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7皿目:用を足す
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「太郎―!早く起きなさーい!ごはん出来たわよ~!!」
「ん……んんん……もうちょっとぉ…………」
社会人3年目の朝は、けっこう早い。
ーー今日は何曜日だったっけ。
ボーッとする頭で考え始めた不知火だったが、思い出せずに眠い目を擦った。
ーートイレに行きたい。
しかし体は石のように重く、まだ寝ていろと不知火に訴えかけている。
まだもう少しならいけるか。
不知火は、寝返りをうってまた動かなくなった。
「……ニャァ~~」
そんな不知火を毎朝母親に代わって起こしに来るのは、不知火の実家で飼っている家猫、ズラだ。
おっとりした性格で、頭のてっぺんに七三のカツラのような模様がある雌猫である。
ズラは母親が開けたドアの隙間を通ってヒョイとベッドに飛び乗り、不知火を起こしにかかった。
「ニャァ~~~ニャァ~~~!」
「ん~~~……」
不知火の目と鼻の先で朗々と鳴き声を上げるが、それぐらいで起きる不知火ではない。
ズラはふんふんと濡れた鼻先で不知火の顔を嗅ぐと、フワフワの毛並みを不知火の顔に押し付けるようにして寝転び、自分の毛皮と不知火の顔とをまとめてザリザリと舐めだした。
「ニャー」
そして2匹目の刺客、ダイフクが現れた。
ドスン、と不知火の足元を重々しく揺らし、ベッドに飛び乗る。
不知火のふくらはぎ、膝、太ももの付け根、鼠径部、臍部、鳩尾とピンポイントで弱い部分を白い肢で踏んづけていく。
「ぐぇッ……そこはダメ……ああ……ダイフク……」
「ニャー」
さすがの不知火も、この攻撃には反応を返さずにはいられない。
膀胱の上を踏みつけられた時には一瞬ヒヤッとしたが、反射的に腹部に力を入れたのでセーフだった。
ダイフクは不知火の首元までやってくると、ズラと一緒になって至近距離で不知火の顔面に鳴き声を浴びせかける。
「ニャー」
「ニャァ~ニャァ~~」
「ニャー」
「ニャァ~~~ニャァ」
「アオン!ワウ!ワウ!ワォフッ」
「……ああ~~~うるせー……」
階段を駆け上がってきた勢いのままベッドに飛び乗り、ハッハハッハと不知火の上で謎のステップを繰りだし始めたのは、ダックスフントのポチ。最後の刺客である。
犬猫の中では一番の古株なのに、家庭内ヒエラルキーは最下位という可哀想なワンコだ。
元気なのは良い事だが、行動がいちいち大きく煩いため、静を好む猫達に煙たがられている。
駄犬を黙らせようと、ダイフクがシャ―ッ!と牙を剥いてポチに飛び掛かった。
「……ううッ!」
不知火が呻いているのも構わず、犬と猫はお互いを追いかけて不知火の体の上を滅茶苦茶に転がりまわり始めた。
……忘れてはいけないが、不知火はいま耐え難い眠気に襲われながら、尿意と闘っていたところである。
「ッあ!そこ……踏まないでぇ!いたッ……あ!ああッ~~~!!」
体の上をドスンドスン走りまわる犬猫のせいで、下腹部といわず脇腹といわず色んな所を圧迫されてしまい、不知火はとうとう堪らなくなって飛び起きた。
「あ~~~もうッ無理!毎朝毎朝、この起こし方は止めてくれーーッ!」
ーーーーーーーー
「……………………あれ?」
やっと開いた瞼の先。
思っていた部屋じゃなかったことに、不知火は一瞬呆けて固まった。
見慣れた木目の天井、見慣れた木目の壁……体の上には猫も犬もいない……と状況を確認したところで、急速に記憶が戻ってくる。
「なんだ……化け物の家か」
いつもと変わらぬ全裸の自分を確認し、台所のほうでうごめく大きな毛皮を確認する。
ここ数日ですっかり見慣れた光景。
化け物は、飛び起きた不知火に気が付いてこちらを見ていたが、何かの作業の途中だったらしく、ググゥとひと声上げると、視線を外して再び作業に戻っていった。
不知火はグッと大きく伸びをして欠伸をすると、固まった首をゴキゴキ鳴らしながら家の中を見渡した。
「なんか物が増えてる?っていうか寝床も木箱になってる……それよりトイレ……」
変な夢を見たせいで、いつにもまして尿意が強い。
そういえば、この世界に来てからトイレに行ったことないんだよな……と、不知火は昨日までの事を思い出した。
正確には分からないが、この世界に迷いこんでから、数日は経っている。
その間、どうやって用を済ませていたのか?
……思い出すのは昨日、出かけた先での失態であった。
「俺……最近トイレでトイレしてない」
初日は化け物に捕まえられ、ビビッたあげくに漏らしてしまった。
怪我をして記憶が曖昧だった頃はまぁ、動けなかったんだから当然垂れ流しだろう。
そして、昨日は出先で知らない化け物に捕まって漏らし、その後にいたっては、牛乳の飲みすぎで大きいほうも漏らしてしまった。
「……あれ?これ大丈夫か俺……人間の尊厳とかプライドとか、もうちょっと守ったほうが良いんじゃないのか」
不知火はあまりの漏らしっぷりに自分の今後が心配になった。
……いやでも、こんなところで尊厳だのプライドだの守った所で、何にもならないっちゃならないんだけど。
あまり深く考えるのが苦手な不知火は、そのまま思考を放棄することにした。
するとそこへ、作業を終えたらしい化け物がやってきた。
――ゴァオオゥルグオォォウ……ゴォググ
「ああうん、おはようございます」
朝の挨拶かと思い不知火が返事を返すと、化け物はヒョイと不知火を抱えあげて寝ていた木箱から床へと下した。
何事かと思っていると、化け物は木箱のすぐそばにあった白い陶器のようなものを不知火の前へと押しやってくる。
……昨日買ってきたものらしく不知火も見覚えはあったが、それと自分とが関係あるものだとは不知火もついぞ思わなかった。
――オォァゴゴアァ、ゴガァゥ
「これは植木鉢?……にしては底が浅いか…………いや、もしかして」
ーーそれは、ちょっとした風呂釜くらいの大きさがあり、底が浅く間口の広い作りの器。
中には、4分目ないし5分目ぐらいの高さまで、黒い砂のようなものが敷き詰められている。
知りたくないが、知らなくてはならない現実がすぐそこまで来ている。
不知火は情けなく眉を下げて化け物を見上げた。
「…………」
「…………」
さっきから、だいぶ尿意が高まっている。
膀胱が圧迫される夢を見てしまったからなおさら、トイレに行きたくてたまらないのである。
不知火の寝床にはいつもごわごわした布が敷かれているが、不知火は、それが簡易のおしっこシートであることには気がついていた。
臥せっている間、不知火は毎日寝床で尿を垂れ流していたのだろう。
さすがにそのままでは不衛生だろうと、化け物が考えただろうことは不知火にもわかる。
……だからって、何も猫トイレに猫砂入れて使えっていうのは暴論なんじゃないか。
「…………」
ーー少し距離を置いてじっと眺めてくる化け物。
ーー陶器のような猫トイレは、砂さえなければ小便器のようにも見える。
都会育ちの不知火は立ちションなんてしたことがないが、土の上に直にするのと、猫砂の上にするのとでは、そんなに大差ないだろう。
「……まあ、百聞は一見にしかずっていうし」
まるっきりの猫扱いを素直に受け入れるのも釈然としないが、だからといって他に選択肢もない。
さすがに化け物にみられながらする趣味もない不知火は、化け物に背を向けると便器の淵にしゃがみこみ、ペニスを砂に向けて放尿を始めた。
――プシャアァァァ……ジョボボボボボ……
一晩我慢していただけあって、尿の量が多い。
吸水力のある砂がしっかり液体を吸ってくれるので、飛び散りも少ないが、リビングに尿の臭いがするというのは非現実的で心もとない感じがする。
できれば水場か家のトイレにでも併設してくれればもっと快適だろうと不知火は思った。
「……ふう。スッキリした」
わりと快適な猫トイレ体験だった。
使用後の猫砂を見ると、砂は元の色より更に黒い色になって尿の跡をくっきりと残している。
これをそのまま放置するのもどうなのかと思い、後ろの化け物を振り返った。
――グゴオオル
まかせとけ、と言ったんだろう。
化け物はいつの間にかスコップとバケツを持って待機していて、不知火を間に挟んだまま、排尿のあった箇所の砂をすくってバケツに放り込んでいった。
現代の猫砂とは違い、砂はしっかりとは固まっておらずボロボロと崩れている。
化け物は大まかな砂はすくいとったが、細かい砂までは取る気がないようで、ある程度で切り上げてバケツを持って行ってしまった。
「化け物……けっこうテキトーだな。うんこの時とか残ってたら嫌なんだが」
これは改良の余地ありだなとひとりごち、頭を掻く。
尿の臭いがまだ残る室内で、すぐ隣の寝床にもぐりこむ気にもならなかった不知火は、猫トイレから距離をとって辺りを見回した。
昨日、小さい化け物と白髪の化け物がいる家に連れていかれた時、不知火は化け物が自分を里子に出そうとしているのではないかと考えた。
食用家畜、ではないだろうが、集落とはいえあんなに化け物の密集して住んでいる場所に居なければならないのでは、愛玩動物だとしても心臓が休まらない。
なので、化け物が再び現れた時には、とてもとても安堵した。
同時に不知火は、この化け物の家から追い出されないよう、しっかりと愛玩動物としての地位を確立しておかなければならないと考えた。
ーー可愛く、無邪気で、自由奔放。放っておけない癒しの存在。
成人男性な自分がそんなものになるのかと思うと複雑な気持ちではあるが、森に還されたり、下手に疎まれて集落の子どもの玩具にでもされるよりはマシである。
この環境に早く慣れ、自分の安住の地を手に入れる。
そのためには、飼い主である化け物を上手くコントロールし、衣類に寝床に食事、健康面に精神衛生面にと、あらゆる面で自分の過ごしやすい環境をしっかりと整えさせなければならない。
不知火は今後の計画に頭を巡らせながら、さっそく家の探索へとくりだしたのだった。
「ん……んんん……もうちょっとぉ…………」
社会人3年目の朝は、けっこう早い。
ーー今日は何曜日だったっけ。
ボーッとする頭で考え始めた不知火だったが、思い出せずに眠い目を擦った。
ーートイレに行きたい。
しかし体は石のように重く、まだ寝ていろと不知火に訴えかけている。
まだもう少しならいけるか。
不知火は、寝返りをうってまた動かなくなった。
「……ニャァ~~」
そんな不知火を毎朝母親に代わって起こしに来るのは、不知火の実家で飼っている家猫、ズラだ。
おっとりした性格で、頭のてっぺんに七三のカツラのような模様がある雌猫である。
ズラは母親が開けたドアの隙間を通ってヒョイとベッドに飛び乗り、不知火を起こしにかかった。
「ニャァ~~~ニャァ~~~!」
「ん~~~……」
不知火の目と鼻の先で朗々と鳴き声を上げるが、それぐらいで起きる不知火ではない。
ズラはふんふんと濡れた鼻先で不知火の顔を嗅ぐと、フワフワの毛並みを不知火の顔に押し付けるようにして寝転び、自分の毛皮と不知火の顔とをまとめてザリザリと舐めだした。
「ニャー」
そして2匹目の刺客、ダイフクが現れた。
ドスン、と不知火の足元を重々しく揺らし、ベッドに飛び乗る。
不知火のふくらはぎ、膝、太ももの付け根、鼠径部、臍部、鳩尾とピンポイントで弱い部分を白い肢で踏んづけていく。
「ぐぇッ……そこはダメ……ああ……ダイフク……」
「ニャー」
さすがの不知火も、この攻撃には反応を返さずにはいられない。
膀胱の上を踏みつけられた時には一瞬ヒヤッとしたが、反射的に腹部に力を入れたのでセーフだった。
ダイフクは不知火の首元までやってくると、ズラと一緒になって至近距離で不知火の顔面に鳴き声を浴びせかける。
「ニャー」
「ニャァ~ニャァ~~」
「ニャー」
「ニャァ~~~ニャァ」
「アオン!ワウ!ワウ!ワォフッ」
「……ああ~~~うるせー……」
階段を駆け上がってきた勢いのままベッドに飛び乗り、ハッハハッハと不知火の上で謎のステップを繰りだし始めたのは、ダックスフントのポチ。最後の刺客である。
犬猫の中では一番の古株なのに、家庭内ヒエラルキーは最下位という可哀想なワンコだ。
元気なのは良い事だが、行動がいちいち大きく煩いため、静を好む猫達に煙たがられている。
駄犬を黙らせようと、ダイフクがシャ―ッ!と牙を剥いてポチに飛び掛かった。
「……ううッ!」
不知火が呻いているのも構わず、犬と猫はお互いを追いかけて不知火の体の上を滅茶苦茶に転がりまわり始めた。
……忘れてはいけないが、不知火はいま耐え難い眠気に襲われながら、尿意と闘っていたところである。
「ッあ!そこ……踏まないでぇ!いたッ……あ!ああッ~~~!!」
体の上をドスンドスン走りまわる犬猫のせいで、下腹部といわず脇腹といわず色んな所を圧迫されてしまい、不知火はとうとう堪らなくなって飛び起きた。
「あ~~~もうッ無理!毎朝毎朝、この起こし方は止めてくれーーッ!」
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「……………………あれ?」
やっと開いた瞼の先。
思っていた部屋じゃなかったことに、不知火は一瞬呆けて固まった。
見慣れた木目の天井、見慣れた木目の壁……体の上には猫も犬もいない……と状況を確認したところで、急速に記憶が戻ってくる。
「なんだ……化け物の家か」
いつもと変わらぬ全裸の自分を確認し、台所のほうでうごめく大きな毛皮を確認する。
ここ数日ですっかり見慣れた光景。
化け物は、飛び起きた不知火に気が付いてこちらを見ていたが、何かの作業の途中だったらしく、ググゥとひと声上げると、視線を外して再び作業に戻っていった。
不知火はグッと大きく伸びをして欠伸をすると、固まった首をゴキゴキ鳴らしながら家の中を見渡した。
「なんか物が増えてる?っていうか寝床も木箱になってる……それよりトイレ……」
変な夢を見たせいで、いつにもまして尿意が強い。
そういえば、この世界に来てからトイレに行ったことないんだよな……と、不知火は昨日までの事を思い出した。
正確には分からないが、この世界に迷いこんでから、数日は経っている。
その間、どうやって用を済ませていたのか?
……思い出すのは昨日、出かけた先での失態であった。
「俺……最近トイレでトイレしてない」
初日は化け物に捕まえられ、ビビッたあげくに漏らしてしまった。
怪我をして記憶が曖昧だった頃はまぁ、動けなかったんだから当然垂れ流しだろう。
そして、昨日は出先で知らない化け物に捕まって漏らし、その後にいたっては、牛乳の飲みすぎで大きいほうも漏らしてしまった。
「……あれ?これ大丈夫か俺……人間の尊厳とかプライドとか、もうちょっと守ったほうが良いんじゃないのか」
不知火はあまりの漏らしっぷりに自分の今後が心配になった。
……いやでも、こんなところで尊厳だのプライドだの守った所で、何にもならないっちゃならないんだけど。
あまり深く考えるのが苦手な不知火は、そのまま思考を放棄することにした。
するとそこへ、作業を終えたらしい化け物がやってきた。
――ゴァオオゥルグオォォウ……ゴォググ
「ああうん、おはようございます」
朝の挨拶かと思い不知火が返事を返すと、化け物はヒョイと不知火を抱えあげて寝ていた木箱から床へと下した。
何事かと思っていると、化け物は木箱のすぐそばにあった白い陶器のようなものを不知火の前へと押しやってくる。
……昨日買ってきたものらしく不知火も見覚えはあったが、それと自分とが関係あるものだとは不知火もついぞ思わなかった。
――オォァゴゴアァ、ゴガァゥ
「これは植木鉢?……にしては底が浅いか…………いや、もしかして」
ーーそれは、ちょっとした風呂釜くらいの大きさがあり、底が浅く間口の広い作りの器。
中には、4分目ないし5分目ぐらいの高さまで、黒い砂のようなものが敷き詰められている。
知りたくないが、知らなくてはならない現実がすぐそこまで来ている。
不知火は情けなく眉を下げて化け物を見上げた。
「…………」
「…………」
さっきから、だいぶ尿意が高まっている。
膀胱が圧迫される夢を見てしまったからなおさら、トイレに行きたくてたまらないのである。
不知火の寝床にはいつもごわごわした布が敷かれているが、不知火は、それが簡易のおしっこシートであることには気がついていた。
臥せっている間、不知火は毎日寝床で尿を垂れ流していたのだろう。
さすがにそのままでは不衛生だろうと、化け物が考えただろうことは不知火にもわかる。
……だからって、何も猫トイレに猫砂入れて使えっていうのは暴論なんじゃないか。
「…………」
ーー少し距離を置いてじっと眺めてくる化け物。
ーー陶器のような猫トイレは、砂さえなければ小便器のようにも見える。
都会育ちの不知火は立ちションなんてしたことがないが、土の上に直にするのと、猫砂の上にするのとでは、そんなに大差ないだろう。
「……まあ、百聞は一見にしかずっていうし」
まるっきりの猫扱いを素直に受け入れるのも釈然としないが、だからといって他に選択肢もない。
さすがに化け物にみられながらする趣味もない不知火は、化け物に背を向けると便器の淵にしゃがみこみ、ペニスを砂に向けて放尿を始めた。
――プシャアァァァ……ジョボボボボボ……
一晩我慢していただけあって、尿の量が多い。
吸水力のある砂がしっかり液体を吸ってくれるので、飛び散りも少ないが、リビングに尿の臭いがするというのは非現実的で心もとない感じがする。
できれば水場か家のトイレにでも併設してくれればもっと快適だろうと不知火は思った。
「……ふう。スッキリした」
わりと快適な猫トイレ体験だった。
使用後の猫砂を見ると、砂は元の色より更に黒い色になって尿の跡をくっきりと残している。
これをそのまま放置するのもどうなのかと思い、後ろの化け物を振り返った。
――グゴオオル
まかせとけ、と言ったんだろう。
化け物はいつの間にかスコップとバケツを持って待機していて、不知火を間に挟んだまま、排尿のあった箇所の砂をすくってバケツに放り込んでいった。
現代の猫砂とは違い、砂はしっかりとは固まっておらずボロボロと崩れている。
化け物は大まかな砂はすくいとったが、細かい砂までは取る気がないようで、ある程度で切り上げてバケツを持って行ってしまった。
「化け物……けっこうテキトーだな。うんこの時とか残ってたら嫌なんだが」
これは改良の余地ありだなとひとりごち、頭を掻く。
尿の臭いがまだ残る室内で、すぐ隣の寝床にもぐりこむ気にもならなかった不知火は、猫トイレから距離をとって辺りを見回した。
昨日、小さい化け物と白髪の化け物がいる家に連れていかれた時、不知火は化け物が自分を里子に出そうとしているのではないかと考えた。
食用家畜、ではないだろうが、集落とはいえあんなに化け物の密集して住んでいる場所に居なければならないのでは、愛玩動物だとしても心臓が休まらない。
なので、化け物が再び現れた時には、とてもとても安堵した。
同時に不知火は、この化け物の家から追い出されないよう、しっかりと愛玩動物としての地位を確立しておかなければならないと考えた。
ーー可愛く、無邪気で、自由奔放。放っておけない癒しの存在。
成人男性な自分がそんなものになるのかと思うと複雑な気持ちではあるが、森に還されたり、下手に疎まれて集落の子どもの玩具にでもされるよりはマシである。
この環境に早く慣れ、自分の安住の地を手に入れる。
そのためには、飼い主である化け物を上手くコントロールし、衣類に寝床に食事、健康面に精神衛生面にと、あらゆる面で自分の過ごしやすい環境をしっかりと整えさせなければならない。
不知火は今後の計画に頭を巡らせながら、さっそく家の探索へとくりだしたのだった。
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