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3章
6話 アトラとシュヴァルツ
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それからアトラ達は訓練を始めた。
「って言うか、アタナシア。お前ってちょっと馬鹿だよなー。イメージでこの布が動くんだったら、最初は動かない木とかで練習させればよかったじゃん」
「いや、それだと実戦で役に立たない」
「実戦で味方に攻撃する方が役に立たないだろ!」
「僕も結構戦えるんだけど、君相手じゃそうもいかないようだ。というか、アトラは黒牙布のイメージのしかたが変わってるね、攻撃用の道具なのに、まるで防具の様に使う方が向いているみたいだ。ちょっと攻撃してみるから防いでみてごらん」
そう言うと、アタナシアはいきなり短剣をアトラにむかって投げた。
放たれた短剣を、アトラのコート状になった黒牙布の一部が、鞭のように叩き落とした。
「面白い才能だね、アトラ」
「って、だから。訓練で実践用の武器をいきなり投げつけるなって。防げなかったら大怪我だぞ!」
「いや、だから本気で訓練しないと...」
再び攻撃を続けようとするアタナシアを、アトラの黒牙布が縄状に変化して縛りつけた。
「何してるの? その使い方じゃ相手を殺せないよ?」
「いいんだよ、別に俺、殺す力とかいらないし。でも、この黒牙布って便利だな。俺は牙とかいらないし。この道具、名前を変えてもいいか?」
「構わないが、なんて言う名前にするんだい?」
「シュヴァルツとか、かっこよくない?」
「まあ、君が呼びたい名前で呼ぶといいよ、というか、君がそういう使い方を望むのであれば、僕が教えることは無くなってしまったな」
「まあ、そんなに気にするなって。ここ海が近いし魚でも取りに行こうぜ!」
アトラは半ば強引にアタナシアと海に向かった。
「お、魚沢山いるじゃん! ルリィのぶんも取っていこう、って道具が無い!」
「シュヴァルツを使ってみたらいいんじゃないかな? 僕としては本意じゃないけれど」
「その手があった!」
アトラは器用にシュヴァルツを銛の様に操って簡単に魚を取る事が出来た。
アトラが魚取りに夢中になっている時に、後ろからグウェイトが忍び寄っていた。
「アトラ! 後ろ気をつけて!」
アタナシアの声が届く前に、アトラにグウェイトが噛みつこうとした。
「なっ! シュヴァルツ!」
アトラがグウェイトを認識した瞬間、シュヴァルツは沢山の針がはえた様な形状に変化し、グウェイトの口の中から頭部を貫いた。
「やるじゃないか、アトラ。君にはシュヴァルツを使う才能があったみたいだね」
「いやいや、至近距離で仕留めたから返り血が気持ち悪い」
こうして無事アトラはグウェイト程度の魔物ならば倒せる力を手に入れた。
「じゃあ、アタナシア、洞窟に戻って魚を焼いて食べようぜ!」
「残念だけどアトラ、僕は肉は食べない主義なんだ。体質と言ってもいいかもしれない。僕は木の実を集めて食べることにするよ」
「木の実だけって、冬はどうしてるんだよ?」
「保存の効くものがあるんだ。心配いらない」
「そっかー、せっかく美味そうなのに残念だな。ルリィ早く戻ってこないかな」
そして、ルリィが訓練の扉から出てくるまで2人は共に過ごしたのだった。
「って言うか、アタナシア。お前ってちょっと馬鹿だよなー。イメージでこの布が動くんだったら、最初は動かない木とかで練習させればよかったじゃん」
「いや、それだと実戦で役に立たない」
「実戦で味方に攻撃する方が役に立たないだろ!」
「僕も結構戦えるんだけど、君相手じゃそうもいかないようだ。というか、アトラは黒牙布のイメージのしかたが変わってるね、攻撃用の道具なのに、まるで防具の様に使う方が向いているみたいだ。ちょっと攻撃してみるから防いでみてごらん」
そう言うと、アタナシアはいきなり短剣をアトラにむかって投げた。
放たれた短剣を、アトラのコート状になった黒牙布の一部が、鞭のように叩き落とした。
「面白い才能だね、アトラ」
「って、だから。訓練で実践用の武器をいきなり投げつけるなって。防げなかったら大怪我だぞ!」
「いや、だから本気で訓練しないと...」
再び攻撃を続けようとするアタナシアを、アトラの黒牙布が縄状に変化して縛りつけた。
「何してるの? その使い方じゃ相手を殺せないよ?」
「いいんだよ、別に俺、殺す力とかいらないし。でも、この黒牙布って便利だな。俺は牙とかいらないし。この道具、名前を変えてもいいか?」
「構わないが、なんて言う名前にするんだい?」
「シュヴァルツとか、かっこよくない?」
「まあ、君が呼びたい名前で呼ぶといいよ、というか、君がそういう使い方を望むのであれば、僕が教えることは無くなってしまったな」
「まあ、そんなに気にするなって。ここ海が近いし魚でも取りに行こうぜ!」
アトラは半ば強引にアタナシアと海に向かった。
「お、魚沢山いるじゃん! ルリィのぶんも取っていこう、って道具が無い!」
「シュヴァルツを使ってみたらいいんじゃないかな? 僕としては本意じゃないけれど」
「その手があった!」
アトラは器用にシュヴァルツを銛の様に操って簡単に魚を取る事が出来た。
アトラが魚取りに夢中になっている時に、後ろからグウェイトが忍び寄っていた。
「アトラ! 後ろ気をつけて!」
アタナシアの声が届く前に、アトラにグウェイトが噛みつこうとした。
「なっ! シュヴァルツ!」
アトラがグウェイトを認識した瞬間、シュヴァルツは沢山の針がはえた様な形状に変化し、グウェイトの口の中から頭部を貫いた。
「やるじゃないか、アトラ。君にはシュヴァルツを使う才能があったみたいだね」
「いやいや、至近距離で仕留めたから返り血が気持ち悪い」
こうして無事アトラはグウェイト程度の魔物ならば倒せる力を手に入れた。
「じゃあ、アタナシア、洞窟に戻って魚を焼いて食べようぜ!」
「残念だけどアトラ、僕は肉は食べない主義なんだ。体質と言ってもいいかもしれない。僕は木の実を集めて食べることにするよ」
「木の実だけって、冬はどうしてるんだよ?」
「保存の効くものがあるんだ。心配いらない」
「そっかー、せっかく美味そうなのに残念だな。ルリィ早く戻ってこないかな」
そして、ルリィが訓練の扉から出てくるまで2人は共に過ごしたのだった。
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