転生って異世界じゃないの？！サスペンスドラマに転生だなんて誰得よ。

第3話 大学教授の不審死

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その夜、神崎譲は小野寺亮一教授の自宅を訪れていた。

都内の閑静な住宅街。
夜の静寂を切り裂くように、神崎はインターホンを押す。

「……どちら様ですか？」

インターホン越しに、少し緊張した声が返ってきた。

「神崎です。警察の者です」

数秒の沈黙の後、扉が静かに開いた。

現れたのは、50代半ばの男性――小野寺教授だ。
薄い眼鏡をかけ、知的な印象を受けるが、どこか疲れ切ったような表情をしている。

「……何の用ですか？」

神崎は、じっと教授を見つめた。

「望月教授の事件について、話を聞きたい」

その言葉に、小野寺教授は明らかに顔を曇らせた。

「……あの件についてなら、すでに警察に話しましたが」

「ですが、まだ聞きたいことがある」

神崎の冷静な声に、小野寺教授は観念したように溜め息をついた。

「……わかりました。どうぞ」

教授の書斎に通された神崎と菜月。

壁一面に並んだ本棚には、犯罪心理学や社会学の専門書がぎっしりと詰まっている。

「それで、何をお聞きになりたいんですか？」

教授が椅子に腰を下ろし、神崎を見た。

神崎は、手帳を取り出しながら静かに口を開いた。

「教授、貴方は望月教授と意見を対立させていたそうですね」

その言葉に、教授の眉がピクリと動いた。

「……確かに、意見の違いはありました」

「具体的には？」

「望月は、**“人間は変わらない”**と主張していました。
一度罪を犯した者は、必ず再犯する、と」

教授は、眼鏡を押し上げながら語る。

「ですが、私はそうは思いません。
人は、環境次第で変わる――そう信じています」

神崎は無言で頷いた。

――望月教授の理論と、小野寺教授の理論は真っ向から対立している。

神崎は、菜月の方に視線を向けた。
彼女は、小野寺教授の言葉に、どこか感心したように頷いている。

「……人は変われる、か」

その呟きを聞いた神崎は、ふと口元を綻ばせた。

「教授、貴方の命が狙われている可能性があります」

突然の言葉に、小野寺教授は目を見開いた。

「え……？」

「貴方の研究が、望月教授の支持者たちにとって不都合だったのかもしれない」

神崎の言葉に、教授は愕然とする。

「そんな……」

菜月は、教授の動揺する姿を見て、心の中でつぶやいた。

――本当に、ドラマと同じ展開だ……。

だが、次の瞬間――

「パンッ！」

外から、銃声が響いた。

「――！」

神崎は、瞬時に動いた。

「伏せろ！」

菜月と教授を床に押さえつけ、窓の外を確認する。

暗闇の中、フードを被った男が走り去っていくのが見えた――。