職場が悪役令嬢化した~後輩が職場を乗っ取ってお局化した話~

コールセンター子

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2 悪役令嬢化前 空気事件

空気が悪くないですか

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シラコちゃんは、あんなに念押ししたにも関わらず、週3しか来なかった。
出社しては上司タチウオさんに、毎日のように「体が弱い」とアピールする。
けれど、私には「夜に仕事をしているからしんどい」と本音を打ち明けてくれていた。
ダブルワーク可の職場なものの、勤め先がキャバクラだったので職場では言えないようだった。

そんな中、
「ここ空気悪くないですか」
とシラコちゃんが言い始めた。
入社してすぐのことである。
私は気にならなかったが、サワラさんまで「言えなかったけど、ここに就職してからずっと喉の調子がおかしい」と言い始めた。
確かにサワラさんは毎日のように龍角散アメを舐めていて、横からみても苦しそうだった。
サワラさんは、子供二人を育てる主婦で細い体で仕事も家事もこなしていた。
サワラさんは体が弱く、子供も調子が悪くなることが多かったので病気や看病で休むことが多かった。

「エアコンの中を掃除したのはいつですか?」
というシラコちゃんの問いに、タチウオさんは首を傾げた。
このビルに引っ越してきてからフィルター掃除はこまめにやるものの、中の掃除は10年ほどしていないと認めた。
引っ越してくる前のビルの持ち主がやっていないとしたら、建物ができてから1度も掃除していない可能性が出てきた。
鈍感な私もさすがに下手すると20年掃除していないと聞くとゾッとする。

どんなお願いも聞いてくれる心優しきタチウオさんも、業者に頼むとビル全体で100万ぐらいかかりそうな案件は言葉を濁して動こうとしなかった。
そもそも、丈夫で病気もほとんどしない体が強いタチウオさんにとって、10年も座っている場所に対して空気が悪いと思いたくないようだった。
そんなことにめげず、シラコちゃんは、毎日のように「空気が悪い」と言い続けた。
最初は、空気が悪いと信じたくなかったタチウオさんも、サワラさんの援護射撃を受け、徐々に空気の悪さを認めるようになった。
そして、ついに、タチウオさんは勇気を出して上に掛け合ってくれた。
その結果、社長にまで話がいき、なぜか空気清浄機が送られてきた。
タチウオさんを含め、全員首を傾げる。
なぜなら、もうすでに1台が稼働していたからだ。
せっかくだからと狭い部屋に2台の空気清浄機が置かれることになった。
私は、シラコちゃんの押しの強さに敬服する一方、ちょっと気持ち悪かった。




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