異世界転生 内気な青年に与えられた能力は死に戻り

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四章 

37話 抵抗

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「うわ!!危ないよ!ごめんサッカイ!ちょっと逃げるね!」

 ラルトが勢いよく部屋を飛び出した

「ラルト!!!」

 堺も急いで追いかける

「ちょっと!あんたたち!」


 なんとかラルトに追いついた堺

「はぁっ、はぁっ、早すぎるよ、ラルト」

「ごめんごめん」

 えへへと笑うラルト

 その時、森の奥地で悲鳴が上がる

「キャァ!!」

 ラルトの顔つきが変わった

「ごめんサッカイ!先帰ってて!」

「ら、ラルトダメだ!いかないで!!」

 そんな言葉も虚しく、一瞬にしてその場を駆け抜けた

「っくそ!!」

 堺もその後を追いかける


 しばらく走ると森を抜けた

 数メートル先に魔人が不気味な笑みを浮かべており、黒のドレスには血がついていた

 堺は構えをとった

 震える拳を突き出し、彼女から目を離さない

「すごい、すごいねぇ!そんなに恐怖しながら逃げないなんて、むしろ戦おうとするなんて、君のこと気に入ったかも」
「でも~…非力すぎる、あまりにも、だから殺すね」

 残念そうな顔を浮かべて、ゆっくりと近づいてくる

 (くそ!もうどうでもいい!どうにでもなれ!!)

 堺は覚悟を決めた、呼吸を整え、状況を分析する

 (攻撃は見えない、振り上げて、振り下ろす、シンプルだ、上げた瞬間に一気に後ろに下がる、もうそれしかねぇ!)

 彼女は棍棒をヒョイっと上げる

 そして、

「今だ!!」

 ギィィン!!!

 目の前にラルトが現れ、彼女の攻撃を防いだ
 そのまま力任せに棍棒を振り払う

「ら、ラルト!!」

「サッカイ!逃げるんだ!今すぐに!!」
「お、俺もやるよ!」
「なにを言っているんだ!?死にたいのか!頼むから逃げてくれ!!」
「なら、ラルトも逃げてよ!一人では逃げないから!」

「ちょっと、ちょっと~二人で盛り上がらないでよ」

 (く、くる!!)

 ドォン!!

 堺は咄嗟に真横にジャンプ、ギリギリで攻撃を交わした

 横たわっている地面が揺れている

 堺はだんだんと感覚が麻痺していった

「ははっ!かわしたかわしたぞ!!ははっ!」

 (なんだ!なんだなんだ!急に楽しくなってきたぞ)

「サッカイ!気をしっかり!しっかりして!!」

 肩を揺らされる堺はアハ、アハと笑っていた

「壊れちゃったね、むりもないか~」

 魔人はテクテクとこちらに近づいてくる

「お前は、お前らは平気で人の命を奪う、何故だ!何故なんだ!!」

「なぜって~?それはね…」
 彼女は下を向いた

「と、特に理由なんてないかな~、楽しいから、ただそれだけだよ~」

「そんな理由、そんな理由で街を壊して、、家族を、みんなを殺したのかぁ!!!」

「う~ん?街?家族??あ~!君はあの時の!確かに見込んだ通り、いい剣士になったね~、でも、今の実力、足元にも及ばないなぁ」

 はぁ~とため息をつく魔人に、鬼の形相で剣を振り下げるラルト

「お前は殺さなくちゃいけない!!僕が!この手で!!」

「きゃはっ!すごい殺意、感動しちゃうね」

「いいよ~、ちょっと本気出してあげる」

 そう言って彼女はブンブンと棍棒を回転させる

 重量に富んだ棍棒は残像を残すほどに回転し、竜巻を生んだ

「はぁぁ!!!!」

 ラルトは構える、そして、、

 飛び出した、閃光のように魔人に向かう

 剣を構え、魔人の首に刃が届く!、、ことはなかった
 直前で振り下げられた棍棒は、ラルトを容赦なく押しつぶす
 大地が揺れ、砂埃がはれると、四肢が飛び散り、体がぐちゃぐちゃになったラルトが現れた

「ははっ、ははっ、どうしろってんだ、俺がどうにかできるわけねーんだ、ははっ、」
「情けないねぇ、どうせ死ぬなら、やってやる、ははっ」

 一周回って冷静な堺は、ある出来事を思い出す
 それは、魔法とはイメージであること

「ははっ、そういえば、そんなこと教えてもらったな、」

 堺はイメージをする

 手先に魔力を集めて、解放

 ボォォオ

「うお!!」

 手から炎が出た、燃える炎はあったかい

「なにびっくりしてんの~、びっくり……!?まさか、まさかね~」

「きみ~、もしかしてもしかしてだけど、転生者だったりしない~?」

 ギクっと肩を震わせる堺

「あなたなのね!探してたんだよ~!見つかってよかった~、でも、、うん、やっぱいいや~」

「その程度の魔力だと、その程度…もういい、じゃあね」

 途端、目の前が真っ暗になった

 

「うわ!!危ないよ!ごめんサッカイ!ちょっと逃げるね!」

 そう言って飛び出すラルト

 堺は「ふぅ」と震えるように息を吐いて、ラルトを追いかける

「ちょっと!!」


 (雷をイメージして、魔力を足に集中させて、)

「解放!」

 ビリビリっと下半身に電気が走ったかと思うと、体が異様に軽くなる

 さらに魔力を溜めて踏み込むと、

 ビィン!

 一気に加速した、すぐさまラルトに追いつき、肩に手を置く

「まっ、まってよラルト」
「サッカイ!一緒に逃げてくれたんだね!ありがとう!」
「あ、えっと~、多分、もう大丈夫、だから、引き返そう、」
「そうだねわかった!」

 引き返そうとした時、ラルトが止まる

「今、悲鳴が聞こえたような、、」
「え、そう?お、俺は聞こえなかったよ!」
「ちょっと見てくる!」
「ラルト!!」

 (クソ!耳よすぎだろ!全く聞こえんかったわ!)

 堺は足に魔力を込めて走り出す

 ラルトは森に入り、まっすぐ進むかと思いきや、急に方向転換した

 ラルトについていくと、そこには…

「ひどい、、」

 頭がない女性の死体が、木にへばりついていた

「ゔ、、ら、ラルト、ひ、引き返そう」

「ダメだよ、こんなことした犯人が、まだ近くにいるはず、探さないと!」
「いっちゃダメだって!!」

 そんな言葉を無視してラルトは走り出す、それになんとかくらいつく堺であった

 あっという間に森を抜けると、

 魔人がいた

「騎士さん?違う?まあいいや、殺しとこ~」

「サッカイ!逃げて!!」
「ラルト!俺は大丈夫だから、一緒に戦おう!!」
「でも、、」
「大丈夫」

 堺がにっと笑う
 ラルトも戸惑いながら笑顔を返した

「やるか!」
「うん!」
 二人で構えた

 (ようやく魔力を掴んだ、イメージして、溜めて解放!だな、)

「ならこれはどうだ!落雷!!」

 相手の頭上に雷が落ちるイメージをした
 体がどっと疲れた感覚がすると、

 バチィン!!!

「ピリピリする~」
 魔人はくすぐられた時のように笑った

「ノーダメージか、、てか、すげー、上から落ちたぞ」

 (感心している余裕はないな、まずは様子見!相手の攻撃を交わすことに集中!!)

 堺は魔力を足に溜めた

「…きた!!」

 後ろにバックステップ、間一髪で攻撃を交わす

 ラルトはその隙を狙って剣を振るった、しかし、彼女の方が棍棒を振り上げる速度が速く、容易に弾かれた

「お前は、お前はあの時の!!!」

「ん~?どこかであったっけ~?……あ~!あの街の!大きくなったね~」

「ラルト!知り合いなのか!?」
「あいつは僕の街を、家族を奪ったんだ!!許さない!!許さないぞぉ!!!」
「おい!ラルト行くな!!」

 頭に血が上ったラルトは、堺の言葉も届かず、魔人に向かっていく

 ギィィン!!

 剣がギギギギと火花を発している

「そんな怒んないでよ~、せっかく生かしてあげたのに~、まあ、今日殺しちゃうけど」

 ははっと笑い、ラルトの攻撃をいなしていく

 ギィン!ギィィン!!ドォン!ドドドン!!

 ラルトが押しているように見えたが、だんだんと魔人の攻撃が早くなる

 ラルトは息を切らして、防御するだけで必死だ

 (やばい!やばい!!このままだと、ラルトが!なにかないか?とっておきの魔法!!)

「そうだ!できるかわからんがやってやる!!」

「時間よ!止まれ!!!」

 途端、目の前が真っ暗になった


 
「うわ!!危ないよ!ごめんサッカイ!ちょっと逃げるね!」

 走っていくラルトを全速力で追いかける堺

 あっという間に追いつき、

「はぁっ、大丈夫だから、ここまでくれば、そんなに逃げなくても、、」
「たしかに!追ってきてはないみたいだね!あ!武器屋はこの先にあると思う!」
「ごほん!!武器屋ね!見つけた!さっき聞いたんだ場所!だから、大丈夫、だよ!!!うん!ほんとに!大丈夫だから!!」
「そ、そう?わかった!なら、どうしよっか?」
「今日は!帰ろう!絶対帰ろう!!いいね!いいね!!??」
「う、うん、そこまでいうならわかった!」

 安堵した堺の目は熱くなり、
「よかったぁ~、よかったぁあ!」
 と泣きながらラルトに抱きついた

「え、えぇ!?どうしたのサッカイ!!??」
「いいんだ、いいから、お願い、、」

 ラルトはポンポンと堺の肩を優しく叩く

 落ち着きを取り戻した堺はヨソヨソしくラルトから離れる

「なにがあったの?大丈夫??」
「え、えっと、なんといえばいいのか、、えーっと、、」

 堺が言葉に詰まっていると

「無理に話さなくてもいいよ!僕はサッカイに武器屋を紹介したかったから、それがわかったなら大満足さ!」
「う、うん、ありがとう…」

 
 そして二人は宿を目指して帰った
 
 その間、明日はどうするのかと話し合う
 ラルトはメルディア学園に向かうとのことで、堺は武器屋を見に行くと話し合った

「サッカイもここの宿なんだ!」

 二人は宿に入り、ご飯を食べて、階段を上がった
「またね、サッカイ、お互い頑張ろうね」
 と、微笑むラルト

「うん、またね…」
 運命を変えられた達成感と、ラルトが生きている嬉しさで、またもや涙が溢れそうになる堺であった
 

 (明日は武器屋を見に行くかー!……そういえば、ラルト、魔人に家族を奪われてたんだな、、)

 堺は布団で横になる
 しかし、なかなか寝付くことができなかった
 
 
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