魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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26章 貴族の思惑と揺れる王都

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アリア、イアン、ルイスの三人は険しい山道を抜け、ついに地図に示された砦の前に到着した。古びた石壁がそびえ立ち、その周囲には不気味な静寂が漂っている。

「……これが反乱勢力の拠点か。」

アリアが小声で呟く。砦の壁には無数の蔦が絡みつき、長い間放置されていたように見えるが、遠くから魔力の気配が漂ってくる。

「見た目以上に厄介な仕掛けが施されているだろう。」

イアンが杖を握りしめ、壁の周囲を注意深く見渡す。彼の目には、微かに揺れる魔力の罠がはっきりと見えていた。

「さすがに堂々と正面から入るのは得策じゃなさそうだね。」

ルイスが軽く肩をすくめながら言う。その視線はどこか楽しげで、砦を攻略すること自体を楽しんでいるようだった。

「裏口を探してみよう。罠に引っかかるわけにはいかないからね。」

アリアが提案すると、三人は慎重に砦の周囲を探索し始めた。

砦の裏手に回ると、半ば崩れかけた壁の隙間を見つけた。そこから中に入ることができそうだったが、イアンは慎重に杖をかざして調べる。

「……ここにも魔法の痕跡がある。罠ではないが、何かの感知装置が仕掛けられている。」

「感知装置?それって、どうにかできるの?」

アリアが尋ねると、イアンはしばらく考え込んだ後、小さく頷いた。

「僕が魔法で妨害すれば、一時的に無効化できる。けど、その間に中に入らないと効果は切れる。」

「じゃあ、一気に突入するしかないね!」

アリアが剣を握り直し、前のめりな姿勢を見せる。それを見たルイスが微笑を浮かべた。

「君が行くなら僕も続くさ。準備はいいかい?」

イアンは短く頷き、杖を掲げた。

イアンの魔法が発動すると、壁に仕掛けられた魔力が淡く光り、すぐに消失した。それを合図に三人は一気に隙間を抜け、砦の中へと飛び込んだ。

砦の中は広く、迷路のような構造になっていた。石造りの廊下が無数に分かれ、どこからか不気味な低音が響いている。

「誰もいないように見えるけど……気を抜かないで!」

アリアが警戒を促しながら進むと、突然、天井から何かが落ちてきた。それは黒い影のような魔物で、鋭い爪を持ち、異様な速さで襲いかかってくる。

「くっ……!」

アリアが盾を構えて防御すると、イアンが咄嗟に氷の槍を放った。魔物は動きを止めることなく、槍をかわしながら次々と仲間を呼び寄せてくる。

「数が多い……これじゃキリがない!」

アリアが叫ぶと、ルイスが冷静にレイピアを振り、魔力障壁を展開した。

「なら、僕が前を抑えよう。君たちは隙を見て進むんだ。」

「でも……!」

「僕に任せろ。」

ルイスの障壁が次々と魔物の攻撃を弾く中、アリアとイアンはその隙を突いて奥へ進んでいく。

二人が砦の奥に進むと、そこには大きな部屋が広がっていた。中央には奇妙な装置が置かれ、複雑な魔法陣が床一面に描かれている。その周囲にはフードをかぶった数人の人物が立ち並び、こちらに気づくと同時に攻撃を仕掛けてきた。

「これが反乱勢力の中心か!」

アリアが叫びながら剣を構える。イアンは杖を振り上げ、炎と氷を組み合わせた魔法を放つ。

「行くぞ、アリア!」

「うん!」

二人が連携して敵を制圧していく中、突然、装置が激しく光を放ち始めた。その眩しさに目を細めると、装置の上に一人の人物が立っていた。

「よくここまで来たな。貴様らが英雄気取りの冒険者か。」

その人物は漆黒のローブに身を包み、顔の半分を仮面で覆っていた。彼の声には冷たさと威圧感が滲んでいる。

「お前が反乱勢力のリーダーか!」

アリアが問いかけると、男は冷笑を浮かべた。

「そう思うなら、ここで力を示してみろ。この地で貴様らの命を断つことで、我らの力が証明される。」

その言葉を合図に、砦全体が激しく震え始めた。
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