うるさい彼女と静かな僕

Kaito

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#20

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#20

「もう後戻りなんてできないから」

和希の胸に顔を疼くめたまま呟く

「結花は何も悪くない」

結花は何も言わない

「どうしたら信じてくれる?」

優しい声は確実に結花の耳に届いている

「...わからない」
「もう全部わからないよ」
「私、いろんな人を傷つけた。和希も雪奈もみんな...だからもう生きる資格なんかないって」

「そんなことないよ」

「嘘つけ!」

「本当は思ってるんでしょ?結花なんて嫌い、死ねば良いって」

「思ってない」

和希の食い気味な返答に和希のワイシャツを握るように掴んだ

嗚咽で上手く喋れない結花に優しく言う

「大丈夫だ」

「何がだよ!」
「ずっと過去に囚われて、死のうとして。偶然和希に出逢ったから生きてるだけ、本当だったらあの時に私もう死んでいたはずなの!」

「どういうこと...?」

頬を押さえて蹲っていた雪奈が言う

「死んでいたってどういうこと!」

「そのままの意味だよ!」

「どうして..言ってくれなかったの?幼馴染でしょ、親友でしょ」

「うるさい!うるさい!うるさい!」

「ねえ結花、話を聞いて!」

「嫌だ!」

和希から手を離して両耳を塞いだ。

号哭する結花をどんな目で見れば良いのか分からない

泣きじゃくる結花、涙が地面に落ちて濡れている。

結花にとってどうしようもない気持ちの矛先をどこに向けてやれば良いのか分からなかった

「お願いだから話を聞いて」

雪奈の声が届いているのかさえも分からない。

「もう..最後かもしれないのに.....」

涙ぐんだ雪奈の言葉に結花は少し反応した

それを見逃さずに雪奈は話をはじめる

「幼稚園のとき初めて結花が独りで泣いているのを見た時、私安心したんだ。だって結花、私の前ではずっと笑ってるんだもん。でも悔しかった、何で私に相談してくれなかったんだろう?って自分を責めた。きっと結花は家でも幼稚園でも頑張って笑ってた。辛くても。それなのに私は何も出来なかった。だから次は絶対私が助けるんだって思ってた、でもまた何も出来なかった。本当に..ごめんね」

言い終わった途端に走り出して結花に抱きつく

「私にはこうすることしかできないから」

雪奈は和希が投げ捨てたカッターを手に持っている

「結花、これを持って」

そう言ってカッターを差し出す

「私を殺して良いよ」

結花の動きが止まったのが分かった

「何言ってるの?」

「そのままの意味だよ、結花が自分を殺したいなら、代わりに私を殺して」

結花は握っているカッターをじっと見つめた

「いいの?」

小さく発せられた言葉に

「いいよ」

ハッキリと返す。

結花はカッターを握り直して大きく振りかぶった。


雪奈の顔ギリギリのところで腕を止めた

「やっぱり.....できないよ」
「だって...好きなんだもん」

「笑って」

空気を切り裂くほどに清く放たれた言葉はその場の空気を一新した。

無理矢理口角を上げようとする結花

「ほら、可愛い」

雪奈は両手で結花の頬に触れる

「やっぱり笑ってる結花が一番可愛いな」

和希の言葉に頬を赤らめる

「あら、照れちゃって」
「まあ男の子に可愛いなんて言われたら無理もないか」

「和希のことやっぱり好き」

赤らんだ頬を隠すこともせずにハッキリとそう言った

「かっ、、か、和希のこと好き、、!」

結花の発言に雪奈は驚きを隠せなかった

「そう、大好き」

気にせず言い続ける

「しかも、、やっぱりってことは.....?」

「付き合ってるんだ。ちょっと前から」

その表情はさっきまでの結花とは打って変わって綻んだ表情で笑っていた

「えっ、、え!」

雪奈は声を出して驚いている

「ついにバレちまったか」

和希も笑っている

「えっ!えー!」

目を丸くすらり雪奈

「なーんだ、ずっといたんだ。そばにいてくれる人」

少しして落ち着いた雪奈は言った

「へへっ」

結花はニコッと笑った

「もー!結花!私を差し置いて彼氏つくるなんて!」

一気に和やかになった空気の中で雪奈は言う。

「じゃあ戻ろっか」

「ちょっとだけ、和希と二人きりにしてくれないかな?」

「良いよ、二人でラブラブしておいで」

「もー!そんなんじゃないから!」

雪奈がいなくなると結花は手を後ろで組んで和希を見上げた

「私さこんなんなんだよ」

僕の返事は決まっている

「僕はそんな結花が好き」

それを聞いた結花は笑った

「なんか前にもこんなことあったよね」

「あったな」

和希も笑って言う

「こんな私だけど"好き"って言ってくれる人がいるなら、良いかなって」
「表面だけの会話に疲れちゃって、何もかもが嫌になった時に和希と出逢って"もう一回"って思って、それでも拭いきれなかった感情がプツンって切れちゃって、大切な人を傷つけて.......」

「表面だけの会話も本音の語り合いも、どっちも楽しくて、どっちが良いとか悪いとか....」

言いかけたところで不意に結花が和希に近づいた

結花は和希を抱きしめた

「へへー、和希顔赤いよ」

いたずらっ子みたいに微笑んでいる結花を見て和希も微笑んだ。



「二人だけの秘密....全部話しちゃった、ごめんね」

空を見つめながら結花は呟いた。

「また作れば良いじゃないか」

「じゃーあ...」

そう言うと結花は両手で和希の頬に触れて、そっと顔を近づけた。


「へへっ、二人だけの秘密だね」

「そうだな」

「もー、少しは恥ずかしがってくれてもいいじゃん!私結構頑張ったんだよ!!」

結花は赤らめた頬を膨らませている

「可愛い....」

小さく呟いたのを結花は聞き逃さなかった

「今なんて言ったの?」

「なんでもないよ」

そっぽを向いた

「可愛いって言ったんでしょ!」

和希の顔を覗き込むように見て嬉しそうに笑った。

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