魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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12章 ローブの男の襲撃

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翌朝、ギルドホールには緊張した空気が漂っていた。

アリアはいつも通り剣を腰に下げ、イアンと共にホール中央のテーブルを囲んでいたが、彼女の視線は何度も剣に向けられていた。

「イアン、この剣が血を受け入れるって……どういう意味だと思う?」

アリアが切り出すと、イアンは一瞬言葉に詰まった。昨夜、彼が書庫で見た記述が頭をよぎる。

「それは……剣が持ち主の生命力や魔力を代償として動く仕組みだろう。君がそれを使うたびに、代償を支払っているのは間違いない。」

「それなら、ただ命を削られるだけじゃないの?」

「そうとは限らない。」

イアンが低い声で答える。

「この剣は魔族の技術で作られたとされている。もしその技術が呪いと同じ原理に基づいているなら、持ち主の血――特に魔族に関連するもの――を力の源にしている可能性がある。」

アリアは目を見開き、剣を握り直した。

「じゃあ……イアンの中の魔族の血とも関係があるってこと?」

「その可能性が高い。」

イアンが静かに答える。

「私がこの剣に触れたとき、明らかに違和感を覚えた。そして、君がこの剣を使うたびに、私の中の魔族の力が微かに反応している。」

アリアは困惑した表情を浮かべた。

「でも、私は魔族の血なんて持ってないよ。だったらどうして……?」

その言葉に、イアンはさらに言葉を選ぶようにして答えた。

「君が魔族の血を持たないにもかかわらず、この剣を使える理由……それこそが、この剣の謎の一端だろう。君の存在そのものが、この剣にとって特別な意味を持っているのかもしれない。」

そのとき、ギルドホールに入ってきたユーゴが話に割り込んだ。

「確かにその通りだ、イアン。この剣とアリアの関係には、特別な要因がある。」

アリアが驚いた顔で振り向く。

「ユーゴ、どういうこと?」

「少し気になることがあったので、古い記録を調べてみた。すると、この剣――選ばれし刃にまつわる伝承がいくつか見つかった。」

ユーゴは古びた巻物を取り出し、二人の前に広げた。

「この剣は、かつて魔族の封印を施すために作られた。その際、魔族の血と人間の血を融合させる技術が使われたと記されている。さらに、その力を発揮するためには特定の『魂の性質』を持つ者が必要だと。」

「魂の性質……?」

アリアが眉をひそめる。

「具体的な定義は不明だが、おそらく君に関わる何かだろう。」

その言葉に、アリアは無意識に剣を見つめた。

そのとき、ギルドの外から緊急を告げる鐘の音が響き渡った。

「何事だ……?」

ユーゴが険しい顔で窓の外を見る。

「街の外壁に魔族が現れた!ローブをまとった男が先頭に立っている!」

駆け込んできた冒険者の報告に、アリアとイアンは即座に立ち上がった。

「また奴か……!」

イアンが杖を握りしめる。

「剣を狙ってきたんだね。絶対に渡さない!」

アリアが力強く剣を引き抜いた。

「だが、奴は強敵だ。一度に攻め込まれると防ぎきれないかもしれない。」
ユーゴが冷静に状況を分析する。

「それでも戦うしかない。」
イアンが決然と言い放つ。

「私たちにはこの剣がある。そして、君がいる。」
アリアが笑顔でイアンを見た。

「行こう、みんなを守るために!」

二人はギルドを飛び出し、街の防壁へと向かって走り出した。
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