没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊

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第2章 専属登用

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執務室。朝の光が差し込む中、机の上には一つひとつ丁寧に作られた小箱が並べられていた。
その中には、アイリスの紋章――アイリシア領の領主一族の証が刻まれた装飾品。

「……遅くなってごめんね」

私はまず、ずっと支えてくれた二人に向き直った。

「リヒャルト、ヴィルヘルム。あなたたちが私の側近であること、改めて証にして渡したいの」

リヒャルトは静かに膝を折り、両手で受け取って「光栄にございます」と微笑んだ。
ヴィルヘルムは深々と頭を垂れ、「必ず守り抜きます」と短くも重い言葉を返す。

続いて専属たちに渡していく。初めて一堂に並んだ十名の下位貴族たちは、緊張に肩を張りつめ、受け取った瞬間それぞれが深々と頭を下げた。

その中で私は、イルマにそっと声をかける。

「イルマ、私……てっきり最初から専属だと思ってたから、試験に出てきて驚いたよ」

イルマは穏やかに微笑んだ。

「申し訳ございません。ですが――コネだけで選ばれた、と言われるのは、私のプライドが許しませんでした」

意外にも好戦的な返答に、思わず目を瞬かせる。

(……ああ、イルマはやっぱり武官なんだなあ)

他の面々には名前を呼んで一言ずつお礼を述べる。まだぎこちないけれど、それでも彼らの瞳は確かにまっすぐこちらを見ていた。

背後でグレーテがそっと袖で目を拭うのが見えた。

「これで……エレオノーラ様も、ご一族の本当のお立場に」

その声に胸が詰まる。けれど、私は小さく息を整え、背筋を伸ばした。

「領地を支えるのは、私たち全員です。これから一緒に歩みましょう!」

小さな執務室に、力強い返答が重なった。
確かな未来の芽が、ここから育ち始めていた。
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