1 / 24
プロローグ
プロローグ
しおりを挟む
プロローグ
この世界には『かの島』と呼ばれる伝説の島がある。
吟遊詩人は詠う。
『かの島』には、あまたの宝ありき。
いわく、不老不死の秘薬ありき。
いわく、どんな望みもかなえる像ありき。
いわく、死者をよみがえらせる書ありき。
いわく、あまたの奇跡ありき。
しかし、『かの島』恐るべき禍が眠る。
故に『かの島』、『禍の島』とも呼ばれたり。
時はこれから始まる物語の5年程前にさかのぼる。
多くの者にとっては夢物語の様な話だが、彼女にとっては違った。彼女の名前はルリィ・スパーク、ブロンドの美しい髪に幼いながらも力強いまなざしを持っている少女だ。
「ルリィ、お前も知っての通り、私はエドワード・スパークの血を引いている」
ルリィの父は静かに話を始めた。
「お前には幼いころから冒険のいろはを教えてきた。時には厳しすぎると自分でも感じていた。だが、それも今日の日の為だったんだ。私とサラは行かなくてはならない。『かの島』の禍いの力は日増しに強くなってきている」
「どうして、パパとママが行かないといけないの?どうして、禍いの力なんてわかるの?私、ずっとパパとママと一緒がいいよ」
ルリィの目からは涙が溢れだしていた。彼女は幼いころから『禍の島』について両親から聞かされていた。
そして、この別れが決して短くないことを、彼女はよく理解できていた。
「ルリィ、全てはこの『時の羅針盤』が教えてくれるだろう。わかるね…禍いを抑えられるのは私たち5大英雄の血を継ぐ者のみ。しかし、どうしてもお前が私たちの後を追うというのなら、きちんと冒険者の資格を取ってからにしてくれ。お前を死なせたくないんだ」
父の決心が揺るがないことは幼いルリィにもわかっていた。
ルリィを抱きしめる母も目に涙をためながら、ささやいた。
「ルリィ、あなたにはまだまだ私たちが必要なことはわかっているわ。でも、もう時間がないの。あなたのことはアトラのお父さんとお母さんにお願いしておいたわ。あなたとアトラは兄妹みたいに育ったんだもの。大丈夫、あなたにこの『時の羅針盤』を託します。時が来ればこの羅針盤があなたを必ず導いてくれるわ。とても大事なものだから、こうしてずっと身に着けておくのよ」
そういうと母は、羅針盤をルリィの首にかけた。
「パパ、ママ、約束は守るからできるだけ早く帰ってきてね。」
こうして、ルリィの両親は旅立った。
両親との別れは辛いものだったがルリィには親友のアトラがいてくれた。
「アトラ、私ただ待ってるだけなんてできないわ。もし、パパとママの帰りが遅かったら、迎えに行こうと思うの」
ルリィのまっすぐな言葉に答えたのは、清潔感のある短く青い髪が特徴的で好奇心の強そうな青い瞳の少年だった。
「その時は俺も一緒にいくからな。
それにしても、お前がおじさんたちの言いつけを守らずに、すぐにうちを飛び出していこうとしたときは驚いたぜ。お前はほんっとにバカなんだから。
おじさん達なら絶対大丈夫、あのエドワード・スパークの子孫なんだぜ!今の俺たちはいつかおじさんたちを助けられるように強くならないとな」
アトラはどんな時もルリィの傍らにいて励ましてくれる。
この時から5年後、ルリィとアトラの物語は時の羅針盤を中心に廻り始めるのだった。
この世界には『かの島』と呼ばれる伝説の島がある。
吟遊詩人は詠う。
『かの島』には、あまたの宝ありき。
いわく、不老不死の秘薬ありき。
いわく、どんな望みもかなえる像ありき。
いわく、死者をよみがえらせる書ありき。
いわく、あまたの奇跡ありき。
しかし、『かの島』恐るべき禍が眠る。
故に『かの島』、『禍の島』とも呼ばれたり。
時はこれから始まる物語の5年程前にさかのぼる。
多くの者にとっては夢物語の様な話だが、彼女にとっては違った。彼女の名前はルリィ・スパーク、ブロンドの美しい髪に幼いながらも力強いまなざしを持っている少女だ。
「ルリィ、お前も知っての通り、私はエドワード・スパークの血を引いている」
ルリィの父は静かに話を始めた。
「お前には幼いころから冒険のいろはを教えてきた。時には厳しすぎると自分でも感じていた。だが、それも今日の日の為だったんだ。私とサラは行かなくてはならない。『かの島』の禍いの力は日増しに強くなってきている」
「どうして、パパとママが行かないといけないの?どうして、禍いの力なんてわかるの?私、ずっとパパとママと一緒がいいよ」
ルリィの目からは涙が溢れだしていた。彼女は幼いころから『禍の島』について両親から聞かされていた。
そして、この別れが決して短くないことを、彼女はよく理解できていた。
「ルリィ、全てはこの『時の羅針盤』が教えてくれるだろう。わかるね…禍いを抑えられるのは私たち5大英雄の血を継ぐ者のみ。しかし、どうしてもお前が私たちの後を追うというのなら、きちんと冒険者の資格を取ってからにしてくれ。お前を死なせたくないんだ」
父の決心が揺るがないことは幼いルリィにもわかっていた。
ルリィを抱きしめる母も目に涙をためながら、ささやいた。
「ルリィ、あなたにはまだまだ私たちが必要なことはわかっているわ。でも、もう時間がないの。あなたのことはアトラのお父さんとお母さんにお願いしておいたわ。あなたとアトラは兄妹みたいに育ったんだもの。大丈夫、あなたにこの『時の羅針盤』を託します。時が来ればこの羅針盤があなたを必ず導いてくれるわ。とても大事なものだから、こうしてずっと身に着けておくのよ」
そういうと母は、羅針盤をルリィの首にかけた。
「パパ、ママ、約束は守るからできるだけ早く帰ってきてね。」
こうして、ルリィの両親は旅立った。
両親との別れは辛いものだったがルリィには親友のアトラがいてくれた。
「アトラ、私ただ待ってるだけなんてできないわ。もし、パパとママの帰りが遅かったら、迎えに行こうと思うの」
ルリィのまっすぐな言葉に答えたのは、清潔感のある短く青い髪が特徴的で好奇心の強そうな青い瞳の少年だった。
「その時は俺も一緒にいくからな。
それにしても、お前がおじさんたちの言いつけを守らずに、すぐにうちを飛び出していこうとしたときは驚いたぜ。お前はほんっとにバカなんだから。
おじさん達なら絶対大丈夫、あのエドワード・スパークの子孫なんだぜ!今の俺たちはいつかおじさんたちを助けられるように強くならないとな」
アトラはどんな時もルリィの傍らにいて励ましてくれる。
この時から5年後、ルリィとアトラの物語は時の羅針盤を中心に廻り始めるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる