うるさい彼女と静かな僕

Kaito

文字の大きさ
6 / 26

#6

しおりを挟む
#6

「おはよう」

その言葉と共に朝は始まった、目の前には結花が僕のことを見つめていた

「寝顔見ちゃった!」

何でこんな事になったのか正直あまり覚えていない

「和希って意外と可愛い顔してるよね」

そう言ってはにかむ結花をどんな顔して見れば良いのかわからなかった。

(学校...!?)

「今何時だ?!」

"10時21分"

まだ少し霞んだ目で時計を見た、何度目を擦ってみても時計の針は"10時21分"のままだった。

「やばい!遅刻だ!!結花も急げ!」

「良いじゃん一日くらい行かなくたってなんとかなるよ」

「そんなことよりさ、今日はどこ行く?」
「この前は海に行ったから今日は山かな?」

「流石に学校サボって遊びに行くのはまずいだろ..」

「体調悪いとか言っとけば大丈夫だよ」

「べつにいっか」
「じゃあ、山行くか!」

上手いこと結花にのせられて山に行く事になった。

「じゃあ準備しよっか」

それと同時に二人は身支度を始める。


ガチャ


身支度を終え、玄関のドアを閉めた

二人は並んで歩いて駅に向かう。

「えーっと、まだ20分くらい待つね」

駅に着いたところでスマホを眺めながら結花が言う

「取り敢えずホームのベンチに座って待つか」

「そうだね」

ホームのベンチに座ってしばしの休憩をしていると隣から結花の声が喋りかけてきた

「ねぇ和希、喉乾いた」

「あそこの自販機で買えば」

「嫌だ、買って」

「何で僕が..?」

「良いじゃんそれくらい和希バイトしてるでしょ」

「わかったよ..」

少し呆れつつも買ってあげることにした。

「ありがとう!ぷはぁーおいしい!」

満面の笑みで飲み物を飲む結花を見てなんだか自分も笑みが溢れてきた。

「あっ!電車来た!行こ!」

電車に揺られること約2時間

「ついたー!」

改札を出た所で大きく腕を上げて伸びをした

「途中までリフトで行けるみたいだけどどうする?」

「リフト!!」

元気良く答える結花に

「わかった、じゃあそうしようか」


リフト乗り場について、料金を支払い終えた二人はリフトが来るのを待っていた。

「あっ!来たよ!」

指をさしてまるで子供みたいにはしゃぐ結花を横目に少しはにかんだ

リフトの進行方向に立ってタイミング良く膝を曲げてリフトに座る

「思ったより揺れるね」

「そうだね、落ちるなよ」

「落ちるわけないでしょ!」

そんな他愛もない会話を楽しんでいるとあっという間に降りる所まで来てしまった。

「楽しかったね」

「まだまだこれからだよ」

そう言って僕はこれから登る坂道の方を見る

「うわっ..きつそう....」

結花は登る前から弱音を吐いた

「思ってたより急坂だな」

結花に同情するように言う。

「じゃあ登ろっか」

「そーだね」

二人は足並みを揃えて山を登り始めた。

「私さこんなんなんだよ」

結花と突然の告白に思わず僕は足を止めた

「僕はそんな結花が好き」

自然と口から溢れた言葉に自分でも驚いた

「そっか、ありがとう」

結花はそう言ってはにかんだ。


途中、高尾山名物の天狗焼きを食べることにした

「おいしい~!」

「おいしい!」

二人並んでベンチに座って天狗焼きを食べていた。

食べ終えるとすぐ近くにあったゴミ箱に包み紙を捨てて再び山を登り始めた

1時間ほど歩いた頃、山頂に到着した

「綺麗!」

結花は目を輝かせて山頂からの景色を見つめている

「あそこに望遠鏡があるよ」

「みたい!」

結花は望遠鏡の方へ小走りで向かった、嬉しそうにお財布から100円玉を取り出して望遠鏡に入れて覗く

さっきまで大きく広く見えていた景色がより鮮明に見えた

「和希も見なよ!綺麗だよ!」

結花の言葉につられて僕も望遠鏡を覗いた

結花の言う通り見えた景色はさっきまで見ていたものよりも遥かに綺麗だった

パチン!

突然の音と共に視界が真っ黒になった、時間切れだ。

「時間切れちゃった、でも綺麗だったね」

「でしょ!」

共感をもらえて嬉しそうな結花の顔を見て僕は思わず笑ってしまった

「もー!何で笑うの!」

「ごめんごめん、何か楽しそうにしてるのが嬉して」

僕はまだ抜けない笑いを堪えながら言った。

「そろそろ降りよっか」

「そーだね」

二人は下山し始めた

「見て見て!神社があるよ」

結花の後に続いてお賽銭を入れて手を合わせてお願い事をした。

「結花はどんなお願いしたの?」

「特別な人と特別な関係になれますように」 

意味深に発せられた言葉に僕の動きは制止した。

「特別な人って?」

自分でも何でそんなことを訊いたのか良く分からなかった

「私のことを分かってくれて、私と二人だけの秘密をたくさん持ってる人」

「それって......」

「それと、その特別な人は今の今まで自分が特別な人だって自覚がなかった人」

「あれ~!和希顔赤いよ~」

いつも通りの結花に戻った、そんな気がした。

「じゃあ手繋ご」

僕はそう言って右手を差し出した

「ありがとう」

結花は左手を差し出して僕の右手を華奢な手で力強く僕の手を握った。

「ふふっ、これじゃ私たちまるで付き合ってるみたいだね」

結花は笑った

「じゃあ本当になってみるか?」

僕の言葉に結花は少し動揺していた、でも僕は揺らぐことなく真っ直ぐと結花のことを見つめていた。

数秒の沈黙の後、結花は答えた

「二人だけの秘密、また増えたね」

その返事を聴いた僕は思わず笑ってしまった。嬉しかったんだ

「ちょっと!なんで笑うのよー!良い返事の仕方だと思ったのに!」

少し頬を膨らませて言う結花を僕はとても愛おしく思った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

処理中です...