玖縁のミネラステラ~Crimson dye~

おナス

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第4話「浄曄と二人の挑戦」

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『かわいそうに......悪霊エラトマの残滓がこんなに溜まっている身体で......健気すぎますわ』

『あの傷では契約関係コントラクト浄曄じょうかも意味をなさないのではなくって? ......しかもそのままエネルギーの流出が続けばあの子への負荷にもなりかねない......どうするおつもり?』

──

 珀から言われた事はすべて事実だ。リーナと契約関係コントラクトを結んだのは本当に正しかったのか──?と、ロードライトは自問自答を繰り返していた。
「......どうすれば」

「ロードライト! ……あっ、ロードライトくん……ごめん呼び捨てしちゃった」
「わっ?! あ......リーナ様……?」
 突如背後の扉からひょこっと顔を出したリーナに心臓が止まりそうになる。

「驚いてしまってすみません......えっと、僕の事は呼び捨てで構いませんよ?」
「えっ本当?! あっじゃあ......私の事も『リーナ』って呼んで?」
「そ、それは......旦那様や他の方がいる場所では......ちょっと......」
「んー、二人きりなら『リーナ』って呼んでくれる?」
「それは......はい。喜んで」
 ロードライトはふわりと微笑みながら言葉を返す。

「やった!じゃあロードライト! 浄曄じょうかの方法を教えて? 珀さんがエラトマ......? の残滓が溜まってるって言ってたよね? 私ならその残滓っていうのを消せるんでしょ?」

「──。」

 その話を聞いた瞬間ロードライトが固まる。
「......? ロードライト?」
「あっ......いえ」
 明らかに動揺している彼の様子にリーナは気付いた。
「どうしたの......? 何か事情があるなら私に教えて......?」
「いや、しかし......リーナさ……」
 『様』と続けようとしたロードライトの唇へリーナは人差し指をつん、と当てる。
「今はリーナって呼んで......?」
「......リーナ」

 二人は暫く見つめ合う。そして意を決したようにロードライトが口火を切った。
「っ......リーナ、聞いてください。僕のことを」
「うん」

──

「僕のオリクト・コアには〝欠け〟があるんです」
「欠け……? 傷があるの? もしかして、痛む??」
「いえ、もう痛むようなことはありません。......僕のこの〝欠け〟は過去に別の人格を持った存在『ロザージュ』だったのです」
「ロザージュ......?」
「はい。大切なものを守れず狂乱し、記憶の混濁に飲み込まれた小さな僕ロザージュ

「ある事件で僕とロザージュは1つに戻りました。ですが......一度欠けた僕達は元通りにはなれなかった」
「……どうして?」
「一度『ロザージュ』という別の存在になった欠片は〝僕という1つ〟ではなくなってしまったんです......」

「......えっと、つまり?」
 どういうことなのかわからなくなったリーナが率直に聞くと言い辛そうにロードライトが答える。

「......必要な、エネルギーが倍なんです、もう目覚めない僕ロザージュへもエネルギーが送られているので」
「......え?」
「しかも、『ロザージュ』という欠片は傷口を塞ぐことはなかったので、しかもエネルギーは常に流れ出している。......だから浄曄じょうかに回す為のエネルギーが常に枯渇しているんです......」

「それって、コスパが最悪ってこと……??!?!」

──

契約関係コントラクトを結んだことで、これはリーナにも無関係な話ではなくなってしまったんです......すみません......」
「えっと......この問題は私が何とかすれば解決する......?」
「エネルギー流出問題に関しては、対処方法がないんです......が、エネルギーの吸収の効率を上げる方法に関しては無いことはないんです。......色々と良くないと思うんですけれど」
 と、言いながらロードライトは視線を逸らす。
「方法があるならよってみようよ!ロードライトの助けになれるなら......私頑張るから!」
 「......リーナ、ありがとうございます......」
 ロードライト複雑な心境なのか少し困ったような顔をしていた。

「じゃあ、早速やろうよ!」
「え、あの......い、嫌だったら遠慮なく言ってくださいね......?」
 ロードライトがゴクリと生唾を飲み込む。
「......年頃の女性には酷だと思うので──」

──

 ロードライトはリーナへお腹を出すように指示をすると、背後へと回り自身のオリクト・コアを彼女の臍の下辺りにギュッと押し付けた。

「いっ......ん、そこ、......ッは、ぁ苦し......」
(......珀さんも同じ事、してたよね......?)
「く、ぅん──ッ」
「苦しい、ですよね......ごめんなさい。でも、もうすこしだけ強く押し込んでもいいですか......?」
「はッぁ......ぅんっ......いい、よぉ」
 申し訳なさそうするロードライトをの声を聞いて二つ返事で了承してしまう。
「では、失礼します......」
 ロードライトが押し込む力を強めるとリーナの身体がびくびくと跳ねた。
「──ん......やっ、あ?!......はっ、あ......」

(これ、へんなきもちになっちゃう──)

──

「リーナ?」
「ひゃ......い?あれ?」
「......終わりましたよ?大丈夫......ですか?」
 横になっているリーナの顔を心配そうに覗き込むロードライト。
「私は大丈夫......ロードライトは良くなったの?」

「......ええ、は持ちそうです」
「暫くって......どれくらい?」
「......」
 しばしの沈黙の後ロードライトが口を開く。

「......み、……3日は持たせられる、かと......」

「む、絶対に3日持たないやつ」
「……1日くらい、ですかね......」
 申し訳なさそうに頭を下げるロードライト。

「ロードライトは悪くないよ!でも、1日……か」
(毎日......さっきのを......?)
 先ほどのことがフラッシュバックして途端に顔が熱を帯びてくる。思考を振り払うように頭を横にブンブンと振る。

「......所持者ホルダーってこんなに大変なんだ......一緒に頑張ろうねロードライト!」
「僕の為に......ありがとうございます」
「えへへ......うん!」

──

「ところで......浄曄じょうかは終わったの......?」
「......す、少し......」
「んー、じゃあ延長戦しよ!」
「リーナ……?!わっ……!」

──窓から差し込む月明かりがまだ眠れない二人をやさしく照らしていた。

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