自由帳

自由帳。

1年生の後期試験も終わり、
春休みへと突入した。
これは稼ぎ時である。
けれど、僕は働きたくなかった。
特に大金が必要となる予定もなかったし
そもそも働くは大嫌いだった。
人と触れ合いたくなかった。

いつも通り家に引きこもって
平日と土日の区別もつかなくなった頃、
僕は机の上にある自由帳に目がいった。
1年生の初めに買った ジャ◯◯カ学習帳の自由帳だ。

何処にでもあるようなありふれた自由帳。


ーー僕にはやりたい事が沢山あった。
6年間ずっと部活で音楽に携わっていた身としては、作曲やバンドに興味があったし、
昔から絵を描くのは割と好きで、初めてできた彼女には絵のプレゼントをしたりもした。
映像作品にも興味があっていつかは3Dモデリングなんかも出来たらいいなと、、、。

あんな事いいな。出来たらいいな。
あんな夢こんな夢いっぱいあるけど。
…僕にはその夢を叶えてくれる不思議なポッケなどなかった。


自由帳にはくだらない落書きだらけ。
それ以外には何もなかった。
小学生でも描けるような落書きが数ページにもわたって展開されている。
その中で1ページだけ、僕の目を惹くものが




なかった。



そこには何もなかった。
そこから何も生まれることはなかった。

こんな風に
平日のような土曜日は終わった。

この時はまだ、
日曜日に起きる出来事なんて知るわけもなかった。