禍の島と時の羅針盤

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1章

4話 追うもの追われるもの

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それから3日後、2人に合否の結果が届いた。
「おい、ルリィ、結果が届いてたぞ。もう、見たか?」 
「うん、アトラはどうだった?」 
「不合格だった!ルリィは?」 
「私も不合格だった!」
同時に笑い出す二人。しばらく笑いあった後、お互い顔を見合わせると、ルリィにが笑顔で言った。
「何だかおかしね、あんなに結果を気にしていたのに」
 すると、少し意地悪な顔でアトラが答えた。
「私は早く知りたいのって言ってたのが嘘みたいだな」
「アトラ、またバカにしてる!」
「悪かったって。それよりも準備は出来てるか?」
「うん、閃光弾に火付け石。鉄の短剣にランタン」 
「そう言う事を言ってるんじゃない。何と言うか、その、心の準備?
だって、『かの島』に挑むんだぜ!それに、4英雄の残した遺物なんて聞いたことないぞ。もう当分、家には帰れないだろうし」 
「それなら大丈夫!!むしろ、アトラの方こそ、準備が出来てないと思ってた!」 
「準備は出来ているよ。でもちょっと怖いけどな。だって、行って戻れる保証がない。
でも、だからってお前を1人で行かせるのも癪だしな。まぁ何と言うかその……」
ルリィは勢いよくアトラに抱きついた
「ありがとう。アトラ。その心構え充分に伝わったよ」 
無邪気に喜ぶルリィ。
「ルリィ、痛いって」
「ねぇ、アトラ、私決めたよ。明日、旅に出ようと思うの。もう準備は出来てる事だし!」 
「いきなりだなぁ!まぁ、思いつきで行動するのはお前らしいけどな」
「あと、おじさんたちにも挨拶しないとね」
ルリィはそう言うと、アイザックの部屋に向かった。

話を聞いたアイザックは心配そうな顔で言った。
 「お前たちは旅に出るには若すぎる」
しかしな、とアイザックは続ける。
「あの実技試験で、お前たちはあのラクゥサから生き延びたというではないか。私が思っていたより、お前たちは成長していたということだな。
ルリィ、お前の父リードから私は言われていた。お前が自分の意思で旅立ちを決めたときは決して、止めないでほしいと。
アトラ、お前は男だ。なにがあってもルリィを守るんだぞ」
「わかったよ、父さん。必ず二人でここに戻ってくる」
アイザックは息子に向かって頷くと、革の財布を取り出して言った。
「それから、少ないがこのお金を持っていきなさい。この日のために少しずつ蓄えておいた」
それは、二人が数か月暮らしていくのに十分な額だった
「感謝します、アイザックおじさん」
ルリィの目には感謝と決意の光が宿っていた。

翌日、二人は旅立ちの日を迎えた。
「ルリィ、出発だ。羅針盤の示すままに」
「うん、アトラ!!」 

ルリィ達が村を出ようとした、その時 
「よう!俺もまぜろ!!」 
突然ダルクが現れた。
「なんだ、単なるバカか!」 
 アトラがうんざりした顔で言う。
「バカとはなんだ、バカとは。この俺はダルク様だぞ。
お前ら冒険に出かけようとしているな。だったらDランクを合格したこのダルクが一緒についてってやるよ」
ダルクはあの実技試験でたった一人合格した実力者で、今日の旅立ちを事前に知ることができたのも、その証だった。
「ルリィ行こう。バカがうつる」 
「うん」
ルリィ達のダルクに対する評価は決して高いとは言えなかった。むしろ、トラブルメーカーとしての彼の性質をよく知っているので、無視しようというのが二人の間での暗黙の了解だった。
「おい、無視するなって。つれねーなー、ていうか、お前らどこに向かってるんだ?」
「お前には教えねーよ」
悪態をつくアトラにルリィもダルクを手で追い払うようなジェスチャーをした。
「ルリィ、行こう!」

「待てよ。このダルク様の力がすぐに必要になるぜ」
先を急ぐ二人を追うダルク。そこに立ちふさがる人影が現れた。
「そこまでですよ」
そこにいたのはコステルとその親衛隊だった。
「お前たちを私のテリトリーの外に出すわけにはいきません」
親衛隊の剣が今にもルリィ達に襲いかかるように、向けられていた。 
「なんのまねだ。コステル」
 アトラがムッとした顔で言った。 
「単刀直入に言わしてもらいます。その羅針盤を渡してください。
抵抗するなら容赦はしません」
「どうしてあなたが羅針盤を?」
 立ちはだかるコステロにルリィが尋ねる。
「詳しい事は話せませんが、私にはそれが必要で、機会をうかがっていたんですよ」
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