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確かに恋だった、
「たばこっておいし?」
隣に横たわる彼の腕を手繰り寄せながら、密閉された部屋の天井目掛けて舞う煙を目で追った。
「別に、うまかないよ、どっちかってゆうとちゃんとまずい」
ククッて笑いながらも、多めに息を大きく吐いてみせた。「ちゃんと不味いんだ」と、自分も合わせて笑ってみせた。
紙たばこよりはっていうけど、ちゃんと煙もでるし、独特のにおいがするそれ。最初こそ、「くさい」ってよく言葉にだしてたけど。不思議なくらい気にならなくなってしまった。
きっと、それも込みでその人のものってことを彼に覚えさせられたんだと思う。
「不味いなら吸わなきゃいいのに」
「んー、本当だよね。でも口がさびしくなるってゆうか、気づいたら吸いたくなるんだよなあ」
吸う心理に対して共感が湧いてこないが、念の為「ふーん」って返事はしておく。
「んー、ヘビースモーカーでないけど、きっと依存してるんだろうなあ」
と、最後に大きく吸って、煙をだしていた。
たばこ如きにっては思うけど、たばこに依存って言葉には、少し鼻につく。
「…じゃあ、ちゅーしよ」
口がさびしいんだったら、
さびしくならないくらい、私とキスしようよ。
「ん、」
ちゅ、
と、甘い音が1度部屋に響き、そのあとほんのり苦味を感じた。
頭が少し麻痺した感覚になる。
私はこんなに、貴方に依存してるのに、きっと、一時吸うたばこより、私の存在はちっぽけな気がした。
「…誠二さん、」
また始まりを告げるような、そんな甘い時間になる気がして、
もう一度唇を重ねようとする。
「あ、その呼び方」
急に口開き、ストップがかかる。
「癖になっちゃうと大変だから、あんまり呼ばないようにね」
何か言いかける前に、
大きな手が頭にふわっと優しく、撫で、ニコっと笑いかけた。
あ、これ知ってる、
終了の合図だ。
「鈴木さんも、そろそろ帰る時間じゃない?シャワー浴びよ」
と、にこっと笑って、また頭をくしゃくしゃっと撫でる。
そこからは淡々と、ベットから起き上がり、私を背にしながらテーブルに置いてあるスマホを確認していた。
「 」
めんどくさい女。
引き止めて、縋りたい。
泣いてもいい。
けど、これ以上に差を、感じるのが怖くて、言葉にできないような感情が溢れてきそうなのをぐっとのみこんだ。
「…はい、先生、」
とてもズルい笑顔に負けないよう、とびきりの笑顔て返して見せた。
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