異世界転生 内気な青年に与えられた能力は死に戻り

KOKE

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四章 

38話 想い

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「ぐぅ~、がぁ~、ぐぅ~、がぁ~」

 前日、なかなか寝付けなかった堺は、昼過ぎまで寝ていた

 うーんと体を起こし、テクテクと風呂屋に向かう、身支度を整えて、宿の下にある食事場に向かった

「なにを食べようかな~」

 香ばしい肉料理の匂いが、お腹を鳴らす

 堺は料理を頼み、楽しんだ

「さーて、武器屋をみて!クエスト、だな」

 晴れた空がなんとも心地よい

 武器屋を目指して、賑わっている街を進み続ける

「ふんふふ~ん」

 (そういえばラルト、ちゃんと馬車乗れたのかな??)

 歩く速度が遅くなる、が、
「まぁ、ラルトなら大丈夫でしょ!」と他人事であった

 花屋を通り過ぎ、その先にある武器屋に向かい、辿り着く

 扉にかけられた剣を二度見して、ドアノブをひねる

 カチャ…

 目の前に広がるは、大量の武器、壁一面に並び、ドアの近くにあるタルの中には、錆びた剣が何本も入っている

 古びた建物だが、ホコリは見当たらない

 少し奥には長机が置いてあり、その机の上には道具が何個も転がっていた
 今まさに作業中と言った感じだ
 そして、机の後ろには男性が一人、真剣な様子で一つの剣を手入れしている

「あ、あの~」

「お!いらっしゃい!」
「あ、あ、武器、みたくて、きました」
「あぁ!店は狭いが、多種多様な武器を揃えているから、じっくり見ていってくれ!」
「は、はい…」

 彼は元気に受け答えをし、すぐに作業に戻った

 (すげぇな!!武器まみれだ!これ鞭か!?すごく硬い!意外に重量感あるんだなぁ、、)

 (えっまって!この剣デカすぎだろ!俺の身長くらいある!!錆びてるけど、でもすっげぇ!!!)

 はぁはぁと興奮が止まない堺であった

 (これは本?なんで本?) 

 ひらいてみると、訳のわからない言語がずらりと記載されてあった

 苦い表情を浮かべた堺は、スッ…と本を棚に戻す

 本棚の横には杖が置いてあった
 木製や金属製、サイズもバラバラで、装飾などをみるのが楽しい

 杖を物色していると一つの杖に気を取られた

 それは、杖というより、真っ黒な棒であった、握りやすい太さで、堺の身長ほどある
 触ってみると、模様があることがわかった

「な、なんだこれ」

 思わず口に出してしまうと、

「お、それは、闇属性の杖だね、もしかして、闇魔法を使うのかい!?」
「え、あ、は、はい」
「珍しい人と出会えたもんだ、、そうだ!何か魔法を見せてくれないか!?そしたらその杖、半額にするよ!」
「ほんとですか!!で、でも、、、」
「頼むよ~、僕は武器も好きだけど、それとおんなじくらい魔法にも興味があるんだ!」
「え、えぇ…」

 (どうしよう!この前ブラックホールみたいなので大変なことになったし…)

 堺は勢いに押され、しぶしぶ魔法のイメージを考える

 (ブラックホールはやめよう!安全なやつ、、黒い炎?黒い雷?んー!!そうだ重力!、、重力は闇魔法なのか?まあいいや!彼をうかそう、重力をイメージして、彼を浮かせる!!)

 雷や炎を出した時よりも、体にエネルギーが満ちていく感覚がする

 彼に触っていないのに、彼を大きな手で掴んでいるような感覚を感じ取った

 (うわ、、握りつぶせそうで怖いな…)

「は、はぁ~!や、闇魔法!重力!」

「おぉ!すごい!浮いた!浮いているぞ!!」

 彼は大はしゃぎしている

 (微調節む、むずい、っっ!ダメだ、堪えきれない!)

 フワフワと浮かせることが意外にも大変で、ふっと体の力を緩めると、

 ドガン!!

 彼が天井に叩きつけられた

「ぐはっ!!」
「ご、ごめんなさい!だだだ大丈夫ですか!?」
「す、すごい、こんな感覚なんだ…」

 彼は満足そうに気絶していた

 数十分して、、

「はっ!!どうやら気絶していたようだ」
「申し訳ありません、でした!」

 スッと体を倒して謝る堺

 大丈夫だよと彼は言い、約束通り半額で杖を譲ってくれることに

「杖はそれぞれ得意な属性があって、その杖は純度100%で闇魔法を強化してくれるよ!すごく希少だけど、そもそも闇魔法を使う人がいないからな~」

 ハハっと笑う彼
 希少と言われて嬉しい堺は、えへへと笑いがこぼれる

「お、そうだった、その杖の値段だけど、25ゴールドでどうかな?」

「25ゴールド!!??」

 (おいおい!流石に高すぎんだろーが!!2500日あそこで止まれんぞ!?)

 動揺する堺に、彼はこう続けた

「冗談だよ、値段はほんとだけど、その杖、タダであげるよ」
「え!、、な、なんでですか??」
「ただし!条件がある!」
「じょ、じょうけん、、」
「うん、もし、もし気が向いたらでいいんだ、、魔王を、殺してくれ」
「!!??」
「本当は、この店には父がいたんだ、すっごく優しくて、尊敬してた、でも、魔族との戦争で死んでしまったんだ」
「僕は魔法が使えなくて、剣の腕も全然だったから、戦争に参加することもできない、だから、冒険者を支えるため武器の修理とか勉強してるんだ、なかなかうまくいかないんだけどね…」

 堺は思わず杖をグッと握りしめた
 
「わかりました!私が、私が魔王を殺します、なので、安心してください、」
「ありがとう、そう言ってもらえて、すごく嬉しいよ」

 グスンと鼻すする彼は、涙を隠すように笑った

「そういえば、名前を聞いてなかったね、僕はイアン・カイト、よろしくね」
「え、あ、サッカイです、」
「サッカイ!いい名前だ、これからのサッカイの活躍を楽しみにしているよ」

 堺は「が、頑張ります…」と弱々しくお辞儀をして、そそくさと店を出る

 そのまましばらく森を目指して歩く
 後ろを振り返って誰もいないことを確認すると

「はぁ~、つっかれたぁ~、重いよー!なんか責任おしつけられたみたいでプレッシャーなんだけど!!」

「……でも、あんなにいい人たちを苦しめる魔族は、、確かに許せないな」

 指をポキポキと鳴らし、うっし!と声を上げ、気合を入れる

「それにしても、この杖カッケーな!真っ黒で!!長くて、カッチカチだし、棍棒みたいに近接もできそうだな!」

 ビュンビュンと振り回して遊ぶ堺

 歩き続けると森がすぐそこまで見えてきた
 ごくりと唾を飲み込み、すぅ~っと中に入っていく

 
 ビクビクと周りを見渡し、目標のゴブリンを探す

「ごわいよぉ、、たすげで前田さんんんん」

 弱音を吐きながら着々と森の奥地へと向かう

 (ゴブリンに出会いたくないぃ、魔人はもっとあいたくない!!)

 強くなる、という微かに残った目標で、震える足を動かしていく

 すると、

 ガサガサと周りから音が鳴り始めた
 遠くを見ると、緑色の物体がこちらに向かってきている
 一体ではなく、複数いる

「ご、ゴブリン!!!」

 足が震え、あたまが真っ白になる

 ザザザザッ!バサ!!

 キィェ!とゴブリン達が堺の前に姿を現した

「す、すいません!すいません!!」と、杖をぎゅっと握りながら謝り続ける

 ゴブリン達はニヤァ~と笑い、一斉に飛びかかった
 
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