あつい…」
 堺が目を開ける。
 意識がフラッとしており、全身に汗をかいている。
 ペストマスクの中はべっちょりしており、思わず脱いでしまった。

「ぷはっぁ!!」

 汽車に立ちこむ熱気。
 窓の外を見ると、自然の風景が、黒色の大地に染まっていた。
 遠くに見える山からは赤いマグマが流れている。

「はっ…?」
 脳の処理が追いつかない。
 (そ、そういえば火の国とか言ってたよな?そういうこと!?)
 堺は何処か納得してしまい、暑さに耐えようとする。

 呼吸をする空気が暑い、まるでサウナにいるかのようだ。

「え……」
 堺は斎藤と真希を見た。
 二人ともスースーと寝ている。

 (おいおいふざけんなよ、こちとらこんなに苦しんでいるのに… 多分魔法だな、くそ!俺もつかいてぇ!!)

 堺は苦しさに耐えることができず、魔法を使うことに決めた。

 (イメージ、氷…… 涼しい…… よし、かき氷!)

 堺の手から氷がジャリジャリと出てきた。

「っは!きもちっ!」
 堺は手から出る氷を顔に擦り付け、首元に当て、服の中に入れた。

 びっちゃびっちゃになりつつも、暑さを凌ぐために魔法を止めなかった。

 すると、

「ん...?」
 隣に座っている斎藤が目を覚ました。

「サッカイ君?」
 斎藤は首を傾げた。

「あ!さ、斎藤さんすいません!お、起こして!あっ、暑くて、ちょっと、涼んでました!」
 堺は手から出る氷を塗りたくる。

「サッカイ君、暑さを凌ぎたいなら耐熱魔法を付与するのが効果的だよ」
 斎藤は苦笑いを浮かべる。

「耐熱魔法!そんなのあるんですか!?」

「とりあえず、その魔法やめようか、僕も濡れてるし」

 堺は謝りながら氷を出すのをやめた。

「耐性系の魔法もイメージが大切。例えば、ひんやりとした海に浸かってる。とか、涼しい季節を思い浮かべるでもいい。」
 斎藤は目をつぶり、瞑想のように穏やかに呼吸した。

 (な、なるほど、えっと… イメージ、、クーラ!冷えたあの空間! ピッと電源入れたら涼しくなるあの感じ)

 堺がイメージを膨らませると、

「お、おぉ! 凄い!涼しい!!」
 全身がクーラーの風に包まれているようだ。

 はしゃぐ堺。
 斎藤はマスク越しに笑みを浮かべていた。


 ガタンゴトン… ガタンゴトン……

 シュポォォォォ!

 ……ガシャ、ガシャン!

 汽車が停まった。
 堺は窓の外を見る。

「おー!」

 遠くに見える火山。
 鋼鉄の駅。
 筋骨隆々な男たちが、ピッケルを持って汽車の扉が開くのを待っている。

 ガチャ!

 駅の扉が開いた。
 野郎たちが乗り込んでくる。

 汗の匂いが車内にムアムアと立ちこむ。
 野郎たちは今日の収穫について話し、騒いでいた。

 防具をつけたものや、ピッケルだけ持って薄着のものもいた。
 女性も少しいたが、華奢な体は見つからず、太ももや腹筋が立派であった。

 (うわぁー、席座っててよかったぁ)

 堺はフゥと息を吐く。

 ガララララ…

 車両の両側から音が聞こえ、先ほどのロボットが二台、前と後ろから向かってくる。

 皆、お金をチャリンチャリンと入れていく。

 あんなにも静かだった車内がザワザワとうるさい。
 堺は眠気はなかったが、話しかけられないように目を閉じていた。

 ――
 
 暇。
 そのため周りの人が何を言っているのか無意識に耳を傾けてしまう。

「今日はやばかったな!」

「まさかレッドドラゴンに出くわすとは、流石に死んだと思ったぜ」

「全員生きててほんとラッキーだった」

 数人の男が話している。
 堺はドラゴンという言葉に興奮してしまい、鼻息が荒くなる。

「それにしても、ドラゴンがこの大陸までやってくるとはな…」

「何やら、ここ最近で転生者が何人も死んでるそうだ、それが影響しているらしい」

 男たちは、今後が心配だと話し、家族に早く会いたいと盛り上がっていた。

 堺はドラゴンや転生者のことを頭の中でグルグルと考えていた。
 
 (前田さんの死とか関係あるのかな、アルファの転生者…そういえば!岡本さんたち大丈夫なのかな? また、皆んなに会いたいな…)

 堺は以前の出来事を考えたり、周りの人の話に耳を傾けたりして時間を潰していた。

 しばらくして――

 (うっ、やばい!魔力ずっと消費しているせいか、めっちゃ体ダルい、、このままだとまた気絶するっ)

 体は動いてないのに、頭がグルグルと回る感覚がしてきた。
 (や、やばい、ちょっと魔法を解いてみるか…)

 ヒュオォォ

 魔法を解いた瞬間、頭がフワッと軽くなる。
 途端、熱風が全身を包み込む。
 (あ、あづいいぃ、、)
 夏の日陰にいるような状態で、ポタポタと汗がで始める。
 車内の温度は下がってきているが、先ほどよりも暑く感じる。
 堺はすぐさま耐熱魔法を展開した。

 (こ、堪えてやる!!………)
 酔ったように頭が回り、なんの思考もできずに時間だけが過ぎていく…

 鋼鉄の駅から何時間が経とうときた時――

 シュポォォォォ!!
 汽笛がなる。
 周りの人たちが席から立ち上がる音が聞こえる。

 (きた!!)

 堺はス…と目を開ける。

 (おぉ!!!)

 窓を見ると、一定間隔で駅が並んでいた。
 駅は街を囲むように作られており、各駅からまっすぐと線路が続いている。
 空港のように広大な平地。
 たくさんの人が行き交っている。

 ガチャガチャン!

 汽車の扉が開き、野郎どもが雪崩のように出ていく。

 スン…

 真希が立ち上がり、斎藤はその後に続く。
 
 堺も立ちあがろうとした、が、

「やばっ」
 フラッと体がよろける。
「……」
 唾液をごくりと飲み、耐熱魔法を解いた。

「あ、暑くない…」
 堺はフゥと息を吐く。

 そしてバッ!と立ち上がり斎藤の後ろについていった。

 汽車の外に出る。

 キラッと太陽が目を刺激した。

「おぉー!」

 ブルジュハリファみたいな形の巨大な建物が一つそびえている。
 正面は広々とした道が続き、その左右にはレンガと鉄骨造りの建物が並んでいる。
 
 モクモクと煙を発した煙突、シュポシュポと音を鳴らせながら走る車やバイク。

 堺はポケーっとその光景を眺めていた。

「サッカイ君、迷子になるよ」
 斎藤が肩をチョンチョンと指差す。

 堺はビクッと体を震わせ、情けない声を出す。

 真希がこちらをジッと見ており、あの時のトラウマを感じて、ササッとついていく。


 ――街。
 人で賑わっており、鉱石を売っているものや、武器や防具を売っているものがいる。

「あれはっ!」
 街中で走っている蒸気を出す乗り物を販売している店があった。

「ん……?」
 気のせいだろうか、奥の方にスーパーカーのようなものが展示されていた。

 堺はすっかりテンションが上がってしまい、ニッコニコで観光のように楽しむ。

 (それにしてもスーツの人多いな、マジかっけぇ ああー 俺の服もうボロボロだし、そろそろ新しいの買いたいなぁ)

 堺は周りの目線が気になり、マスクを被る。
 (よし!乾いてる!)

 三人は歩く。
 その先、巨大な塔がそびえていた。

 
 ――――街の中心にある塔。その最上階にて
 
「選抜戦をやらないといけないなぁ!!」

「そうですね、心大陸への上陸制限の緩和、全く、どれだけの馬鹿が死ぬと思っているのか… アンドレス王も血迷いましたね」

「おいおい!そう人を悪く言うな! きっと何か考えがあるんだろう!」

「そ、そうですね、それと、船の建造は完了いたしました。あとは地神様に選抜場の件をお伝えください」

「うむ!いつも助かっておるぞ! わかった!!伝えておく!」

「では、火神様、失礼します」
 そう言って彼は頭を下げて出ていく。

「今年は最高に盛り上がりそうだな! ハッハハッ!!」
 火神は高らかに笑うのであった。
 

 
 
 

 
  

 

 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!

DAI
ファンタジー
【第一部完結!】 99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』 99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。 99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、 もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。 今世の望みはただひとつ。 ――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。 しかしその願いは、 **前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。 女神の力を秘めた転生少女、 水竜の神・ハク、 精霊神アイリス、 訳ありの戦士たち、 さらには―― 猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、 丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!? 一方その裏で、 魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、 世界を揺るがす陰謀を進めていた。 のんびり暮らしたいだけなのに、 なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。 「……面倒くさい」 そう呟きながらも、 大切な家族を守るためなら―― 99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。 これは、 最強だけど戦いたくないエルフと、 転生1回目の少女、 そして増え続ける“家族”が紡ぐ、 癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。 ◽️第二部はこちらから https://www.alphapolis.co.jp/novel/664600893/865028992

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...