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第8章 進路と庇護の重み
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また別の日、講堂での共通講義が終わった直後のことだった。
ざわめきの中、鮮やかな赤髪を揺らすアドリアナが、こちらをまっすぐに見つめて歩み寄ってくる。
「エレオノーラ様」
その一声で、周囲の空気が変わった。序列一位が声をかける相手――注目が一斉に集まる。
そして、彼女はにっこりと笑みを浮かべ、さらりと言った。
「アレクシスお兄様から、ネックレスをいただいたの?」
「……っ!?」
鼓動が一瞬で跳ね上がる。
ネックレス――胸元に飾られる装飾は、婚約の証。
結婚が指輪なら、婚約はネックレス。領主一族にとっては、指輪は印章の役割すら兼ねる重い意味を持つために婚約段階では贈らない。
「い、いいえっ!!」
思わず大きな声で否定してしまった。
耳の奥まで赤くなるのがわかる。
(な、なんでそんな話になるの……!?)
内心で悲鳴を上げる。
周囲はざわめいたが、アドリアナは特に追及もせず、「そう、ならよかったわ」と笑みを残して去っていった。
――その足取りの軽やかさに、余計に胃が痛くなる。
館に戻るなり、私はイザベラ姉様を捕まえて相談した。
「アドリアナ様に、アレクシス様からネックレスをもらったか聞かれたんです! そんなこと……!」
イザベラは驚いたように目を瞬かせ、それから少し困ったように笑った。
「まあ……きっと、模擬戦のせいでしょうね」
「模擬戦……?」
「あなたがアンドレアス様を騎馬から落としたでしょう? そのことで、彼の評判が少し下がったのよ」
「え……」
「だから、その分アレクシス様を領主候補に推す流れができて……その延長で、あなたが序列一位に嫁ぐと思われたのかもしれないわ」
「……え、ええぇぇぇ!?」
思わず変な声が飛び出した。
胃がまたきゅうっと痛む。
(模擬戦での一手が、そんな大ごとに……!?)
自分の何気ない行動一つが、思いもよらぬ誤解や流れを生み出していく。
その現実の重さに、背筋が冷たくなった。
ざわめきの中、鮮やかな赤髪を揺らすアドリアナが、こちらをまっすぐに見つめて歩み寄ってくる。
「エレオノーラ様」
その一声で、周囲の空気が変わった。序列一位が声をかける相手――注目が一斉に集まる。
そして、彼女はにっこりと笑みを浮かべ、さらりと言った。
「アレクシスお兄様から、ネックレスをいただいたの?」
「……っ!?」
鼓動が一瞬で跳ね上がる。
ネックレス――胸元に飾られる装飾は、婚約の証。
結婚が指輪なら、婚約はネックレス。領主一族にとっては、指輪は印章の役割すら兼ねる重い意味を持つために婚約段階では贈らない。
「い、いいえっ!!」
思わず大きな声で否定してしまった。
耳の奥まで赤くなるのがわかる。
(な、なんでそんな話になるの……!?)
内心で悲鳴を上げる。
周囲はざわめいたが、アドリアナは特に追及もせず、「そう、ならよかったわ」と笑みを残して去っていった。
――その足取りの軽やかさに、余計に胃が痛くなる。
館に戻るなり、私はイザベラ姉様を捕まえて相談した。
「アドリアナ様に、アレクシス様からネックレスをもらったか聞かれたんです! そんなこと……!」
イザベラは驚いたように目を瞬かせ、それから少し困ったように笑った。
「まあ……きっと、模擬戦のせいでしょうね」
「模擬戦……?」
「あなたがアンドレアス様を騎馬から落としたでしょう? そのことで、彼の評判が少し下がったのよ」
「え……」
「だから、その分アレクシス様を領主候補に推す流れができて……その延長で、あなたが序列一位に嫁ぐと思われたのかもしれないわ」
「……え、ええぇぇぇ!?」
思わず変な声が飛び出した。
胃がまたきゅうっと痛む。
(模擬戦での一手が、そんな大ごとに……!?)
自分の何気ない行動一つが、思いもよらぬ誤解や流れを生み出していく。
その現実の重さに、背筋が冷たくなった。
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