没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊

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第2章 専属登用

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「専属試験を行います。下位貴族であれば、出自は問いません」

その言葉を布告として出したときの、リヒャルトとヴィルヘルムの表情は忘れられない。
二人とも書類の上から顔を上げ、揃って目を見開いたのだ。

「……前代未聞です」
「本来、専属は推薦と家格で決まるもの。公募など……」

声を揃えて呆然とする二人に、私は思わず肩をすくめる。
けれど、領内全体を巻き込んでの登用こそ公平だと思ったのだ。

数日後。
城の大広間には、ぎっしりと応募者が詰めかけていた。
年齢もばらばら――洗礼式を終えた七歳の少年から、祖父と同じ世代の壮年まで。
試験官たちが慌ただしく動き回り、控室も人で溢れている。

(……やりすぎたかも)

心の中でそっとため息をついた瞬間。
広間に現れた父レオポルトが、にこにこと笑って言い放った。

「楽しそうだねえ。じゃあ、僕の専属も増やそうかな」

さらりと爆弾を投下する父に、場がどよめく。
結局、試験の調整は領主側近が一手に引き取ることになった。

廊下に戻ると、リヒャルトとヴィルヘルムが同時に深く息を吐いた。

「これで、試験そのものの責任は領主にあります」
「……助かりました」

二人の安堵に、私は小さくうつむく。

「……ごめんなさい。考えなしだった」

リヒャルトが柔らかく首を振った。

「いえ、思いは理解しています。ですが、次は事が大きくなる前に教えてくださいね」

横でヴィルヘルムも短くうなずいた。
厳しい叱責ではなく、ただ静かな言葉が返ってくる。

その優しさに救われながらも、私は胸の奥に小さな決意を刻んだ。

(次はもっと、ちゃんと考えて進めないと……)
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